手づくりビンボー人は手づくりだけでは食えず、生活のためアルバイトもしないといけません。
仕事は人工林の調査。右は“親方”のOさん。私は助手です。
京都北山の民有林は、何町歩もある広大なものから150坪程度の猫の額みたいなものまでが複雑に入り組んでいます。
調査自体は半径6mの範囲にあるスギ、ヒノキの本数、個々の胸高直径と高さを記録するというものでそう難しくはありません。
問題は、目印もない山の中からその場所を見つけるのが大変なのです。仕事の99%は山中の道なき道をウロウロ登ったり降りたりの場所探しです。
猛暑の中、ジャングルのような、はたまた崖のような急勾配(「なんでこんなところに植林なんかしたのか」とグチの一つも言いたくなる)を登ったり下ったりは結構シンドイです。
風が涼しい尾根道を行くハイキングは楽しいですが、山中での場所探しは尾根から見下ろしたのではとても見つけられません。なので、道も無い沢から入って谷筋を数えながらの探索となります。これはもう、調査というより“探検”。
雨上がりの沢筋はヒルはいるは、ブヨにアブにハチ、日陰からマムシは出るは...。
おまけに、やっとたどり着いても現状が台帳の記録と異なっていることもしばしば。
山をよく知る経験豊かなOさんでなければとてもこなせませんね。
でもまあ、いかにして記録にある山域を見つけるか、よい勉強にはなりました。
あ~、しんどかった。
もともと誰のものでもなかったはずの恵みの山が、いつからどういう経緯で私物化していったのかよく分かりませんが、狭い日本の山を細分しジグソーパズルのようにしてしまった山林所有制度。
結局ほとんど管理もされずほったらかしなのに、国も自治体も森林組合も「所有者」の同意なしにはなにもできないのです。中には相続を重ね権利関係がこんがらがってしまっている山も。
日本林業衰退の大きな原因の一つはこの制度にもあるのではないかという思いを強くした今回の経験でした。