旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

ミャゴラトーリ第3回オペラコンサート終わる

2010-07-11 13:35:02 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 娘の企画するミャゴラトーリコンサートがやっと終わった。「やっと・・・」という裏には、それなりの「生みの苦しみ」を見てきたからだ。
 手ごろな会場探しに始まり、出演者の依頼――決定、練習の積み重ね・・・しかも忙しい各人の合間を縫っての練習、そして何よりも観客動員、と日々娘の苦しみを見ていると、まさに「やっと・・・」と言う感がするのだ。

 しかし、この暑いさなかに約150人の方々が来てくれた。いろんな会合や旅行などで御一緒した方々、過去の職場を含めて長くお付き合いを頂いている方々、そして何よりも、このコンサートを下支えしてくれている常連の方々・・・、本当に涙の出るほど嬉しかった。そして来てくれた方々は本当に喜んでくれたと思い、それが何よりの喜びであった。

 今回はオペラ評論家のS氏にお出でいただき、終了後短時間であったがご意見を頂いた。山ほどいただいた厳しいご指摘の最後に、「立派な質をもった出演者があんなに頑張っているのに、わずか200の席を満員に出来ないようではダメじゃないですか」と、後援者の私にとって一番痛いところを突れた。
 出演者たちは立派な力を持っていると思う。そしてこのような小さいコンサートでも、長い時間をとり全力を挙げて練習する。しかし観客収入が少なければ満足なギャラも払えない。一番胸の痛むところだ。
 娘の企画趣旨である「少しでも多くの人に音楽の素晴らしさ、特にオペラの素晴らしさをを伝えたい」からすれば、確かに観客動員は重要な要素でもある。過去3回を教訓に、戦略を練る時期に来ているのであろう。

 
      本番前の舞台稽古

 それにしても、冒頭に書いたように、懐かしい方々に「音楽を絆に会える」ということは素晴らしい。W夫妻は闘病中のご主人が車椅子に乗ってきてくれた。合唱団で長くバスを歌い続けている人だ。2年前トルコツアーで初めて会ったM夫妻も来てくれた。また5年前にシチリアを旅したときに初めて知り合った22人の中から8人の方々が来てくれた。コンサートを大変ほめていただいた上、思わぬ「シチリア同窓会」とみんな喜んでくれた。
 これもまた音楽の素晴らしさの一つであると思っている。

    
     5年ぶりのシチリア同窓会(中央は娘)


みちのく・下北・津軽の旅① ・・・ 久々の中尊寺

2010-07-09 10:06:00 | 

 

 今回の北東北ツアー(阪急交通社trapics)で一番心配であったのは天候であった。10日ぐらい前からの天気予報調査では、曇マークと雨マークが交錯し希望の持てない状況であった。直前の予報では、降水確率40~60%で、さすがに晴れ男を自認する私も今度だけは雨を覚悟した。

 まず最初に訪ねるのが中尊寺。ここは芭蕉が「五月雨の降りのこしてや光堂」と詠んだところなので、むしろ雨が似合うだろう・・・、五月雨ではなく梅雨雨であるが、まあいいだろうなどと、雨の予測を慰めていた。
 ところがどうして、仙台を発したバスが平泉に近づくにつれて晴れ渡り、バスを降りる頃から快晴となった。今度は逆に、30度の厚さにウンザリ、大汗をかきながら坂を上った。雨が降ったら、芭蕉の句を「つゆ雨の降りのこしてや光堂」と読み替えようと思っていたが、金色堂は快晴の下でも光り輝いていた。今が一番美しいであろう緑の木立の中で、雨が降り残すまでもなく燦然としていた。

 前回ここを訪れたのは、1985年であったと思うので既に四半世紀を経ている。しかし、その美しさと威厳は少しも変わらない。
 初めて訪ねたワイフも、仏像や宝物などを見ながら、「やはり来て見なければ奥州藤原氏の威力など分からないわねえ」と感じ入っていた。

 

     

 

 ツアーコンダクターのNさんが、一番歓声をあげて私たちに指し示したのがハス畑に咲く「中尊寺蓮」(写真)の一輪であった。「是非見せたいと思っていました・・・、まだ咲いてくれていました」と喜んでいた。
 ツアコンさんは、何処に何があるか知り尽くしているだけに、行く先々に様々な思いを託しているのであろう。
 旅の出発点は、まず絶好調であったと言えよう。

          


ミャゴラトーリ第3回オペラコンサート 予告編③

2010-07-07 11:26:48 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 最後に残った3人は、第1回から出演する常連の歌手たち・・・、ソプラノの佐藤貴子さん、メゾソプラノの日向由子さん、そしてバリトンの前田進一郎君である。これにジョン・ハオ君を加えた4人がミャゴラトーリお馴染みの出演者である。
 「あれ?・・・」と言う人がいるかもしれない。前2回、前田進一郎はテノールを歌ってきたからだ。彼は今回から本来のバリトンにパートを変えた(その経緯は後述)。

  佐藤貴子さんは、第1回からソプラノを受け持つミャゴラトーリの柱の一人。何といってもオペラはソプラノ…その安定した実力は「ミャゴ・オペラコンサート」に欠かせない。  
 今回プログラムの前半では『コジ・ファン・トゥッテ』の女中役でコメディックな役を演じ(これが彼女の真骨頂のようだが)、後半では一転して悲劇のヒロインを演じる。『リゴレット』のジルダ役である。そこで、あの超高音のコロラトゥーラの名曲「貴族でも王子様でもなく~愛しい名」を歌う。私はこれに大変な期待を込めている。

  日向由子さんはメゾソプラノのパートを受け持つ貴重な存在。オペラではともすればソプラノやテノールが華となるが、それを支え、かつ全体に厚みをつけるのはメゾソプラノやアルト、バリトンまたはバスである。それは映画や芝居における名脇役のはたす役割に似ている。世に残る古今の名画は、必ず名脇役に支えられ、そのすぐれた演技が語り継がれる。
 日向さんは、イタリアのパロマに5年住みつきベルカント唱法を身に付けた。今回歌う『カルメン』の「ハバネラ」に期待するところ大である。

  
     日向由子さん

  最後は前田進一郎君。彼はテノールからバリトンに転じた。本来はバリトンの声質であったようだが、これまでテノールに挑戦してきた。そこで十分に勉強を尽くして、今回より「本来のバリトン」に立ち返った。
 そして、そのバリトン歌手ならではの(と私は思う)リゴレットを演じる。娘ジルダと二人暮らしのリゴレットは、居なくなった娘を探し「誰かジルダを知らないか…ジルダを返してくれ」と尋ね回る。歌劇『リゴレット』の中でも一番悲しい場面だ。そして歌う「悪魔め! 鬼め!」を、前田君はどう演じてくれるだろうか。
 (佐藤さんと前田君の写真は追って掲載)

 


ミャゴラトーリ第3回オペラコンサート 予告編(2)

2010-07-06 13:48:03 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 ミャゴラトーリ・オペラコンサート(7月10日)に、今回2人のメンバーが加わった。ソプラノの沼生沙織さんと、テノールの与儀巧君だ。

 沼生さんは、東京音大声楽科オペラコース卒、同大学院オペラ研究領域修士課程終了後、イタリア留学などを経て、第1回ベルカント・ソプラノ・コンコルソ第1位、第17回日本声楽コンクール入選などの実力派。昨年の新宿区民オペラ『オテロ』にデズデモーナ役で出演、同時に出演していた娘が、その素晴らしいソプラノに感嘆してミャゴラトーリへの参加を依頼、ようやく口説き落として今回の出演となったらしい。
 
昨年の『オテロ』でも、クライマックスの「柳の歌」を見事に演じていたし、今回は『カルメン』のミカエラのアリア「何をおそれることがありましょう」を歌うというので期待している。

 
   沼生沙織さん

 テノールの与儀巧君は、国立音楽大学声楽科、同大学院声楽科を終了後、第6回東京音楽コンクール声楽部門第1位及び聴衆賞はじめ各種コンクールに入選、二期会会員として各種オペラに出演する人気者。これまた娘が『メサイア』で一緒に歌う機会を得て、その素敵なテノールに惚れ込み勧誘を続けて今回の出演となった。
 歌の世界に「テノール馬鹿」という言葉がある。美しい高音が自由に出る人がこう呼ばれる。馬鹿という文字がつくので軽蔑の言葉かというとそうではなくて、むしろ尊敬、羨望の意を込めた言葉である。自分には到底不可能な、また他に例を見ない高く美しい声に対する“やるかたなき羨望”の情がこもった言葉である。
 
娘が話してくれた「与儀君のテノール馬鹿ぶり」を一つ。重唱の練習中、テノールは歌わない箇所で何だか高い声が響く・・・よく聴くと与儀君が他人のパートを歌っている。あわてて注意するそうだが、「自分のパートを歌い忘れて注意されることはよくあるが、他人のパートを歌って注意される人は始めて・・・、テノール馬鹿の典型だ!」と言っていた。
 今回は『リゴレット』の「女心の歌」を歌うのでテノール馬鹿ぶりが楽しみだ。

 
    与儀巧 君
 


北東北の旅から帰って来ました

2010-07-05 21:53:12 | 

 

 下北、津軽半島を制覇するという夢多き旅から帰って来ました。初めて接する土地柄は、極めて魅力のある風情でした。
 しかし欲張りすぎの日程は、それなりに大変な旅でもありました。まず仙台駅に降り立ちバスに乗り込み、それからは専らバスの旅でした。中尊寺を見学して十和田湖―奥入瀬を経てその日の宿「十和田湖レイクビューホテル」に至るまで、初日のバス走行距離343キロ、翌日十和田湖から下北半島(あの《まさかり半島!》)をめぐり本州最北端の大間崎を越えて、脇野沢港からフェリーで津軽半島に渡り鯵ヶ沢は岩木山の山麓にある二日目の宿「ナクア白神ホテル&リゾート」に着くまで、325キロ、三日目、再び津軽半島を引返して突端の龍飛崎を経て、津軽西海岸から秋田道を辿り新幹線の水沢江刺駅まで433キロ、合計1,101キロのバス旅行でありました。

 みちのくから北東北をまで、主要なところは(バスの車窓見学を含め)すべて見ましたという旅でした。下北半島の脇野沢港から津軽半島の蟹田港までのカーフェリーと、深浦―大間越間の「五能線」を加えると、相当な距離を」旅したことになりましょう。
 従って、今日はいささか疲れています。職場に出れば、それなりに「難しい問題」も沢山あるので・・・・・・。

 とはいえ、この旅は極めて魅力に富むものでありましたので、これから日を追って語り継ぐことにいたします。まずは無事に帰ったご報告まで。

                  旅のプラズマ


明日から北東北の旅に出かけます。

2010-07-01 20:18:41 | 

 

 明日から、「みちのく津軽・下北2大半島と五能線・仏ケ浦遊覧 ふたり旅 3日間」(阪急交通社ツアー)という長い名前の旅に出かける。なぜこんな旅に行くことになったかと言うと、往復新幹線がグリーン車で、十和田、奥入瀬も含め初めての地ということから「グリーン車に初めて乗れる」という理由からワイフが申し込んだことによる。
 ワイフは、かねてからグリーン車に乗ってみたいと思っていたらしい。ツアーを選択する基準も、いろんな要因があるものだ。グリーン車に乗れる上に、2泊3日で二人分で10万円という割安感も選択理由であったかもしれない。
 私は津軽・下北という本州最北の半島に一度行ってみたいと思っていたので、文句なく同調したのだが。

 ところで、天候は最悪のようだ。まあ、梅雨の真っ最中に選んだ旅であれば仕方あるまい。とにかく3日間ブログはお休み・・・、バイバイ


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