昨夜、遅く、けたたましく卓上の受話器が鳴った。
「オイ、首藤か?…、分るか、オレが…池田だ」
懐かしい高校時代からの友人の声だった。声は続く…
「ある友人にお前の本『蔵元の薦める飲み屋』を渡しておいたら、今日電話があって、『いい本だなあ。こんな本が書ける友人がいるのか、お前は幸せだなあ』と言われた。うれしくなって久しぶりにお前に電話したんだ」
彼は私が出版するたびに読んでくれ、「本が書けるなんて羨ましいなあ。俺には絶対にない才能だ。首藤、お前は俺の誇りだ」と言ってくれていた。
高校時代の彼と私は、全く生き方を異にしていた。彼はラグビー部で、放課後はグランドの土にまみれていた。私はいわば図書館族だった。そして私は、自分に絶対にない能力を持つ彼を、いつも羨望の目で見ていた。
図書室から出た廊下で、グラウンドから上がってくる彼とすれ違うことがよくあった。彼の太ももの傷には血が滲み、汗にまみれたジャージには土の匂いが溢れていた。
ほとんど口をきいたこともなかった高校時代を経て、東京の同窓会で度々会うようになり、私は、彼が豊かな感受性の持ち主であることを度々知った。そしてそれは、泥まみれのスクラムの中で、相手選手の息遣いを感じながら育んだものだと思った。つまり、私などが到底持ちえない豊かな感受性を彼は持っているのだ。
久しぶりに、遥か臼杵高校の土の匂いを伝えてくれた電話であった。
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ふるさとは遠くにありて思うもの…歳を重ねると、季節ごとに、野花を見ても思い出したりしますね。菜の花畑、タンポポからも、臼杵の春を、私は播州平野の春を思い出します。
宮本百合子の『播州平野』は懐かしいなあ。政治犯の夫顕治の出獄を待つ期待と喜び、新しい時代を迎える躍動感が、平野という広がりと呼応していました。
「なごり雪」とは、お菓子ですか、酒ですか? 小手川酒造も懐かしいなあ。
数年間に臼杵煎餅はちょっと彎曲?して更に美味しくなった気がします。🤗
「なごり雪」は両方ありますね。
私は「ざびえる」と「西の関」派で、、、実はどちらも口に入ったことがありません。笑
九重の「千羽鶴」は素晴らしかったが、今どうなっていますかねえ?