新聞の書評かなにかでみて、図書館で予約したら届いたので、読んでみた。
古文書の解読作業と同時に、現代の人間模様が鏡影像のように進展する。それが、入れ子状になっていて、並行していくが、それもまた、作者の包み紙に入れられているという手の込んだ、ビブリオもの。ドイツ浪漫派のホフマン(知らんけど、判事で音楽家で小説家)の身上報告書を素材に、その解説があり、その翻訳と解説をする人とそれを読む人たちの物語。
フィヒテのドイツ国民につぐ、ゲーテ・・・・カスパル・ハウザーの話も出てきた(これはどうでもいいことだけど・・)
フォイエルバッハというドイツの法学者がカスパー・ハウザーのことを書いたようだ。「カスパル・ハウザーはホフマンの死後数年たって、どこからどもなくニュルンベルクに現れた、謎の若者だ。」/ほとんど話せず、出自もはっきりしないため、いかさま師なのか沙詐欺師なのか、それとも精神疾患の患者なのかと、議論が沸騰した。/あるいは、どこか高貴の家に生まれながら、事情があって捨てられた子供ではないか、などとさまざまな説が飛び交った。/その時間に関わったのが、確かフォイエルバッハだった、と記憶する。(p.493)
新潮社のHPでは次のような・・・。図書館から受け取った時には、結末袋綴じは開かれていて、ちょっと舌打ちしてしまった。
マドリードの古本屋で手に入れた古楽譜の裏には、十九世紀の文豪ホフマンの行動が事細かに綴られていた。筆者不明の報告書の解読を進めるうちに、現代の日本にまで繋がる奇妙な因縁が浮かび上がる。二重三重の仕掛けが読者を迷宮に誘う、これは逢坂版『薔薇の名前』か? 渾身の大作一五〇〇枚、結末部分は袋綴じ仕様!