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■小沢氏「天の声」に対する18日の各紙社説
「二重権力」との批判に対し小沢幹事長は「政策は内閣が決め、私は党務と国会業務で役割り分担をする」と言い訳していた。
その小沢氏が、遂に「天の声」を下した。
「私が決める」が口癖の鳩山首相(みのもんた説)が、何も決められないのに業を煮やした小沢氏が、陰の権力者から政策立案の表舞台に登場した瞬間だ。
今朝の全国五紙の内、日経を除く四紙が社説でこれを取り上げた。
小沢氏の「天皇特例会見」については、珍しく小沢批判で歩調をあわせた社説を書いた四紙だが、今回は3対1で論調が微妙に異なる。
朝日、毎日、産経の三紙が、小沢氏の提言内容はともかく「天の声」そのものに批判的であるのに対し、読売一紙が焦点を鳩山首相に当てて、その指導力のなさを批判して、これに下した小沢氏の「天の声」をよしとする論調である。
視点の置き方で、小沢の独裁的手法に批判をする立場の朝日、毎日、産経と、鳩山首相の無能ぶりを批判する読売では批判の矛先が違ったわけだ。
保存資料として朝日社説をコピペしておく。
民主党の小沢一郎幹事長が鳩山由紀夫首相に対し、来年度予算編成と税制改正に向けた要望書を手渡した。
業界団体や自治体から受けた約2800件の陳情を踏まえたものだ。小沢氏は「全国民からの要望だ」とし、可能な限り反映するよう首相に求めた。
その内容は、陳情をただ列挙したわけではない。18の重要政策に絞り、具体的な方針を明示した。中には総選挙で掲げたマニフェストと異なるものも含まれている。
公約といっても、具体化にあたっては経済情勢や実情に応じて中身や実施時期を見直すのはありうることだ。
ガソリン税の暫定税率廃止について、現在の租税水準を維持するとした。公約違反という批判はあるかもしれないが、不況による大幅な税収見込み減や地球環境への悪影響を考慮すれば、現実的と言えるのではないか。
一方、看板政策である子ども手当では所得制限の導入を打ち出した。財源不足を考えてのことだろう。どの程度の制限を設けるかはこれからだが、子育ては社会全体で担うという理念や方向性を見失っては元も子もない。
民主党は「コンクリートから人へ」の大方針を掲げてきた。だが要望書には、整備新幹線早期開業のための予算や高速道路整備の推進、公共事業にあてる自治体への交付金創設が盛られる一方、保育所の待機児童への言及はない。方針がかすんだ感は否めない。
見過ごせないのは、陳情のとりまとめと称して、党が政策の優先順位決めや予算配分に大きな影響力を行使する形になった点だ。
民主党は、予算編成などで与党が強力な発言力をもった自民党政権時代の二元的な仕組みを改め、内閣に一元化すると言ってきた。責任の所在を明確にし、意思決定の過程を透明にしようという狙いである。
ところが、今回のやり方では、だれがどのような基準で項目を選び、なぜそういう結論に至ったのか皆目わからない。著しく透明性に欠ける手法だ。
政府が要望をそのまま受け入れれば、有権者の目には、小沢氏が政策を最終的に決める権力を握っていると映ってしまうだろう。
ただ、政策決定に党がかかわる背景には、閣僚ら政務三役がそれぞれの省の立場を主張するばかりで、なかなか結論を出せない政府の迷走もあろう。官僚による調整をやめたのはいいが、首相や国家戦略相、官房長官が調整できず、小沢氏が助け舟を出して方向付けをした。そんなふうにさえ見える。
大事なのは、首相が要望を踏まえつつも縛られず、政権の大方針に沿っているかを精査し、自ら決めていくことだ。さもないと政治の透明性は貫けないし、鳩山、小沢の「二元体制か」という疑念がさらにふくらんでいく。
毎日社説⇒ 民主党予算要望 公約を「密室」で破るのか
読売社説⇒12月18日付 来年度予算 バラマキ公約の是正は当然だ
◇
テレビ画像で「予算要望」を発表する小沢氏の表情は、数日目の「ブチ切れ会見」の傲慢な態度は何処に忘れたのか、満面笑みをたたえ、これは「天の声」ではなく「国民の声」を伝えるのだと、小沢らしからぬ猫なで声にむしろ不気味さを感じたのは筆者だけだっただろうか。
小沢の「天の声」を二元体制と批判した朝日は、「天の声」の他に「人の声」も有するコラムで有名だ。
その「天声人語」が、社説で小沢氏を批判したことをことが気になるのか、孔子様を引っ張り出して「(天の声で)孔子さまは小沢さんをほめるかもしれない」とフォローしている。
しかし、最後は「二人羽織」に現在の鳩山政権を例えるのあたりは、皮肉がきいて妙である。
古代の中国に尾生高(びせいこう)という男がいて、橋の下で女と会う約束をした。待ちに待ったが女は来ない。折からの雨に川は増水してきたが、かたくなに約束を守ってその場を離れなかったそうだ▼水が引いたあと、人々は橋脚にしがみついて死んでいるその姿を見つける――。「尾生の信」として伝わる故事である。約束を違えぬ誠実をほめるか、融通のきかない愚直を笑うか、評価は人によりけりだろう。マニフェストをめぐる民主党政権の逡巡(しゅんじゅん)に、この故事が胸中で重なっていた▼そんな政府の背中を押すように、小沢幹事長が鳩山首相に「マニフェスト改変」を突きつけた。政府はありがたく拝聴したそうだ。ガソリン減税はやめよと言い、そうなれば公約の重要な変更になる。子ども手当にも所得制限を設けよという▼予想を超えて財源は窮乏し、マニフェストを貫けば他のもろもろが軋(きし)みをあげる。だが公約への期待も大きい。尾生高ではないが、約束をとっても現実に即しても評価は割れよう。約束破りの役回りを小沢氏が引き受けたとの観測もある▼ところで、かの「論語」にも尾生高とおぼしき人物が登場するそうだ。酢を借りに来た人に、無いと断らずに、隣から借りてきて体面をつくろったという。孔子さまは「彼は正直者ではない」と難じたと、手元の故事集に教わった▼改変の求めは、優しい首相に代わって幹事長が「酢は無い」と国民に断った図だろうか。孔子さまは小沢さんをほめるかもしれない。だが国民の目には、笑えぬ二人羽織があらためて焼き付いた。
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(ポスターは「あんた何様?日記」より)
参考:
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