ようやく緊急事態宣言の解除となって、世界的にも第一段階を超えた感じだ。もちろん、第二波、第三波の到来は必至で、それとの闘いが始まろうとしている段階ともいえる。
第一段階を終えて、日本の戦いぶりが世界的に話題になっている。何といってもアメリカに比して、感染者数で1%、死者で0.9%と二ケタ違う。英、仏、伊などの欧州諸国に比しても、感染者は7~8%で死者に至っては3%前後だ。しかもそれを、諸外国流の「罰則を含む強制ロックアウト」などではなく「自粛要請」により防いでいる点が不思議がられている。
さてその自粛要請であるが。
日本人は、緊急事態に及んで①20%の人は自主的・自発的に対応し、②60%は国が要請すればそれに従い、③残る20%が勝手にふるまう、と言われている。従って国が要請すれば①と②の80%の国民は要請に従うのである。「80%が自粛すれば感染拡大を防げる」という医学的見地をつかんだ国は、あえて強制的に③を従わせなくても、十分に対応できると読んだのであろう。
誰がこの読みをしたのか知らない。政治家なのか、医療関係者なのか、または学者なのか? この読みこそが「日本の驚異」を生み出したのだ。日本人のこの体質は、どうして生まれたのだろうか?
私はこう思う。
第一に、農耕民族として身に付けた協調精神。森の民族と異なり、春、雨が降れば村を挙げて田植を行い、秋、晴れた日にはこぞって稲刈りに取り組む。それは自主と協調の精神を育んだ。
第二に、国民皆教育制度の確立による高い教育水準。古くは寺子屋に始まり明治以降の皆教育制度は、貧富、骨柄の差別なく国民を教育した。それは協調思想を全国民のものにし、高い衛生思想(手洗い、うがい、マスク、清潔な服装など)をも植え付けた。
加えて第三に、これも教育制度が生み出したのであるが、高い医療技術、医療制度(皆保険を含む)がそれを補完したのであろう。