武田じゅうめい 愛と誠と正義

色即是空とは、すべての存在は虚無であると知る。
旗印は日本愛、 日本人には日の丸が足りない

3億円事件、田村正和は名探偵であったのか。

2014年01月19日 | 事件

田村正和。

田村正和の主演、昨日(1・18)の3億円事件ドラマは面白かった。
当時、3億円という巨額現金、そして偽白バイ警官によるドラマチックな現金強奪事件は世間を騒がせ、ある意味、英雄とばかりに賞賛する者まで現れた。
3億円という現金は、今の価値に直せば10億円は下らないだろう。
それが白昼堂々、たった一人の若い男によって、巧妙な計略でもって、誰も傷つけず見事に強奪されたのだ。
そして120点を超える遺留品を追って警官・刑事が延べ17万人投入されたが、7年の刑事時効を迎え、さらには民事時効20年が過ぎ、1988年に永遠の迷宮事件となった。

ただ、松本清張原作の昨日のドラマでは、犯人の少年Sを青酸カリで殺害したのは、実の姉夫婦であり、その背後にいた黒幕は叔父の警察庁キャリア官僚となっていたのは違和感を覚えた。そして結果的に、その3億円を横取りしたのは、その叔父ということだったが。

さて、事件が迷宮化し、時効になってからかなりの時間が経ったある赤提灯の夜、親しくなった桜田門のデカが、「大きな声では喋れないが、これは誰かに伝えておかねばならない」として、彼は事件を手繰り寄せるように独り言を語り始めた。

犯人の19歳の少年Sは、米軍基地エリアを根城として車両窃盗を繰り返していた立川グループと呼ばれた不良グループのリーダーで、バイクと車の運転がうまかった。
ところがこの不良の父親というのが、驚いたことに、何と現職の白バイ警官だったのだ。事件で使われた白バイ制服とヘルメットは本物だとされたが、なぜか捜査本部はそれについて沈黙を守った。そして現金輸送車に乗っていた4人の銀行員に少年Sを面通しさせたところ、4人全員が「よく似ている」と証言したが、なぜか後になって曖昧な表現に変わった。


さてさて、現職の白バイ警官であった父親は、事件の直後、犯人は誰であるか直感しただろう。家に置いてあった予備の白バイ制服とヘルメット、その日、帰宅するや、制服が雨で汚れている事を確認し、ヘルメットの内側の匂いを嗅いだ。それで十分だったろう。ちょうど彼の知り合いにメッキ工場に勤めている人間がいた。
害獣駆除の為と頼まれた警官の言葉を信用して、青酸カリを1グラム分け与えた。人間の致死量は0.3グラムだから、それで十分、耳かき一杯分にもならない。そして事件の5日後、飲み物に青酸カリを入れて、息子に飲ませた。
青酸カリは口内の粘膜から急速に体内に吸収され、激しい動悸と痙攣を引き起こし、致死量を吸収した場合、3分以内に死亡する猛毒なのだ。
しかし少年Sは有力な容疑者としてリストアップされていたにも関わらず、警察は事件とは結びつけず、自殺と断定した。

父親が現職の白バイ警官であったことが明らかになれば、桜田門の警視総監は引責辞任、あるいは全国警察のトップである警察庁長官にまで火の粉がかかることは必定であったろう。しかし犯人は死亡、消えた3億円は保険会社によって補填されたから、迷宮事件として処理したかったのは、ある意味、自然なことではあったかも知れない。

さて、問題の3億円はどこに消えたのか。
そのデカは、コップ酒で喉を潤すと、少し目を細めて、こう語った。
「ほら、今の若い人は知らないだろうが、昔の風呂はカマド焚きだった。薪や石炭をくべて風呂を沸かす、あれさ。少年Sの近所を聞き込み捜査に入ったら、面白い話が出てきた。その日だったと思うがと前置きして、明け方までSの家の煙突から白い煙が出ていてとても不思議だったと」


(じゅうめい、鋭く斬る)

 

 

 

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