楽しみにしていたプロ野球も大相撲も何もない。外出自粛でテレビを開けば、どのチャンネルもコロナ問題で、同じ内容を毎日同じように放送している。その中で、たった一つ、NHKが毎日午後4時20分から30分間流している「連続テレビ小説『ひよっこ』」の再放送が楽しい。
確か3,4年前の朝ドラであったと思うが、ビートルスや東京オリンピックに沸く昭和39年頃から40年代前半にかけて、高度成長を背景に田舎から都会に出てきた若者たちが、ひたすら前を向いて生きる姿を描いたドラマだ。当然そこには、いくつもの恋が生まれる。何とも美しい恋が……。
ああ、あんな清純な時代が確かにあった!
ドラマは次々とそれを辿る。
しかし、主人公二人(田舎から出てきてレストランで働く娘と、良家の跡継ぎの大学生)の恋も、やがて時代の波に翻弄されて壊れていく。「まことの恋がなめらかに進んだためしはない」(シェイクスピア『真夏の夜の夢』)のだ。
なにも恋だけではない。戦後民主主義と高度成長の下で伸び伸びと育った「明るい資本主義」は、やがてバブルをはらみその崩壊を迎え、そのあとをねらう新自由主義の下で、能力主義、格差政策(多くの貧困層の創出)が吹き荒れる「暗くて冷たい資本主義」への準備も進められていたのである。
しかし、たしかにあの清純な時代はあった!
新芽を出した庭のもみじ。やがて青葉となり、秋本格的に紅葉する