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てらまち・ねっと



 昨日、最高裁が「クロレラ」の宣伝のチラシ配布の差し止め事件に関して、地裁が差し止めを認めたことを高裁が否定したことについて、追随の結論を出した。
 結論は、一審が差し止めを認めたので、「会社は配布を中止」した。
 それはともかく、高裁は「広告は勧誘には当たらない」との理由付け、それに対して、最高裁は「広告が勧誘行為として規制対象になり得る」との初判断をした。
 もともと、地裁判決に従えば、企業広告など各界の業界も大きな影響を受ける、とされていた事件。

 時事通信★≪一審京都地裁は2015年、「チラシは、商品が厳格に審査された医薬品と誤認させる恐れがある」と指摘して差し止めを認めた。しかし、二審大阪高裁は16年、「広告は勧誘には当たらない」と判断した上で、同社が一審判決以降は配布していないことも踏まえ、請求を棄却した。消費者団体側が上告。最高裁も、既に配布が中止されていることから上告は棄却した。≫

  昨年2月の大阪高裁判決を1年もしないうちに、高裁の理由付けを否定した最高裁判決、ということも興味深い。
 そんなことも思いながら、昨日の最高裁の判決を確認した。全文はブログにも記録。要点をまとめているのは「報道記事」なので、まずそれを点検。
 なお、今朝は、マイナス4.6℃と今冬最低の寒さ。それでウォーキングはサボる。

●広告も差し止め対象=健康食品めぐり初判断-最高裁/時事 2017/01/24
●広告も法規制の対象に 内容虚偽なら契約取り消し/共同 1月24日
●広告も「勧誘」の規制対象 健康食品チラシ訴訟、最高裁初判断/日経 1/24

●広告訴訟:チラシも差し止め対象 最高裁初判断/毎日 1月24日

●「クロレラで病気が改善」という体験談広告に、裁判所が差し止め命令!/イロリオ-2015/01/20
●クロレラ広告「誇張限度大きく超える」―京都地裁 販売会社に差し止め命令/あなたの健康百科 2015年01月22日
●サン・クロレラ販売の広告手法で「商品広告」の要件覆す判決 「多くの企業が行う広告手法もアウトになる」/通販 2015年2月5日
★ライオンのトクホに初の勧告 健増法「誇大広告」初適用の衝撃/通販 2016年3月3日

★最高裁判例  平成29年1月24日  最高裁判所第三小法廷 平成28年(受)第1050号 クロレラチラシ配布差止等請求事件

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●広告も差し止め対象=健康食品めぐり初判断-最高裁
    時事 2017/01/24-15:50
 健康食品のチラシ広告が、消費者契約法に基づき差し止めを請求できる「勧誘」に当たるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は24日、「広告のような不特定多数への働き掛けも、勧誘に当たる場合がある」との初判断を示した。
 最高裁の判断は、広告も差し止めの判断対象となり得ることを示したもので、消費者の利益保護につながる可能性がある。

 訴訟は、京都市の消費者団体が、健康食品会社「サン・クロレラ販売」(同市)に新聞折り込みチラシの配布差し止めを求めた。
 一審京都地裁は2015年、「チラシは、商品が厳格に審査された医薬品と誤認させる恐れがある」と指摘して差し止めを認めた。しかし、二審大阪高裁は16年、「広告は勧誘には当たらない」と判断した上で、同社が一審判決以降は配布していないことも踏まえ、請求を棄却した。

 消費者団体側が上告。最高裁も、既に配布が中止されていることから上告は棄却した。


●広告も法規制の対象に 内容虚偽なら契約取り消し
      共同 2017年1月24日
 消費者団体が新聞の折り込みチラシ広告の差し止めを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は24日、チラシのような広告も「契約の勧誘」に当たり、内容がうそだったり重要な事実を隠したりした場合、消費者契約法に基づき、商品購入契約の取り消しや、広告の差し止めの対象になりうるとの初判断を示した。

 不当な勧誘による被害は後を絶たない。顧客に契約を直接勧める店頭や個別訪問での販売だけでなく、新聞や雑誌などの紙媒体からテレビ、インターネットまで広告全般を消費者契約法の規制対象に広げ、救済が図りやすくなりそうだ。

●広告も「勧誘」の規制対象 健康食品チラシ訴訟、最高裁初判断
        日経 2017/1/24 21:01
 不特定多数に向けた広告が消費者契約法が規制する「勧誘行為」にあたるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が24日、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)であった。同小法廷は、広告が勧誘行為として規制対象になり得るとの初判断を示した。

 問題になったのは健康食品として知られる「クロレラ」の新聞折り込みチラシ。高血圧や糖尿病の予防効果をうたったチラシを配布した京都市の健康食品会社に対し、消費者団体が不当な勧誘だとしてチラシの差し止めを求めて提訴した。

 昨年2月の二審・大阪高裁判決は「不特定多数の読者にチラシを配布した時点では勧誘行為にあたらない」と判断した。だが、同小法廷は「消費者を保護する法の趣旨に照らせば、不特定多数に向けた広告を一律に勧誘行為の対象から外すことはできない」と述べた。

 同小法廷は、会社側にチラシ配布の差し止めを求めた消費者団体の上告を棄却。すでにチラシが配布されていないことを理由に「差し止めの必要がない」とした二審判決の結論は維持した。

 不特定多数向けの広告を消費者契約法の規制対象に含むかどうかについては、国の専門調査会で議論されている。

 消費者契約法の規定では、企業が事実と違うことを告げた場合などに消費者が契約を取り消すことができる。2006年改正で不当な勧誘をする業者に対し、消費者団体が勧誘行為の差し止め請求訴訟を起こせるようになった。

 一審・京都地裁判決は「医薬品と誤認される恐れがある」として広告の差し止めを命じた。

●広告訴訟:チラシも差し止め対象 最高裁初判断
      毎日 2017年01月24日 20時05分
 不特定多数に向けたチラシなどの広告が消費者契約法に基づく差し止めの対象となるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は24日、「不特定多数に向けられていることを理由に差し止めの対象から一律に除外することはできない」との初判断を示した。個別の消費者への働き掛けでなければ差し止められないとする考え方もあったが、小法廷は消費者保護をより重視した形だ。

 同法は、事業者が契約の勧誘で事実と異なることを告知した場合は、消費者団体が差し止めを求めることができると定めている。今回の判断は、個別の契約取り消しにも適用される可能性がある。

 訴訟では、京都市の消費者団体が2014年1月、健康食品販売会社「サン・クロレラ販売」(同市)が医薬品と誤認させる宣伝をしたとして、チラシの差し止めを求めた。

 1審・京都地裁は差し止めを認めたものの、2審・大阪高裁は「特定の消費者への働き掛けでなければ規制すべき勧誘に含まれない」などと1審を取り消した。小法廷は「不特定多数向けでも、個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることはあり得る。勧誘に当たらないとは言えない」と結論付けた。

 1審後に同社がチラシの内容を見直すなどしたため、小法廷は2審の結論は維持して消費者団体の上告を棄却。同社の勝訴が確定した。【島田信幸】


●「クロレラで病気が改善」という体験談広告に、裁判所が差し止め命令!
        IRORIO(イロリオ) - 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議-2015/01/20 > Text by 長澤まき

クロレラに広告差し止めの判決
NPO法人「京都消費者契約ネットワーク(KCCN)」が「サン・クロレラ」に対して新聞チラシの配布差止を求めた裁判で21日、京都地裁の橋詰均裁判長はサン・クロレラに広告の差し止めを命じた。

健康食品に関する広告差し止めを命じる判決は、これが全国初だという。

1年以上前から広告を止めるよう訴えていた
KCCNの訴状によると、同団体は2013年11月にサン・クロレラに対してチラシの差し止めを求める請求を送付した。

請求の内容は、サン・クロレラが「日本クロレラ療法研究会」という名前で、定期的に配布している新聞折り込み広告を差し止めるようにというもの。

日本クロレラ療法研究会の広告には、クロレラなどを摂取することで「高血圧」や「自律神経失調症」「肺気腫」などの症状が改善されるという内容が記載されている。

KCCNは、クロレラは医薬品ではないにも関わらずこのような広告を配布することは、消費契約法の不実告知に該当すると考え、サン・クロレラにチラシ配布を止めるように訴えたのだ。

クロレラは「違法ではない」と主張
これに対し、サン・クロレラは、「クロレラ研究会はチラシにクロレラ等の健康食品に使われる原材料や成分を表示しただけで、サン・クロレラ社の具体的な商品名は表示していないので、規制には該当しない」と回答。

また、サン・クロレラは「チラシは特定商品の購入を消費者に直接働きかけるものとはいえない」として、違法な点はないと主張した。

「クロレラ研究会」と「サン・クロレラ」の繋がりを指摘
しかし、クロレラ研究会のチラシに記載された電話番号がサン・クロレラ社の契約だということが判明。また、クロレラ研究会に資料請求をすると、サン・クロレラの商品カタログが送られてくる仕組みになっていることも分かった。

KCCNは、「クロレラ研究会の名称で配布されたチラシは、実際にはサン・クロレラ社のものとして機能している」と考え、サン・クロレラの行為は「消費者契約法」や「景品表示法」に違反するとして、2014年1月に京都地方裁判所に差止請求訴訟を提起した。

ネット上には「ようやく」という声
この判決を受けて、ネット上には多くの反響が寄せられている。

真っ黒ではないか
今まで広告差し止め命令が出されなかったのが不思議なくらいだ
健康食品とか化粧品の広告ってよくインタビュー形式で誰かが応えてるけどあんなん本音じゃないからな~
これまでよくまかり通ってたと思っていたよ。この判例を皮切りに続々と・・・となるかな?
差し止めだけじゃなくて懲罰的損害賠償認めさせない限りやったもん勝ちになるよね
以前見たクロレラの広告の「有効な病気一覧」に糖尿病、高血圧等の病名に並んで「各種ガン」ってのがあって、いろいろすげえなと思いました
「病気が治りました」などといった使用者の声を載せた広告に、胡散臭さを感じている人は多いようだ。

今回の判決を皮切りに、健康食品等の広告に対して消費者の目がさらに厳しくなるかもしれない。

●クロレラ広告「誇張限度大きく超える」―京都地裁 販売会社に差し止め命令
     あなたの健康百科 2015年01月22日
サプリメント社会
 京都地裁は1月21日、健康食品「クロレラ」の広告について、医薬品のような効能があると表示するのは景品表示法(不当景品類および不当表示防止法)に違反するとして、販売会社「サン・クロレラ販売」(京都市)に対し、表示と広告配布の差し止めを命じた。橋詰均裁判長は「広告として許容される誇張の限度を大きく超える」と指摘。一方、同社は代理人を通じて高裁に控訴する方針を示したほか、日本クロレラ療法研究会は公式サイトに声明文を掲載している。

改善効果を体験談で表示
 訴えを起こしたのは、京都市のNPO法人「京都消費者契約ネットワーク」。同団体によると、健康食品に関する広告の差し止めを命じる判決は、全国で初めてという。

 訴状によると、同社と所在地が同じ「日本クロレラ療法研究会」が、植物成分のクロレラ(淡水に生息する緑藻の一種)には高血圧や肺気腫などを予防する効果があり、がんや糖尿病が改善したなどと効能をアピールする体験談を掲載した新聞の折り込み広告を定期的に配布。原告側は、クロレラが医薬品と誤認させる恐れがあるとしていた。

 一方、同社側は「研究会と会社は別」「商品名は表示しておらず、クロレラなどの効用を紹介しただけ」と反論(参考:提訴に関する報道を受けて)。内容についても「これまでの研究発表や体験談に基づいている」としていた。なお、クロレラが高血圧などに効果があったとする研究結果もあるが、国立健康・栄養研究所は「ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない」としている。

「研究会=会社」「広告=販促目的」
 判決では、研究会が会社から独立した存在でなく、広告も販売促進が目的と認められると指摘。体験談についても病気の予防・治療効果を暗示しており、景品表示法の「優良誤認」に当たると判断し、同社に表示と広告配布の差し止めを命じた。

 この判決に対して同社の代理人弁護士は「極めて不当」とし、大阪高裁に控訴する方針。日本クロレラ療法研究会は公式サイトで、以下の声明文を掲載してる(原文ママ)。
・・・(略)・・・

●多くの健食通販会社は“アウト”? サン・クロレラ販売の広告手法で「商品広告」の要件覆す判決 「今回の(広告手法の)件がアウトなら、多くの企業(が行う広告手法)もアウトになる」(ある行政関係者)という
       通販新聞 2015年2月5日
サン・クロレラ販売(以下、サ社)の広告手法を巡る訴訟の判決を受け、関係者の間に波紋が広がっている。京都地裁が1月21日、「クロレラ」に医薬品のような効果があるとするチラシは景品表示法に違反するとして、適格消費者団体の差し止め請求を認めたためだ。これを受け、全国の適格団体からは「画期的な判決」など評価する声があがっている。だが、どちらに転んでも健食業界に大きな影響を及ぼすことになる今回の訴訟。今後も訴訟の行方を注視する必要がある。

判決がどっちに転んでも大変な影響に
「(判決が)どっちに転んでも大変な影響がある」。今回の判決を受け、ある行政関係者はこう話す。理由は後述するが、まず裁判に至る経緯を振り返りたい。
・・・(略)・・・

★ライオンのトクホに初の勧告 健増法「誇大広告」初適用の衝撃
       通販新聞 2016年3月 3日
 消費者庁は3月1日、ライオンが販売する特定保健用食品(トクホ)に対し、健康増進法に基づく勧告を行った。トクホに対する運用も初めてだが、健増法の勧告も初めて。今回の措置は、消費者庁が健増法の運用を変えてきたことを示している。だが、国の許可を得たトクホに対する社名公表を伴う措置は、そのハレーションがあまりに大きい。業界内外からは早くもこの判断に「過剰規制でやりすぎ」との声があがっている。事業者へのインパクトの大きさだけを求めた無理筋ともいえる規制は、議論を呼ぶことになりそうだ。
・・・(略)・・・

 最高裁判例
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事件番号  平成28(受)1050 事件名  クロレラチラシ配布差止等請求事件 裁判年月日  平成29年1月24日
法廷名  最高裁判所第三小法廷  裁判種別  判決  結果  棄却
原審裁判所名  大阪高等裁判所  原審事件番号  平成27(ネ)503  原審裁判年月日  平成28年2月25日
裁判要旨  事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても,そのことから直ちにその働きかけが消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできない

● 全文
平成28年(受)第1050号 クロレラチラシ配布差止等請求事件
平成29年1月24日 第三小法廷判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理 由
上告代理人長野浩三ほかの上告受理申立て理由第5について
1 本件は,消費者契約法(以下「法」という。)2条4項にいう適格消費者団
体である上告人が,健康食品の小売販売等を営む会社である被上告人に対し,被上
告人が自己の商品の原料の効用等を記載した新聞折込チラシ(以下「本件チラシ」
という。)を配布することが,消費者契約(法2条3項)の締結について勧誘をす
るに際し法4条1項1号に規定する行為を行うことに当たるとして,法12条1項
及び2項に基づき,被上告人が自ら又は第三者に委託するなどして新聞折込チラシ
に上記の記載をすることの差止め等を求める事案である。本件チラシの配布が法1
2条1項及び2項にいう「勧誘」に当たるか否かが争われている。

2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 被上告人は,昭和48年から,単細胞の緑藻類であるクロレラを原料にし
た健康食品を販売している。
(2) 被上告人は,平成25年8月21日,クロレラには免疫力を整え細胞の働
きを活発にするなどの効用がある旨の記載や,クロレラを摂取することにより高血
圧,腰痛,糖尿病等の様々な疾病が快復した旨の体験談などの記載がある本件チラ
シを,京都市内で配達された新聞に折り込んで配布した。
(3) 本件チラシは,平成27年1月22日以降,配布されていないところ,被
上告人は,同年6月29日以降,上記(2)の記載がないチラシを配布している上,
今後も本件チラシの配布を一切行わないことを明言しており,被上告人が本件チラ
シを配布するおそれがあるとはいえない。

3 原審は,法12条1項及び2項にいう「勧誘」には不特定多数の消費者に向
けて行う働きかけは含まれないところ,本件チラシの配布は新聞を購読する不特定
多数の消費者に向けて行う働きかけであるから上記の「勧誘」に当たるとは認めら
れないと判断して,上告人の上記各項に基づく請求を棄却した。
- 2 -

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
法は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み,消費
者の利益の擁護を図ること等を目的として(1条),事業者等が消費者契約の締結
について勧誘をするに際し,重要事項について事実と異なることを告げるなど消費
者の意思形成に不当な影響を与える一定の行為をしたことにより,消費者が誤認す
るなどして消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をした場合には,当該消費者は
これを取り消すことができることとしている(4条1項から3項まで,5条)。そ
して,法は,消費者の被害の発生又は拡大を防止するため,事業者等が消費者契約
の締結について勧誘をするに際し,上記行為を現に行い又は行うおそれがあるなど
の一定の要件を満たす場合には,適格消費者団体が事業者等に対し上記行為の差止
め等を求めることができることとしている(12条1項及び2項)。

ところで,上記各規定にいう「勧誘」について法に定義規定は置かれていないと
ころ,例えば,事業者が,その記載内容全体から判断して消費者が当該事業者の商
品等の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識し得るよう
な新聞広告により不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは,当該働きか
けが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得る
から,事業者等が
不特定多数の消費者に向けて働きかけを行う場合を上記各規定にいう「勧誘」に当
たらないとしてその適用対象から一律に除外することは,上記の法の趣旨目的に照
らし相当とはいい難い。

したがって,事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたもので
あったとしても,そのことから直ちにその働きかけが法12条1項及び2項にいう
「勧誘」に当たらないということはできない
というべきである。

5 以上によれば,本件チラシの配布が不特定多数の消費者に向けて行う働きか
けであることを理由に法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たるとは認められ
ないとした原審の判断には,法令の解釈適用を誤った違法がある。
しかしながら,前記事実関係等によれば,本件チラシの配布について上記各項に
いう「現に行い又は行うおそれがある」ということはできないから,上告人の上記
各項に基づく請求を棄却した原審の判断は,結論において是認することができる。
論旨は,原判決の結論に影響を及ぼさない事項についての違法をいうものにすぎ
ず,採用することができない。
なお,その余の請求に関する上告については,上告受理申立て理由が上告受理の
決定において排除されたので,棄却することとする。
- 3 -
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山崎敏充 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官
大橋正春 裁判官 木内道祥)


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