熊谷達也は、自然とともに暮らす人間たちの生き様を調べ尽くして、それを元に物語を紡ぐところが読み応えとなって迫ってくるタイプの作家です。
それらのことに興味があれば読んで損はありません。
ただ、いささかサービス精神が旺盛で、ハリウッド映画張りのアクションなどを入れてしまうところに、やりすぎ感を感じます。
作者自身も意識しているようで、「これではハリウッド映画だ」というセリフが作中にあったりします。
言われる前に言ってやれ! 作戦ですね。
絶滅したはずの日本オオカミと山に生きるサンカの関わりがミステリアスで良い味を出しています。
また、主人公の城島が野生と理性を併せ持っていてかっこいいんだこれが。