高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

R2年12月試験の民法組合せ“よーくわかる”問8・相続・・・。

2021-04-07 08:24:48 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
では、今回は問8です。

改正点ではないんですが、ちょっと凝った問題作りをしています。

代襲がテーマで、計算もさせ、しかも組合せです。
盛りだくさんな内容となっています。

しかも、50問の中で最も正答率が悪い問題です。
・・・・・・・
問8 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した場合の法定相続分についての次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものの組み合わせはどれか。
ア Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。
イ Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、B及びCがそれぞれ3,000万円、Dが6,000万円である。

ウ Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。
エ Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E及びFがそれぞれ3,000万円、Gが6,000万円である。
1 ア、ウ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 イ、エ
・・・・・・・

この問題は、肢アとイが同じ論点、肢ウとエが同じ論点です。

まず、アとイは、直接の子供である長男と次男がすでに亡くなっているので、その子供(Aからすると孫)が相続人の場合です。
代襲の問題ですね。代襲は、長男、次男がもらうべき相続分をさらに分けるわけですから、その点に注意する必要があります。

条文的には、「 長男と次男がともに相続の開始以前に死亡した等により、B、C及びDが代襲相続人となる場合であり、代襲相続により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系卑属が受けるべきであったものと同じであるが、一の被代襲者に複数の代襲相続人がいるときは、被代襲者が受けるはずであった相続分について、各代襲相続人が相等しく相続する」のでした。

そうすると、まず、「Aの長男と次男が受けるはずであった相続分は、それぞれ6,000万円であり、B及びCはAの長男が受けるべきであった6,000万円についてそれぞれ3,000万円ずつ相続し、DはAの次男が受けるべきであった6,000万円をそのまま相続する」のですね。

肢イの方が 正しく、肢3か4になります。

では、肢ウとエです。
今度は、第二順位の直系の尊属が相続人となる場合です。
まず、ポイントは、Aの直系尊属のうちAと親等の近い父母が、相続の開始以前に死亡した等によりいない場合ですから、さらにその上の世代がいるかどうか見ます。
EFGの三人います。

ここでは、「相続人の直系尊属が死亡した場合に、代襲相続を認める規定はない」ため、3人が同等なのですね。
したがって、E、F及びGの相続分はそれぞれ4,000万円となるために肢ウが正しいことになります。
以上より、正しいものは、イ、ウであり、肢3が正解となりますね。

この問題の表現方法は、100点満点ですね。作問者に対しては、見事です。
こういう予想問題を提供したいと思っています。

しかし、正答率が10%台というのは、受験生に対しては喝ですね。

では、また。 



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高橋克典
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