「誰も知らない基地のこと」というドキュメンタリー映画を見に行ってきた。
2010年、イタリア。ビチェンツァでの米軍基地拡大反対運動をきっかけに、「なぜ米軍基地がなくならないのか?」疑問に思い、世界の米軍基地問題に興味を持ったイタリア人とイギリス人若手監督が製作。
年初に、日本でも4月から順次ロードショー公開予定という情報を得て是非観たいと思っていた。
京都では「みなみ会館」での上映予定が告知されていたのだがなかなか始まらない。しびれを切らして今日から公開の大阪「七芸(第七芸術劇場)」へ観に行ってきた。
米国防総省2009年次報告書によると、世界38カ国に716の常駐基地があり、25万人の兵士が駐留し、110カ国に米軍が展開している。
本土在留、海洋展開と合わせて米軍兵士の総数は実に140万人超、兵器産業、基地建設産業、衛星・情報・諜報産業、基地周辺サービス産業(米軍基地内には学校、スーパー、映画館、アミューズメント、...なんでもそろってひとつの“町”を形成しているものも多い)、その他利害関係者を含めればこれはもう“原子力ムラ”ならぬ“戦争ムラ”とも言うべき、エネルギー、自動車、食料、情報などと並んで、アメリカに無くてはならないまさに国家戦略“基幹産業”なのだ。
という世界中を侵食している米軍の具体的な数字情報を得られた以外は、少しでもアメリカという国に関心を持って見ている者からすれば、すでに承知というか特に目新しい情報と分析が提示されるわけでもない。問題の掘り下げ方も期待したよりは浅いものであった。
しかしその浅さを差し引いても、製作者がこの映画で提示したメッセージは的確であった。
「アメリカにとっての脅威は、実は共産主義でも、北朝鮮でもイラクでも、テロでもドラッグでもない。
アメリカは今や、なんでもいいから絶えず“敵”を作り戦争を拡大再生産することによってしか国が立ち行かない構造になってしまっていること。そしてそのために大いなる迷惑をこうむっている人たちが世界中にゴマンといること。
そしてアメリカにとっての本当の脅威は、そうした真実に世界中の人々が、とりわけ一般のアメリカ国民が気付いてしまうことなのだ」
沖縄(琉球人)を生贄に差し出して敗戦後を生き延びた軍部、政財界の敗戦当事者はとっくに承知していたし、それを受け継いだ戦後世代の国民だって知っていた。知っていながら知らん振りで“戦争ムラ”に加担してきた恥知らずな日本人は、交付金で甘い汁を吸いながら日和見で手のひらを反した原発立地住民同様、実はもっと罪が深い。
その日本人達は今、一部の“原子力ムラ”の住人を除いて今やトレンドは“反原発”。“一億総反原発”化しつつある。自分たちが放射能を浴びるのはイヤだから原発廃止、再稼動反対!気持ちは理解できないわけではないがなんて身勝手な連中だろう。
「最低でも県外」はどうした?とは言うまい。しかし何も変わらないどころか、あの危ない“男遊び”とやらいうヘリヒコーキまでありがたく受け入れる卑屈さには胸が悪くなる。琉球を植民地とし生贄としてきた歴史を贖罪し、原発廃止にかけるエネルギーの半分でもいいから、「米軍追放20万人集会」くらい開いてもバチは当たらない。
あの橋下氏の言葉で唯一共感できた一言がある。「普天間を関空に移設する」。ついでに福井の原発も大阪港にもってくればよい。「尖閣」を買って普天間と原発を持って行くってのは狭くてちょいとムリか。