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●= Focus =介護保険どう変わる??2015年度の改革まとめ
介護・地域包括ケアについてのニュースサイト Joint 2014年2月13日
政府は12日、医療・介護の改革をまとめて盛り込んだ「一括法案」を閣議決定しました。
これまで様々なレベルで活発な議論が行われてきましたが、介護保険制度の改革の内容もようやく固まった形です。民主党や共産党などの野党は、高齢者の負担増やサービスの劣化に繋がるとして反対する方針ですが、与党が多数を占める国会の情勢から成立が確実視されています。法案が成立すれば、改革は2015年度から実施されていきます。
ここでは、一括法案に盛り込まれている介護保険制度の改革をまとめました。今後の国会審議で内容が修正される可能性もありますが、そうしたモノは決まり次第伝えていきます。
以前にも改革案のまとめをつくりましたが、その時はまだ決まっていない部分も多かったので、ここに改めてまとめました。今回は関連する改革も加えたアップデート版で、前回より詳しい内容になっています。リンクをはった記事では、さらに具体的な情報も紹介しています。
一括法案に盛り込まれた介護の改革まとめ↓
= 要支援者向けのサービス =
訪問介護とデイサービスが、市町村の地域支援事業へと段階的に移されることになりました。2015年度から2017年度が移行期間で、完全移行は2018年度からの予定です。地域ごとのニーズに応じた多様なサービスが提供されるよう、サービスの種類や内容、事業所の運営基準、報酬などの設定が市町村の判断に委ねられます。要支援者に限っては、市町村ごとに異なる介護保険がデザインされていくイメージといってもいいでしょう。市町村の裁量が今よりもずっと大きくなる仕組みなので、本当に十分なサービスが行き渡るのか心配する声や、地域によってサービスの質に大きな格差が出ることを危惧する声が上がっています。
= 保険料 =
低所得者向けの軽減措置が拡充されます。保険料の水準を決める所得区分のうち、現行で5割の軽減とされている第1段階・第2段階の高齢者について、負担の軽減割合を7割へと拡大。現行で2.5割の軽減とされている第3段階は2つに分け、収入に応じて5割と3割の軽減を新たに適用します。
= 自己負担 =
それなりに所得のある高齢者は、現行の1割から2割に引き上げられます。実施は2015年夏から。厚生労働省は、年金収入が単身で280万円以上、夫婦2人で359万円以上を対象にしたい考えですが、与党内には慎重論もあります。対象者は未だ確定しておらず、今後の国会審議などで変わってくる可能性があります。
= 認知症への対策 =
「初期集中支援チーム」と「地域支援推進員」の配置・運用が、新たに地域支援事業に位置づけられます。今年度からスタートした「オレンジプラン」を推進する施策の一環です。「初期集中支援チーム」は、認知症の症状が出た当初から最適な支援に繋げるためのもので、今年度からモデル的に活動を始めています。来年度の予算案では、一気に100ヵ所まで拡充できる財源が用意されました。一方の「地域支援推進員」は、サービスどうしの調整や様々な相談などを担って支援の輪をつなぐスタッフ。厚労省は、将来的に5つの中学校区に1人程度(全国約2200人)を配置する考えで、2017年度までに700人を確保する計画を進行中です。
= 特別養護老人ホーム =
原則として入居者を要介護3以上の人に限定します。入居を希望する高齢者の状況を考慮し、やむを得ない事情によって特養以外での生活が難しいケースだけが例外です。状態の重い待機者を少なくすることや、サービスを効率化・重点化して制度の持続性を高めることが狙いですが、要介護度で入所者を選別する考え方には異論・批判もあります。このほか厚労省は、これまで推進してきた個室ユニット型特養の整備について、2014年度までに全体の7割としていた目標を引き下げる考えを示しています。
= 介護福祉士 =
2015年度に予定されていた養成課程の見直しが、1年間延期されることになりました。このまま見直しを断行すれば、深刻な人手不足に拍車をかけてしまう懸念が強いとして、自民党内から先送りを求める声が上がったためです。一方、見直しの必要性を訴える介護福祉士会などは強く反発しました。厚労省は、延期する1年間をかけて見直しの内容に問題がないか検討する考えを示しています。
= 補足給付 =
受け取れる要件が厳格化され、対象者が絞り込まれることになりました。1000万円を超える預貯金があったり、配偶者がお金を稼いだりしている場合は、新たに支給の対象から外されます。また、遺族年金・障害年金の多寡が給付の要件として新たに加えられます。預貯金は本人の申告で判断する仕組みで、不正にはペナルティ(加算金)を設けることも決まりました。
= デイサービス =
提供されているサービスの内容や機能に応じて類型化し、メリハリのある報酬の設定に繋げていく方針が示されました。小規模な事業所のサービスを地域密着型サービスに再編し、市町村が指導・監督する仕組みへと移行させることも決まっています。
= 小規模多機能型居宅介護 =
登録定員の弾力化や人員配置の見直しによって、「訪問」の体制を強化していく考えが示されています。登録されている利用者だけにとどまらず、地域で暮らす高齢者への支援を広く展開する役割を担えるよう、スタッフの兼務要件をはじめとする指定基準を見直す方針も出されました。
= サービス付き高齢者向け住宅 =
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどが対象とされてきた「住所地特例」が、これまで対象から外されていたサ付き住宅にも適用されます。これに伴い、「住所地特例」の対象者なら地域密着型サービスや地域支援事業を使えるようにルールが改善されます。
= ケアマネジメント =
ケアマネの支援や育成に市町村が積極的に関与すべきという観点から、事業所の指定権限を都道府県から市町村に移すことになりました。また、ケアマネの養成カリキュラムを改善する方針も示されています。
= 福祉用具貸与 =
福祉用具専門相談員の資格要件が厳格化されます。ホームペルパーや介護職員初任者研修の修了者などについて、専門相談員の指定講習を修了しないと認めないように見直されます。
= 住宅改修 =
工事を請け負う事業者を市町村が登録する制度が新たに創設されます。登録を受けた事業者に工事を頼んだ利用者は、後から申請して給付を受ける「償還払い」ではなくなり、事業者に自己負担分だけを支払えば済むように改善されます。
= 介護保険事業計画 =
2025年を見据えたサービスの提供体制や給付・保険料水準の推計が追加されることになります。また、医療の計画と策定のサイクルを合わせ、それぞれの整合性を高めることも提案されました。このほか医療では、2025年に予想されるニーズを念頭に置き、適切な医療資源の量や配置を示す「地域医療ビジョン」を、都道府県ごとにつくることになっています。
= 地域支援事業の介護予防事業 =
高齢者の状態によって線引きしている1次予防・2次予防の区分をなくします。からだの弱った人も元気な人も分け隔てなく扱い、相互の繫がりによって活動への参加に繋げていく取り組みの方が、結果として大きな成果があがると考えたようです。また、要支援者向けのサービスが地域支援事業に移ってくるので、これとセットで「新しい総合事業」に再定義する予定です。
= 地域ケア会議 =
介護保険法に位置づけられて制度化されます。より実効性の高い仕組みとして定着させていくことや、提案された政策課題を着実に解消していくことなどをルールとして明確にし、質の高い地域包括ケアシステムの構築につなげていくのが狙いです。
= 医療との連携 =
介護と医療の連携を進める拠点となる機能を市町村が担う仕組みを、介護保険法の中に位置づけて制度化することになりました。市町村が主体的に関わっていく仕組みの中で、地域の医師会など医療サイドの関係者と密接に連携できるスキームをつくることで、医療と介護を一体的に提供できる体制の構築を進める狙いです。
= 介護サービス情報の公表制度 =
発信する情報を増やしていくことになりました。従来の内容に加えて、地域包括支援センターや生活支援サービスに関する情報を拡充していく予定です。
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