今回の北東北ツアー(阪急交通社trapics)で一番心配であったのは天候であった。10日ぐらい前からの天気予報調査では、曇マークと雨マークが交錯し希望の持てない状況であった。直前の予報では、降水確率40~60%で、さすがに晴れ男を自認する私も今度だけは雨を覚悟した。
まず最初に訪ねるのが中尊寺。ここは芭蕉が「五月雨の降りのこしてや光堂」と詠んだところなので、むしろ雨が似合うだろう・・・、五月雨ではなく梅雨雨であるが、まあいいだろうなどと、雨の予測を慰めていた。
ところがどうして、仙台を発したバスが平泉に近づくにつれて晴れ渡り、バスを降りる頃から快晴となった。今度は逆に、30度の厚さにウンザリ、大汗をかきながら坂を上った。雨が降ったら、芭蕉の句を「つゆ雨の降りのこしてや光堂」と読み替えようと思っていたが、金色堂は快晴の下でも光り輝いていた。今が一番美しいであろう緑の木立の中で、雨が降り残すまでもなく燦然としていた。
前回ここを訪れたのは、1985年であったと思うので既に四半世紀を経ている。しかし、その美しさと威厳は少しも変わらない。
初めて訪ねたワイフも、仏像や宝物などを見ながら、「やはり来て見なければ奥州藤原氏の威力など分からないわねえ」と感じ入っていた。
ツアーコンダクターのNさんが、一番歓声をあげて私たちに指し示したのがハス畑に咲く「中尊寺蓮」(写真)の一輪であった。「是非見せたいと思っていました・・・、まだ咲いてくれていました」と喜んでいた。
ツアコンさんは、何処に何があるか知り尽くしているだけに、行く先々に様々な思いを託しているのであろう。
旅の出発点は、まず絶好調であったと言えよう。