12月初旬、素人指揮者の僕が、はるごんに、メッチャ助けられた出来事があった。
クリスマス・ジョイントコンサートのオープニングを飾る、ウチの楽団の「クリスマス・メドレー」。
でも、ちょっと、こう、何というか、"子供らしい、せかせかした感じ"が、リハでは、まったく音に出てなくて…。
つまり、上手く吹きすぎてしまい、どうしても、大人の演奏になってしまってたんだ。
気にくわない。
そんな時、指揮者っていうのは、言葉だったり、(指揮)棒の振り方だったり…、とにかく、ありとあらゆる手段を使って、自分のイメージした音を引っ張り出そうとは、するんだけど(僕の未熟者が!)…。
でも、この、"子供のように"っていうのが、平均年齢28歳?…大人のバンドにとっては、最も難しく、とにかく、厄介な表現なんだよね。
結局、毎年、曲のテンポ自体を速くしたり,無理な笑顔込みの演奏で、何とかしようとしたり、80人全員で、サンタクロースの格好をしてみたり…。
気持ちが、逃げ&ごまかしに入ってしまう。
で、そういうのは、会場に来ているチビっ子には、ちゃんと伝わるらしく、本番、指揮をしながら、チョイ、客席を振り向いた時、何度、そんな子たちの愛想拍手する姿を見てきたことか…。
ショックを受けてきたことか…。
そんな僕の夢…それは、会館の人には悪いんだけど、チビっ子に、客席、ふかふかのイスの上、元気に、土足で、連続ジャンプしてもらうこと。
でも、くそっ!時間がない。11月,12月は、それぞれに忙しい時期だし(ウチの楽団は、8割が社会人)、僕担当の曲のリハが、前日を入れて、3回しかとれない。どうしよう?
1曲目の「そりすべり」のどあたまの6小節だけ、決まれば(その雰囲気が出れば)…なんとかなる。
本番4日前のリハーサル中のこの土壇場においても、どんどん追い込まれ…というか、あきらめかけ始めた、その時、僕の目の前に、突然、神が降りてきた。クリスマス前の神様。
それが、はるごんだった。
イメージが、僕の体を突き抜けた。
家の中にいる僕。
朝、9時過ぎ、カフェオレ、大きめのカップ、眠たい…。
はるごんは、そんな僕の目の前に現れたかと思うと(どこから?)、すぐに、玄関から外に飛び出していったんだ。
すると、そこは、野球場ぐらいの広さかな?庭?広場?…とにかく、一面の雪景色で、なんか、300人vs300人ぐらいで、雪合戦をやってる。
そして、みんな、白い服を着ていて、なぜか、裸足で…。
で、よ-く見ると、その全員が、はるごんだった。つまり、600人強のはるごん。
あまりのことに、一度、引いた目で見ると、その庭?広場?の向こうにある雪をかぶった針葉樹林?の大パノラマ…野生のもみの木の森(畑かな?)の中央と右端の方から、"うんしょ!うんしょ!"…巨大もみの木を、まるで、みこしを担ぐ感じで、2本…。1本につき、(ちょっと見にくいポイントもあるんだけど)パッと見、50人~60人のはるごんが、全身を右に左に、ユッサユッサ…肩で風切りながら、まるで、「いなかっぺ大将」の風大左衛門か、「侍ジャイアンツ」の番場 蛮か…ってぐらいの勢いで、遠くの方から、でも、明らかに、こっちを目指して闊歩してくるの。
それよか、なんか、騒がしい!ふと、家の中に目をやると、40人ぐらいのはるごんが、七面鳥を焼いてたり、ケーキを作ってたり、叩き合いをしてたり、チョコレートのぬり合いをしてたり、ただただ、つまみ食いをしてる1人がいたり…正直、グッチャグチャ状態のキッチン&リビング。
"ピ、ピ-、ピ、ピ-"…何の音? 急いで、外に出てみると、5台ぐらいの巨大トラック(おそらく、20t以上)が、バックで、家の左側に次々と後ろづけしてて、で、後ろの荷台部分が、グーン!って、斜めになって、"ザ、ザ、ザザ-!"…銀の玉,金の玉,銀の星,金の星,赤の小物,白の靴下…などの飾り付けが、なだれてきて、最後に、"ドン!"…高さ80cmぐらいのチャイムが、何10キロだ!?…気がつくと、全トラックから放出されたクリスマスの飾り付けが、みるみる、家と同じぐらいの高さまで、こんもりと積み上がってんの。
そして、ひと仕事終えたトラックは、その、森というか、向こうの方に帰っていった。ほら、やっぱり、5台。
ちなみに、そのトラックの運転手たちも、全員、はるごんだった。
そんな画というか、イメージが、指揮台の上、困った僕の目の前に降りてきた。
なんだ?この不思議な感覚…。
僕は、そのイメージを、"こんな感じでいきたいねん! こんな音、ほしいねん!"って、なぞるように、(今、思うと)、ワインの国際ソムリエ協会会長の田崎真也さんみたいな感じで、とつとつと、楽団のみんなに伝え、いや、一生懸命、訴えたんだ。
ただ、"「はるごん」で、それを説明しても、たぶん、伝わらない。みんなのイメージを統一出来ない!"とか、瞬間的に思ったので、とっさに、その主人公の部分を、「芦田愛菜ちゃん」に置き換えて、伝えたんだ。
そして、もみの木運びの約100人に関しては、なぜか、「鈴木 福くん」って言うてもうてた。
すると、その直後の演奏に、ビックリした。
こうも変わるもんかね。理屈ではなく、目の前に展開される音が、1つ1つ、ぶるんぶるんと踊り出した。
飛び出し始めた。
あんな経験は、初めてだったよ。
なんか、僕、指揮者としてのステージ、1つ上がったのかな?…かも?
でも、まさに、はるごん、ありがとう!の瞬間、そして、思いだった。
で、本番も、お客さんのノリが、過去の空気とは、全然違うかったんだ。
イスの上で、ジャンプしたかどうかはわかんないんだけど、背もたれと座席部分の間に足を挟まれている子を発見した。
通路に出て、ノリノリで手拍子してくれている子が、10人ぐらいいた。
1番面白かったのは、指揮してる僕のすぐ後ろ、つまり、最前列よりも前で、僕の白タキシードのズボンの右すそを、アメをなめながら、ずっと、引っ張り続けている女の子。
実は、その子が、はるごんに、すっごく似てて、ちょっと、ん?
だけど、過去最高に盛り上がった演奏&客席だった。お客さん、いや、チビっ子って、やっぱり、わかるんだな…と。
本番終了後、高校生のメンバーの子に、指をさされながら、こんなことを言われたよ。
"先輩、今回は、完全に踊ってましたね!"
僕は、"あ、そっちか-!"って思った。
つまり、変わったのは、僕の方。
昔、学生の時、ある指揮者先生に、"お前は、舞台の上、全裸になっていいんだぞ"って言われたんだけど、やっと、その意味が、わかったような気がした。
やっとだ。
ま、でも、これから、当分の間、クリスマス曲,ディズニー曲,ジブリ曲は、全て、はるごんに任せようと思う。
はるごん、指揮台の上で、いつでも、降りてくるのを待ってます。
ただ、どうだろ? 3年後ぐらいには、"「はるごん」がね…"。
これで、13歳~69歳、ウチのメンバー全員が同じ画を描けられるような人になっていてほしい…なんて思ったりもしている。
ところで、あれから、3週間、実は、あの日、僕の右足を引っ張っていた子…思い出してしまうぐらい、あまりに似てた!…ので、正直、今、ちょっと、怖かったりとかしている。
どっかからのクリスマスプレゼントだったんだ!!!と無理やり思うようにしている今日この頃なのです。
とりあえず、はるごん、勝手にサンキュ。
クリスマス・ジョイントコンサートのオープニングを飾る、ウチの楽団の「クリスマス・メドレー」。
でも、ちょっと、こう、何というか、"子供らしい、せかせかした感じ"が、リハでは、まったく音に出てなくて…。
つまり、上手く吹きすぎてしまい、どうしても、大人の演奏になってしまってたんだ。
気にくわない。
そんな時、指揮者っていうのは、言葉だったり、(指揮)棒の振り方だったり…、とにかく、ありとあらゆる手段を使って、自分のイメージした音を引っ張り出そうとは、するんだけど(僕の未熟者が!)…。
でも、この、"子供のように"っていうのが、平均年齢28歳?…大人のバンドにとっては、最も難しく、とにかく、厄介な表現なんだよね。
結局、毎年、曲のテンポ自体を速くしたり,無理な笑顔込みの演奏で、何とかしようとしたり、80人全員で、サンタクロースの格好をしてみたり…。
気持ちが、逃げ&ごまかしに入ってしまう。
で、そういうのは、会場に来ているチビっ子には、ちゃんと伝わるらしく、本番、指揮をしながら、チョイ、客席を振り向いた時、何度、そんな子たちの愛想拍手する姿を見てきたことか…。
ショックを受けてきたことか…。
そんな僕の夢…それは、会館の人には悪いんだけど、チビっ子に、客席、ふかふかのイスの上、元気に、土足で、連続ジャンプしてもらうこと。
でも、くそっ!時間がない。11月,12月は、それぞれに忙しい時期だし(ウチの楽団は、8割が社会人)、僕担当の曲のリハが、前日を入れて、3回しかとれない。どうしよう?
1曲目の「そりすべり」のどあたまの6小節だけ、決まれば(その雰囲気が出れば)…なんとかなる。
本番4日前のリハーサル中のこの土壇場においても、どんどん追い込まれ…というか、あきらめかけ始めた、その時、僕の目の前に、突然、神が降りてきた。クリスマス前の神様。
それが、はるごんだった。
イメージが、僕の体を突き抜けた。
家の中にいる僕。
朝、9時過ぎ、カフェオレ、大きめのカップ、眠たい…。
はるごんは、そんな僕の目の前に現れたかと思うと(どこから?)、すぐに、玄関から外に飛び出していったんだ。
すると、そこは、野球場ぐらいの広さかな?庭?広場?…とにかく、一面の雪景色で、なんか、300人vs300人ぐらいで、雪合戦をやってる。
そして、みんな、白い服を着ていて、なぜか、裸足で…。
で、よ-く見ると、その全員が、はるごんだった。つまり、600人強のはるごん。
あまりのことに、一度、引いた目で見ると、その庭?広場?の向こうにある雪をかぶった針葉樹林?の大パノラマ…野生のもみの木の森(畑かな?)の中央と右端の方から、"うんしょ!うんしょ!"…巨大もみの木を、まるで、みこしを担ぐ感じで、2本…。1本につき、(ちょっと見にくいポイントもあるんだけど)パッと見、50人~60人のはるごんが、全身を右に左に、ユッサユッサ…肩で風切りながら、まるで、「いなかっぺ大将」の風大左衛門か、「侍ジャイアンツ」の番場 蛮か…ってぐらいの勢いで、遠くの方から、でも、明らかに、こっちを目指して闊歩してくるの。
それよか、なんか、騒がしい!ふと、家の中に目をやると、40人ぐらいのはるごんが、七面鳥を焼いてたり、ケーキを作ってたり、叩き合いをしてたり、チョコレートのぬり合いをしてたり、ただただ、つまみ食いをしてる1人がいたり…正直、グッチャグチャ状態のキッチン&リビング。
"ピ、ピ-、ピ、ピ-"…何の音? 急いで、外に出てみると、5台ぐらいの巨大トラック(おそらく、20t以上)が、バックで、家の左側に次々と後ろづけしてて、で、後ろの荷台部分が、グーン!って、斜めになって、"ザ、ザ、ザザ-!"…銀の玉,金の玉,銀の星,金の星,赤の小物,白の靴下…などの飾り付けが、なだれてきて、最後に、"ドン!"…高さ80cmぐらいのチャイムが、何10キロだ!?…気がつくと、全トラックから放出されたクリスマスの飾り付けが、みるみる、家と同じぐらいの高さまで、こんもりと積み上がってんの。
そして、ひと仕事終えたトラックは、その、森というか、向こうの方に帰っていった。ほら、やっぱり、5台。
ちなみに、そのトラックの運転手たちも、全員、はるごんだった。
そんな画というか、イメージが、指揮台の上、困った僕の目の前に降りてきた。
なんだ?この不思議な感覚…。
僕は、そのイメージを、"こんな感じでいきたいねん! こんな音、ほしいねん!"って、なぞるように、(今、思うと)、ワインの国際ソムリエ協会会長の田崎真也さんみたいな感じで、とつとつと、楽団のみんなに伝え、いや、一生懸命、訴えたんだ。
ただ、"「はるごん」で、それを説明しても、たぶん、伝わらない。みんなのイメージを統一出来ない!"とか、瞬間的に思ったので、とっさに、その主人公の部分を、「芦田愛菜ちゃん」に置き換えて、伝えたんだ。
そして、もみの木運びの約100人に関しては、なぜか、「鈴木 福くん」って言うてもうてた。
すると、その直後の演奏に、ビックリした。
こうも変わるもんかね。理屈ではなく、目の前に展開される音が、1つ1つ、ぶるんぶるんと踊り出した。
飛び出し始めた。
あんな経験は、初めてだったよ。
なんか、僕、指揮者としてのステージ、1つ上がったのかな?…かも?
でも、まさに、はるごん、ありがとう!の瞬間、そして、思いだった。
で、本番も、お客さんのノリが、過去の空気とは、全然違うかったんだ。
イスの上で、ジャンプしたかどうかはわかんないんだけど、背もたれと座席部分の間に足を挟まれている子を発見した。
通路に出て、ノリノリで手拍子してくれている子が、10人ぐらいいた。
1番面白かったのは、指揮してる僕のすぐ後ろ、つまり、最前列よりも前で、僕の白タキシードのズボンの右すそを、アメをなめながら、ずっと、引っ張り続けている女の子。
実は、その子が、はるごんに、すっごく似てて、ちょっと、ん?
だけど、過去最高に盛り上がった演奏&客席だった。お客さん、いや、チビっ子って、やっぱり、わかるんだな…と。
本番終了後、高校生のメンバーの子に、指をさされながら、こんなことを言われたよ。
"先輩、今回は、完全に踊ってましたね!"
僕は、"あ、そっちか-!"って思った。
つまり、変わったのは、僕の方。
昔、学生の時、ある指揮者先生に、"お前は、舞台の上、全裸になっていいんだぞ"って言われたんだけど、やっと、その意味が、わかったような気がした。
やっとだ。
ま、でも、これから、当分の間、クリスマス曲,ディズニー曲,ジブリ曲は、全て、はるごんに任せようと思う。
はるごん、指揮台の上で、いつでも、降りてくるのを待ってます。
ただ、どうだろ? 3年後ぐらいには、"「はるごん」がね…"。
これで、13歳~69歳、ウチのメンバー全員が同じ画を描けられるような人になっていてほしい…なんて思ったりもしている。
ところで、あれから、3週間、実は、あの日、僕の右足を引っ張っていた子…思い出してしまうぐらい、あまりに似てた!…ので、正直、今、ちょっと、怖かったりとかしている。
どっかからのクリスマスプレゼントだったんだ!!!と無理やり思うようにしている今日この頃なのです。
とりあえず、はるごん、勝手にサンキュ。