小杉健二『死の扉』を読んだ。「安楽死」をテーマにしたものだが、いまいち。
岡田尊司『自閉症スペクトラム症』をよんだ。
おもしろかったのは、「自閉症の歴史」(pp.33-37)
ASDの診断概念の原型はオーストリアのウィーンでのこと。医師ゲオルク・フランクルと心理学者のアンニ・ヴァイスが検討していったのがこの原型。1938年、ナチスのオーストリア侵攻による政権掌握により、この治療教育診療所が変質。フランクルとヴァイスの二人はユダヤ人であったため、アメリカに逃れる。彼らを支援したのが、オーストリア出身で先にアメリカに渡ったレオ・カナー、その研究が小児自閉症論文として、1943年に発表されたのだった。フランクルとヴァイスがウィーンを去った後、その診療所で頭角を現したのが、ハンス・アスペルガーで、1938年の講演で「自閉的精神病質」の概念を提唱。フランクとヴァイスが心理社会的要因を強調したのに対して、何地本で心理社会的要因に蓋をして遺伝的要因を強調したのがアスペルガーということになる。
もう一点、治療に関しての岡田の見解。主体性を重視するもの(第8章 回復例が教えてくれるもの)。これは、カウフマン夫妻の子どもへの取り組み(ちょっと?もあるけど)。