WESTWOOD -手作りビンボー暮らし-

持続可能な社会とは、必要なものはできる限り自分(達)で作る社会のことだ。衣食住なんでも自分で作れる人が偉いのだ。

万引き家族

2018年06月08日 | 映画(西部劇など)

シニア料金で平日映画鑑賞はリタイアオヤジの特権。
今日から一般公開、パルムドール受賞で話題の映画「万引き家族」を早速、観に行ってきました。

「家族にまつわる現代日本社会の病理を映像化、、、」とは一般的な映画評ですが、そうした視点からは、すでに周知の陳腐な社会問題を薄味にして詰め込んだ、ごった煮といった感じでした。
欧州の審査にあたった方々は、日本で起こっている虐待、年金不正受給、犯罪暮らし、非正規格差などなどのもっと過酷で、残虐・非情で悲惨な実態をご存じないから、この程度の内容でも社会派に見えてしまうのでしょう。もし、イラクやシリアでの映画祭だったら受賞はないと思う。むしろ私にはこんなホンワカした社会、家族なら仲間に入りたいとさえ思えてしまいました。
参考⇒ 「年金タカり」の現実

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もっとも、是枝監督のインタビュー記事を読むと、社会問題もさることながら「他人同士がどこまで家族になれるか、その絆について問題提起したかった」と書かれており、それが中心テーマだとしたら、社会問題はあくまで本テーマを表現する上での小道具でしかなく、あまり生の実態を出し過ぎてはかえって元のテーマがかすんでしまうという深謀遠慮があっての「薄味ごった煮」演出なのかなとは思えましたが。
余談ですが、本映画パルムドール受賞直後の「紀州のドンファン事件」はまさに日本のブラックジョークでした。

戦争と平和や原発、環境、暴力、格差社会といった、すでに周知の社会問題の提起といった映画はもう結構、お腹いっぱい。むしろ問題の原因と解決策を提起する方向にそろそろ進んでほしい、と期待している私には、そんなわけでちょっと期待外れでした。

ただ、俳優さんの演技としては、実在感のある安藤サクラさんと2人の子供たち、とりわけ両親に虐待されているときの暗い表情と万引き家族の仲間になって明るさを取り戻していく表情の演技?が秀逸の佐々木みゆちゃん、そしてもはやただただ感服の樹木希林さんはさすがだと思いました。

そんなこんなで、何故かいちばん記憶に残ったのは偽装父子で美味そうにコロッケ入りインスタントラーメンを食べるシーン。早速、食べてみました。まあ、うまいと言えばうまいか・・・な。