WESTWOOD -手作りビンボー暮らし-

持続可能な社会とは、必要なものはできる限り自分(達)で作る社会のことだ。衣食住なんでも自分で作れる人が偉いのだ。

恋する宇宙に人類は(2)

2010年10月30日 | このごろ思うこと
宇宙と我々は何故存在するのか?

小さいころからの大疑問、死ぬまでになんとか解明しておきたいテーマである。
この謎を解くヒントが得られるかもしれないと、京都大学の市民講座「宇宙と物質の謎に迫る」に行ってきた。プログラムは、

 1.太田 隆夫(おおた たかお)(京大理物理学第―教室教授)
「地球上はソフトマターで満ちている」
“ソフトマター”という概念は知らなかったがおもしろいアプローチだと思った。「極性といえるようなある構造を有する物質分子は自らある種の秩序だった相変化をする」という、一見熱力学第2法則に反するような現象があり、これをコンピューターシミュレーションで解析してその挙動を予測しようというものである。身近な例としては液晶がある。この手法を使って生命誕生の謎に迫れるかもしれない。ただ、頭書の疑問に答を与えるものではなさそう。

 2.畑 浩之(はた ひろゆき)(京大理物理学第二教室教授)
「スーパーストリング -奇跡の究極理論-」
いわゆる「超ヒモ理論」である。頭書の疑問への答をもっとも与えてくれそうな期待感を持って聞いたがちょっと期待はずれであった。物質を素粒子レベルで矛盾なく記述することを目的として期待された理論だが、現状では停滞行き詰まり状態のようだ。

 3.一本 潔(いちもと きよし)(京大理附属飛騨天文台教授)
「母なる星太陽の謎」
このテーマも直接頭書の疑問の答に結びつくものではなかったが、太陽についてはまだ分からないことだらけであるということは分かった。

で、講演終了後の質疑応答で頭書の疑問を講師の方々にぶつけてみたが、「哲学的なこと、物理学ではそういうことは考えない」、「若い頃はそんなことも考えたこともあるが、年をとると考えなくなる」とか、要は「そんなことは考えても仕方がない」と言ったような回答で少々がっかりであった。確かにシロートっぽい素朴な疑問ではあろうが、科学の原点はそもそもこういう根源的な疑問から始まっていると思うのだが。

 数年前、好きでよく観に行った劇団「ヱビス堂大交響楽団」(残念ながら解散して今はもう無い)の演目に「恋する宇宙に人類は」というのがあった。同じだけれど時空移動で別の人格となる人物が何千万年の時空を越えて人類に恋する宇宙と対話するという壮大な物語であった。
 またある学者は「宇宙には意思があり、宇宙自身を認識させるために人類を誕生させた」と主張する。確かに認識されない宇宙は存在しないのと同じではある。ならば今もって宇宙を認識しきれない人類は進化の最終段階ではなく、さらに高度な認識力を持った生命体へと進化するのか、あるいは宇宙のどこかにすでに宇宙の意思を実現させる人類とは別の生命体が存在するのかもしれない。


 それにしても、こんな実利のないことばかりやっている基礎物理学の文教予算はますます減らされるのだろうなあ。

 ところで、質疑応答の中で「太陽の黒点変化と地球温暖化は関係があるか」という質問があったが以下のような回答であった。

 CO2は地球温暖化の元凶のように言われているが、まじめな気象学の専門家の間では「地球温暖化も、CO2主因説も現状では本当かどうかは何とも言えない」というのが現時点での定説であって、太陽の黒点変化も同様である。

CO2元凶説は政治的、経済的意図によって流布された恣意的「学説」ではあるようだ。