大きな病院は大きな病院として良いところがあると思っているので、意識して受診することがある。
今回、政府が、「紹介状なし」の場合の「大病院受診」を最低5千円追加負担、とするという。なんとひどい話。
そう感じたから、年初めの勉強で調べてみた。
ブログでは、厚労省のwebや会議の資料などにリンクしておく。
スポニチ(2015年1月5日)が簡潔にまとめている。
★≪厚生労働省は5日、大病院を紹介状なしで受診した患者に初診料とは別の追加負担を求める制度について、負担額を最低5000円とする検討に入った。2016年度からの導入に向け、関係者と調整を進める。高度な医療を提供する「特定機能病院」など全国の約250病院が対象となる見通し。
大病院が難しい治療に専念できるように医療機関の役割分担を進めるのが狙いで、昨年5月に成立した医療保険制度改革の関連法に導入が盛り込まれていた。外来患者が大病院に集中する問題が指摘されており、追加負担を求めることで軽症の場合は最初に身近な診療所などのかかりつけ医に相談するよう促す。≫
保険医協会はこれに反対していて
★≪「紹介状なし初診」、大病院の外来の3%に過ぎず 5,000円徴収でも患者数に変化なし 選定療養の義務化に反対する≫
≪目的とする外来機能の分化、勤務医の負担軽減のための外来患者数の削減は、この方策では成しえないことが実証された≫
「大病院受診」の定義が当然の前提。
ビジネスジャーナルではその分類も示しながら、
★≪ほかにも、入院患者の病院に支払う食費の自己負担額(1食当たり原則260円)も大幅に引き上げる方向で検討している。これは、全額自費の在宅患者との公平性を図ることを狙ったものだが、米国では同様の措置を行ったために、食費を払えない入院患者が急増した例もある。
そもそも安倍晋三政権は、昨年4月の消費税率引き上げの際に、「増税分は社会保障へ使う」と説明し、目的税化したはずだ。それを反故にするように、国民に医療費負担の増加を押し付ける政策を検討すること自体が公約違反ではないのだろうか。≫
もっともな主張だと納得する。
●人気ブログランキング = 今、1位
人気ブログランキング参加中。気に入っていただけたら ↓1日1回クリックを↓
★携帯でも クリック可にしました →→ 携帯でまずここをクリックし、次に出てくる「リンク先に移動」をクリックして頂くだけで「10点」 ←←
★パソコンは こちらをクリックしてください →→←←このワン・クリックだけで10点
★厚生労働省 社会保障審議会 (医療保険部会)
★ 紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担の在り方について
平成26年10月15日 第82回社会保障審議会医療保険部会 資 料 1
療養の範囲の適正化・負担の公平の確保について
・紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担の在り方について ・・ 2
・入院時食事療養費・生活療養費について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
・後期高齢者の保険料軽減特例について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
・高齢者の自己負担について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
・標準報酬月額の上限引上げについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
・国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について ・・・・・・・ 86
・健康保険・船員保険の保険料率の上下限引上げについて ・・・・・・・・ 96
6ページ/外来医療の機能分化・連携の推進について 【これまでの取組】
(写真をクリックすると拡大)
11ページ/紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担を導入する趣旨
○ フリーアクセスの基本は守りつつ、限りある医療資源を効率的に活用する観点から、大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は「かかりつけ医」に相談することを基本とするシステムを普及させ、医療機関間の適切な役割分担を図ることは重要な課題。
○ 現行制度でも、紹介状のない患者が200床以上の病院を受診した場合に、病院は選定療養として、初・再診時に一定の自己負担を求めることができるが、200床以上の病院のうち自己負担を徴収している病院は、初診については45%、再診については4%にとどまっていることから、定額負担を徴収することを制度化し、医療機関の更なる機能分化を促進する。
○ さらにこの定額負担の導入は、大病院の勤務医の負担軽減に対して重要な意味がある。
○ なお、上記のようなシステムの普及のためには、あわせて、主治医機能の強化も含め、診療報酬上の対応、地域医療構想(ビジョン)の達成に向けた対応等が講じられることが重要。
|
●初診の追加負担5千円に 紹介状なしの大病院受診 16年度から
スポニチ 2016年1月5日
厚生労働省は5日、大病院を紹介状なしで受診した患者に初診料とは別の追加負担を求める制度について、負担額を最低5000円とする検討に入った。2016年度からの導入に向け、関係者と調整を進める。高度な医療を提供する「特定機能病院」など全国の約250病院が対象となる見通し。
大病院が難しい治療に専念できるように医療機関の役割分担を進めるのが狙いで、昨年5月に成立した医療保険制度改革の関連法に導入が盛り込まれていた。外来患者が大病院に集中する問題が指摘されており、追加負担を求めることで軽症の場合は最初に身近な診療所などのかかりつけ医に相談するよう促す。
初診時の最低額はこれまで5000円か1万円とする案が有力だったが、厚労省は初診時に最低5000円とし、病院独自の判断で5000円超も可能とすることを検討。再診時も1000円~2500円の追加負担を検討している。
ただ地域に大病院しかない場合や、救急車で運ばれた場合などやむを得ないケースでは対象外とする方針だ。
現在も200床以上の病院で追加負担を求めることができる。初診時には約1200カ所が実施し、平均額は約2400円となっている。
●「紹介状なし初診」、大病院の外来の3%に過ぎず 5,000円徴収でも患者数に変化なし 選定療養の義務化に反対する
医療維新 - m3.comの医療コラム2015年5月5日 桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)
紹介状なしの大病院受診に関し、実際に5,000円以上を徴収している大学病院で外来患者数の大きな変動に繋がっていない実例が過日、全国医学部長大学病院長会議の調査として報告された。この大病院受診の5,000~1万円の徴収「義務化」が国会審議中だが、目的とする外来機能の分化、勤務医の負担軽減のための外来患者数の削減は、この方策では成しえないことが実証された格好だ。われわれは、過度な患者負担により受療行動の変容を強要し、患者の受療権を奪う、選定療養(差額徴収)の義務化に反対する。
◆5,000円以上の差額徴収でも、外来患者数は顕著な減少は見せず
全国医学部長病院長会議が実施した、紹介状なしでの大病院受診の選定療養の実態調査によると、選定療養での徴収額を一定期間内で5,000円以上に引き上げた実際例で外来患者数が「横ばい」と大きな変動がないことが報告された。具体的には東邦大医療センター大森病院は、紹介状なし患者の選定療養を14年4月に3,150円から3,240円に、14年7月には5,400円に段階的に引き上げた。3,240円とした3カ月間の平均外来患者数(1日)は2,330人、5,400円に変更後は15年1月迄の7カ月間の平均外来患者数(1日)は2,317人で「横ばい傾向」となっている。選定療養の徴収件数は42.6件から32.9件の減少を見せているが、当該病院の病床数の倍近い外来患者数は不変である。(メディファクス2015.4.13)。厚労省が適正とする病床数の1.5倍への収斂策としての実効は甚だ疑問である。
また、調査では5,000円以上徴収している大学病院本院が全施設の33.7%(80施設のうち27施設:今年3月時点)を占めており、これら先行例に関し顕著な外来患者数の減少については何も聞こえてこない。
外来患者数は大学病院、大病院で経年的にみると減少傾向にあるが、それは各病院の紹介率、逆紹介率の向上に向けた広報や具体的取組み、診療報酬での減算措置の影響が大きく、これに重ねて患者3割負担以降の受診抑制が家計所得の減少と相まって作用しているのが現場実態である。
◆事実上の「受診時定額負担」導入、一体改革の規定路線
・・・・・・(略)・・・
◆医療機関の「責務規定」の応用はパンドラの箱
・・・・・(略)・・・
◆紹介状のない初診患者は外来患者の3% すり替えられている紹介の議論 ポイントは再診患者
実は病院の外来患者の90.2%は再診患者である(2011.10.5中医協資料)。初診患者は9.8%に過ぎず、その紹介率の多寡に重きをおき論じられているが、外来機能の分化、役割分担を図るのなら、本来は再診患者の縮小がポイントとならないとおかしい。特定機能病院、500床以上の病院の紹介率は各々40.6%、31.8%(2013.9.30中医協資料)であり、紹介状のない初診患者は外来患者の3%程度にすぎないのである。
・・・・・・(略)・・・
●政府、病院の初診料「一律1万円」の患者負担を検討…さらに入院時の食費負担増も
ビジネスジャーナル 2015.11.19文=鷲尾香一/ジャーナリスト
体調が悪くなって病院で診療を受けると、診療継続中でない限り初診料を払わなければならない。この初診料を1万円にする案が厚生労働省で検討されている。「長時間待ちの数分間診療」と揶揄される病院での診察で、こんな暴挙が起ころうとしている。現在、厚労省の社会保障審議会は、「大病院に紹介状がなく外来を受診した場合、初診時に通常の窓口負担とは別に一定額の支払いを徴収する」方向で検討を行っている。
病院には大きく分けて、以下の3種類がある。
(1)特定機能病院
高度医療を提供し、医療技術の開発・評価を行い、研修ができる病院。400床以上の病床数を持ち、厚生労働大臣によって承認される。
(2)地域医療支援病院
医療機器などを一般病院や診療所と共同で利用し、かかりつけ医を後方支援する病院。200床以上の病床数を持ち、都道府県知事によって承認される。
(3)その他の一般病院
特定機能病院、地域医療支援病院以外の病院。
大病院とは、上記のうち病床数200床以上の病院を指す。
・・・・・・・・・・(略)・・・
確かに、緊急患者などへの対応に影響が出たり、軽い症状の患者が大病院に行くことで外来患者数が無用に増加し、混雑を引き起こし、満足な診察を受けられないことには問題がある。だからといって、特別料金として初診料に1万円を上乗せして、大病院から患者を遠ざける方法が得策なのだろうか。
厚労省の社会保障審議会では、大病院の初診料特別料金のほかにも、入院患者の病院に支払う食費の自己負担額(1食当たり原則260円)も大幅に引き上げる方向で検討している。これは、全額自費の在宅患者との公平性を図ることを狙ったものだが、米国では同様の措置を行ったために、食費を払えない入院患者が急増した例もある。
そもそも安倍晋三政権は、昨年4月の消費税率引き上げの際に、「増税分は社会保障へ使う」と説明し、目的税化したはずだ。それを反故にするように、国民に医療費負担の増加を押し付ける政策を検討すること自体が公約違反ではないのだろうか。
| Trackback ( )
|
|
|
|
|
|