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てらまち・ねっと



 原発関連のことは時々確認することにしている。
 昨年末の高速増殖炉「もんじゅ」の実質的な廃炉決定は歓迎として、その次の「新たな高速炉開発の方針」などは全国各界から強い批判が出ている。
 そのあたりを確認して記録しておく。
 このような政府の方針の背景は次が端的。私の思いも基本的に同じなので、要約させてもらった。
 「力」を示す核を持ちたい政治家たちがいて、官僚や電力会社の持ちつ持たれつ構造ができてしまって、それを自ら断ち切れないことが原因、とでも。

 ★まぐまぐニュース 2017.01.05 ★「もんじゅ」廃炉決定も、日本が原発から撤退できぬ根本的な理由/・・第二次世界大戦で敗戦したために、国連の常任理事国になれず、核の保有国にもなれなかった、という大きな政治的ハンデを日本が背負ってしまった。その克服のために、過去の政治家たちが苦労して手に入れたのが、日米原子力協定、高速増殖炉の開発ノウハウ、六ケ所村の再処理施設。・・米国の原発ビジネスを引き取る形で東芝・日立・三菱重工の三社が原発事業に大きく依存するようになってしまい、「国策」に従って原発に投資してきた電力会社も、天下り先を大量に作ってしまった官僚たちも、「引くに引けない」状況になってしまっている・・高速増殖炉の実用化の目処が立たなければ、核のリサイクルも成り立たず、日本が備蓄してきた50トンものプルトニウムは破棄すべき、という外圧が強くなることは明確≫

 なお、今朝の最低気温はマイナス4度以下。軟弱にもノルディックウォークは2日続きでお休みにしよう。
 ともかく次を記録しておく。

●もんじゅ廃炉作業の早期監視 法令改正し専門チーム設置へ/NHK 2017年1月18日
●もんじゅ廃炉、国が福井県議会に説明 対応に批判相次ぐ/日経 1/17
●もんじゅ廃炉、反対派「感慨無量」 リスクは今後も、監視続ける/福井 2016年12月26日
●もんじゅ廃炉めぐる新聞社説 ついにアノ社にも「変化」/J-CAST 12月30日

●怪死の動燃・総務部次長 妻「もんじゅ維持のために1人が死んだ」/田中龍作 1月16日
●「もんじゅ」廃炉決定も、日本が原発から撤退できぬ根本的な理由/まぐまぐニュース 1.05
・・・・・・・・・・・・・・
●もんじゅ廃炉、21日に正式決定 /日経 2016/12/17
●「到底受け入れられない」と福井県知事がもんじゅ廃炉方針を拒否 国側は再度説明へ/産経 12.19
●新たな高速炉開発の方針案まとまる/NHK 12月19日
●もんじゅ廃炉に3750億円以上 新たに「高速炉」計画/レ朝 12/19
●もんじゅ廃炉 政府「実証炉」開発へ舵…将来に禍根を残す可能性も/iza 12.19

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 ★ 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 
 「もんじゅ」の主要な仕様
● 原子炉の形式 :ナトリウム冷却高速中性子型増殖炉
● 熱出力    :71万4千kW
● 電気出力   :28万kW
● 燃料の種類  :プルトニウム・ウラン混合酸化物


●もんじゅ廃炉作業の早期監視 法令改正し専門チーム設置へ
          NHK 1月18日
廃炉が決まった福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」について、原子力規制委員会は、早期に廃炉作業の監視ができるよう法令を改正するとともに、専門の監視チームを設置することを決めました。

安全管理上の問題が相次いだ高速増殖炉もんじゅをめぐって、政府は先月、運転再開に多額の費用がかかることなどから廃炉にすることを決め、およそ30年かけて廃炉にする方針を示しています。

これについて18日の規制委員会では、もんじゅの場合、最初に行われる原子炉からの核燃料の取り出しにおおむね5年半という長い期間が必要なことから、安全上のリスクを早期に減らすため、通常の原発と異なり、すべての核燃料を取り出す前でも廃炉の具体的な計画を申請できるよう法令を改正することを決めました。

これによって核燃料の取り出しも廃炉作業の一環と法的に位置づけられることになり、早い段階から廃炉作業の監視を始めるなど規制が強化されることになります。また、廃炉の計画や作業が妥当かどうかを議論する専門の監視チームを設置することも決めました。

規制委員会は、近く事業者の日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長から廃炉を着実に進めるための体制などについて話を聞くことにしています。

●もんじゅ廃炉、国が福井県議会に説明 対応に批判相次ぐ
       日経 2017/1/17
 廃炉が決まった高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について政府は16日、福井県議会全員協議会でこれまでの経緯と今後の方針について説明した。県議からは会派を越えて、拙速な議論や地元軽視への批判が相次いだ。文部科学省の田中正朗研究開発局長は「結果については申しわけなく思っている。何度でも説明させていただきたい」と答えた。

 政府が県議会に説明に訪れたのは、昨年9月、もんじゅ存廃の議論が浮上して以降初めて。ある県議は「一方的に国が決めたことの説明を受けても話にならない」と反発。別の県議は「地元理解を得るつもりなら、(廃炉を決めた)12月21日に戻って議論をやり直すべきだ」と迫った。

 また、トラブルの相次いだ運営主体の日本原子力研究開発機構が廃止措置を担うことへの不信感や、今後の核燃料サイクルについての質問が複数の議員から出た。

 政府は4月をめどに廃炉の詳細な体制や基本計画を決める方針だ。今後は、2月の県議会や県民への説明会などを通じて地元理解を求めていくとみられる。

●もんじゅ廃炉、反対派「感慨無量」 リスクは今後も、監視続ける
      福井 2016年12月26日
 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)へ警鐘を鳴らし続けて約40年。反対派は、建設計画が浮上したときから廃炉しかないと声を上げ続けてきた。運動を続ける中嶌哲演さん(74)=小浜市=は、廃炉決定に「感慨無量」と語り、2012年に志半ばに亡くなった小木曽美和子さん(享年76)=福井市=ら多くの仲間の顔を思い浮かべた。

 1985年に敦賀市白木で建設が始まったもんじゅ。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使い、消費した以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」との触れ込みだった。だが、原発の危険性を訴える側にとっては、菩薩(ぼさつ)の名を冠していても「悪魔の原子炉」だった。

 実用化された商業炉と異なり、もんじゅは研究段階の原型炉。核兵器になり得るプルトニウムを燃料にする。冷却材のナトリウムは水や空気と激しく反応し、漏れれば重大事故につながる。建設前から激しい反対運動が巻き起こっていた。

 82年7月に敦賀市で開かれたもんじゅ建設の第2次公開ヒアリングは、1万人(県警発表で5800人)のデモ隊の怒号と約2千人の機動隊に囲まれた。昭和30年代、「地元の熱心な誘致」によって立地が実現した日本原電敦賀1号機や、関西電力美浜原発1号機のような牧歌的な環境はもんじゅになかった。

   ■  ■  ■
 原発訴訟の象徴ともされ、原子炉設置許可処分の無効確認などを求め85年に提訴した旧もんじゅ訴訟でも、反対派は奮戦した。当時は建設準備が進んでいたが、重要な情報は公開されていなかった。訴訟原告団の事務局長を務めた故小木曽美和子さんは「もんじゅを止める手がかりになる情報を少しでも引き出すには、訴訟を起こすしかない。最後の道だ」と語っていた。

 提訴から10年たった95年12月8日、反対派の指摘は現実となった。ナトリウム漏れ事故が発生し、有害なナトリウム粒が4千平方メートルにわたり拡散した。原告側証人として法廷にも立った故高木仁三郎・原子力資料情報室代表が「可能性として発生の恐れを指摘してきた私でも信じられない」とあきれ返るほどだった。

 裁判所の判決は大きくぶれた。2000年の一審福井地裁は訴えを棄却したが、名古屋高裁金沢支部は03年、設置許可を無効とする逆転判決を下した。原告側にとって原発訴訟で全国初の完全勝訴で、運動の到達点の一つとなった。しかし最高裁は05年に二審判決を覆し、原告側は涙をのんだ。

   ■  ■  ■
 もんじゅは廃炉に向かうが、作業中の事故のリスクは続く。国は高速炉開発の継続を崩さない。旧もんじゅ訴訟の原告団の一人だった中嶌さんは「もんじゅ反対に半生を懸け、亡くなられた人たちの努力なくして廃炉決定は迎えられなかった」とする一方で、「ナトリウムやプルトニウムの管理は、動かないから安心ということでは決してない。喜んでばかりもいられない」と気を引き締める。現在は、もんじゅの原子炉設置許可処分の取り消しなどを求め、新たに15年12月に東京地裁に提起した訴訟では原告団共同代表を務めている。亡くなった仲間たちの思いを胸に、監視し、闘い続ける。

●もんじゅ廃炉めぐる新聞社説 ついにアノ社にも「変化」
            J-CAST 2016年12月30日
・・・・・(略)・・・核燃サイクル堅持
これに対し、最後までもんじゅ維持の旗を掲げ続けたのが読売で、2014年2月に、もんじゅが「日本の原子力政策の中で今なお可能性を秘めたプロジェクトだ」と主張。規制委が運営主体変更を勧告した2015年11月以降も廃炉を主張しない姿勢を維持し、2016年9月22日の社説では「新たな高速炉開発により、その歩み(核燃サイクル)が確かになることが、もんじゅを廃炉にするための条件だろう」と、廃炉に条件を付ける形で核燃サイクル堅持を訴えてきた。

今回の社説(12月22日)で、ようやく「廃炉判断は、やむを得まい」と認めたが、主張の主眼は「エネルギー資源に乏しい日本の安全保障上、原発の安定利用と、使用済み核燃料を活用できる核燃料サイクルの実現は不可欠だ」「長期的なエネルギー戦略を堅持するために、高速炉の開発目標を揺るがすことはできない」という核燃サイクル堅持だ。

読売の「中興の祖」といわれる元社主、正力松太郎氏が1956年1月に原子力委員会の初代委員長、その後に科学技術庁長官を務め、「原子力発電の父」とも呼ばれた。第五福竜丸のビキニ環礁での被爆(1954年)で反核世論が広がる中で原子力推進を訴えて以来の、読売の「原発推進のDNA」は健在と言えそうだ。

●怪死の動燃・総務部次長 妻「もんじゅ維持のために1人が死んだ」
    田中龍作 2017年01月16日
 「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(1995年末)の対応をめぐり怪死を遂げた動燃総務部次長の妻が警察に夫の遺品の返還を求めている裁判 ―
 きょう午後、東京地裁で最終準備書面が提出され、結審した。陳述書を読み上げる妻の手は小刻みに震えていた。

 動燃の西村成生(しげお)・総務部次長は事故発生から約40日後の1996年1月、東京都中央区のビジネスホテルの非常階段下で遺体となって発見された。

 警察は飛び降り自殺と発表した。だが30mの高さからタイル張りの地面に激突したにしては、遺体に壊滅的な損傷はない(最終準備書面)。

 トシ子さんが対面した遺体は一回り大きく膨れあがっており、アザがあちこちにあった。殴りまくって遺書を書かせたのだろうか。

 西村総務部次長の妻トシ子さん(原告)が警察に返還を求めているのは、死体発見当時、夫が身に着けていた衣服と動燃からのFAXだ。

 死体は何より雄弁である。衣服を戻せば死体の状況が推測される。警察は飛び降り自殺説が覆されることを避けたがっているようだ。

 会社側からの指示が書かれていたものとみられるFAXも自殺説の否定につながるのだろうか。警察は返還を拒否している。

 もんじゅの廃炉決定後、初めての口頭弁論に臨んだトシ子さんは次のようにコメントした。

 「もんじゅを維持するために1人が亡くなった。(国家権力は)メディアを押さえつけて、もんじゅを延命した。

 飛び降り自殺したというが、一切ホテルに泊まった証拠は出てこない。時間が経ったんじゃなくて、時間が経つ前からぜんぜん捜査していなかった。

 何でこんなことが成り立つのか? 日本の原子力政策では」。

 動燃は事故のもようを記録していたビデオを隠していた。これが発覚し西村さんはマスコミ対応に追われていた。そして怪死・・・

 もんじゅ がなければ西村さんは死ぬ(殺される)ことはなかったのである。

 26年間、トラブル続きでほとんど発電することのないまま廃炉が決まった「夢の高速増殖炉」。

 事件はでたらめな国策の果てに起きた。判決は3月13日に言い渡される。西村さんが再び(※)暗闇に葬り去られることのないよう祈るのみだ。
   ~終わり~
  (※)もんじゅ訴訟のもうひとつの本丸はトシ子さんが「雇用者である動燃が安全配慮義務を怠ったために夫が死亡した」として、動燃を相手に起こした損害賠償請求だった。最高裁は2012年1月、上告を棄却。敗訴が確定した。

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●「もんじゅ」廃炉決定も、日本が原発から撤退できぬ根本的な理由
      まぐまぐニュース 2017.01.05
Windows95の設計にも携わった世界的エンジニアでメルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者である中島聡さんが、メルマガ読者から届いた質問に回答するQ&Aコーナー。今回は「高速増殖炉もんじゅの廃炉決定」について
・・・(略)・・・
中島聡さんの回答
「もんじゅ」の廃炉は当然ですが、日本のエネルギー政策全般がどうしようもない袋小路に陥ってしまっている点は変わりません。これがきっかけになって、破綻している「核のリサイクル」にまで手を付けられると良いのですが、当事者(官僚、電力会社、原発メーカー)たちにとって大きな痛みを伴うため、簡単には変えられないと私は見ています。

この話の根底にあるのは、第二次世界大戦で敗戦したために、国連の常任理事国になれず、(良し悪しは別として)核の保有国にもなれなかった、という大きな政治的ハンデを日本が背負ってしまった、という事実があります。
そのハンデの克服のために、過去の政治家たちが苦労して手に入れたのが、日米原子力協定であり、高速増殖炉の開発ノウハウであり、六ケ所村の再処理施設なのです。


結果から言えば、日本は未だに常任理事国になれてもいないし、(福島第一での事故で)原発は決して安くないことが明確になったし、核のリサイクルは破綻しているので、本来ならば、「核のリサイクルはあきらめた、原発からも順次、手を引く」と宣言しても良いタイミングです。

しかし、米国の原発ビジネスを引き取る形で東芝・日立・三菱重工の三社が原発事業に大きく依存するようになってしまっているし、「国策」に従って原発に投資してきた電力会社も、天下り先を大量に作ってしまった官僚たちも、「引くに引けない」状況になってしまっているのです。

本来ならば、こんな時には、リーダーシップを持った政治家が原発政策への幕引きをすべきですが、古い価値観に囚われた今の自民党がそんなことをするわけがなく、かといって野党にも期待できない、というのが今の日本の現状です。

しかし、高速増殖炉の実用化の目処が立たなければ、核のリサイクルも成り立たず、日本が備蓄してきた50トンものプルトニウムは破棄すべき、という外圧が強くなることは明確で、私としては、そこに唯一の望みを持っています。

●もんじゅ廃炉、21日に正式決定
        日経 2016/12/17 2:00 
 政府は21日に原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉を正式に決める。核燃料サイクル政策は維持し、周辺地域を高速炉の研究や人材育成の中核拠点として位置付ける。立地する福井県や敦賀市が廃炉の見返りに求める試験研究炉の新設や交付金の増額なども検討しており、国と地元の協議は最終局面を迎えた。

●「到底受け入れられない」と福井県知事がもんじゅ廃炉方針を拒否 国側は再度説明へ
   産経 2016.12.19 12:13
 政府が廃炉の方針を固めた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、同県と国が意見交換する「もんじゅ関連協議会」が19日、文部科学省で開かれ、西川一誠知事は廃炉方針に対し「到底受け入れられず、見直しを強く求める」と拒否する姿勢を示した。

 協議会には西川知事、松野博一文科相、世耕弘成経済産業相が出席した。

 直前に開催された政府の高速炉開発会議で固まった廃炉方針について説明を受けた西川知事は「もんじゅの総括と廃炉に至る説明が不十分で、国としての反省がされていない」と批判。政府として責任ある回答を再度示すよう求め、国側は「改めて回答する場を設ける」と答えた。

 西川知事は「単に情勢の変化や、海外の知見を利用すればもんじゅで得られる知見を代替できるなどとする抽象的な説明での廃止は納得できない。十分な議論を尽くしたとは思えない」と指摘した。

 また、廃炉に至る過程の運営を現在と同じ日本原子力研究開発機構に任せる方針についても「原子力規制委員会から運営能力がないと指摘された組織であり、地元としては誠に不安。新たな運営主体をぜひ成立させてほしい」と求めた。

 国側は、廃炉後も周辺地域を高速炉開発の中核的拠点と位置づけ、新たな試験研究炉の設置や人材活用などを進めると説明した。だが西川知事は会合後、記者団に「現時点の説明は不十分で、検討する段階ではない」と述べた。

●新たな高速炉開発の方針案まとまる
       NHK 12月19日 12時03分
新しい高速炉の在り方を議論している政府の会議は19日、経済性を検証する実証炉の開発に向けては高速増殖炉「もんじゅ」を再開せずに、フランスをはじめ海外との協力などを通じて新しい知見を得ながら開発を進めるとした方針案をまとめました。
政府は、安全管理上の問題が相次いだ福井県の高速増殖炉「もんじゅ」は廃炉の方向で調整する一方、経済産業省や文部科学省、それに電力会社などが参加する「高速炉開発会議」で新しい高速炉の開発方針の検討を進め、19日の会議で方針案をまとめました。

方針案では、仮にもんじゅの運転を再開した場合、今後16年間で5400億円以上の費用がかかると見られることから、再開にかかる期間や費用などを考慮して今後はもんじゅを再開せず、新しい方策で必要な知見を得ていくとしています。

具体的には、フランスと協力して設計する実証炉や、高速実験炉「常陽」など国内外の施設などを通じて研究開発を進めることにしています。このほか、会議ではもんじゅを廃炉にした場合、30年かけて燃料の取り出しや施設の解体などを行うと、少なくとも3750億円が必要となることが説明されました。

会議では、さらに作業部会を設けて今後10年程度の間に必要な開発作業などを検討し、再来年をめどに高速炉開発の工程表をまとめることにしています。

●もんじゅ廃炉に3750億円以上 新たに「高速炉」計画
      テレ朝 2016/12/19 11:49
 福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」に関する政府の方針案がまとまりました。もんじゅは1995年にナトリウム漏れ事故を起こすなどトラブルが相次ぎ、1兆円以上をつぎ込んだものの、稼働したのはこの20年でわずか20日ほどでした。そして、廃炉には3750億円以上かかることが分かりましたが、国はさらに進んだ「実証炉」を開発する計画です。

 世耕経済産業大臣:「高速炉開発は、我が国の将来に欠かすことのできない重要なプロジェクトです」
 三菱重工業・宮永俊一社長:「国や関係者と連携し、年明け以降のロードマップ策定作業に積極的に貢献していく」

 政府の方針案では今後、もんじゅよりも実用化に近付けた実証炉を開発します。時期や場所は未定ですが、2018年度をめどに今後10年程度の作業工程表を作ります。それまでは海外の高速炉開発を共同で進める方針です。いずれも予算は示されていません。

もんじゅについてはこれまでにかかった1兆円以上の費用に加え、廃炉に3750億円以上かかることが新たに示されました。政府関係者は「動かしたこと自体が成果だ」などと話しています。政府は21日以降に関係閣僚会議を開き、もんじゅの廃炉と併せて高速炉の開発方針を正式決定します。

●もんじゅ廃炉 政府「実証炉」開発へ舵…将来に禍根を残す可能性も
     iza 2016.12.19 15:25
 政府が廃炉の方針を示した高速増殖炉「もんじゅ」をめぐっては、今も存続を求める声は少なくない。ただ、肝心の運営主体が見つからないことや、再稼働に多額の費用がかかることから、政府は廃炉とした上で、高速炉開発の次のステップである「実証炉」へと進む判断をした。

 政府がもんじゅ廃炉に大きくかじを切るきっかけになったのは、原子力規制委員会が昨年11月13日、もんじゅの運営主体、日本原子力研究開発機構について出した勧告だった。

 「(日本原子力研究開発)機構はもんじゅの出力運転を安全に行う主体として必要な資質を有していない」。トラブル続きだった機構に対し、規制委はこう指摘。文部科学相に新たなもんじゅの運営主体を探すよう求めたのだ。

 しかし、勧告から1週間後に頼りの電気事業連合会が「電力会社には技術的な知見がない」と早々に手を引き、運営主体探しは暗礁に乗り上げる。

 費用面もネックとなった。文科省は、もんじゅを新規制基準に適合させ再稼働させるためにかかる費用を5400億円以上と試算。すでに1兆円もの国費が投じられた施設だが、再稼働にはさらに莫大(ばくだい)な費用が必要となることが明らかになった。

そのため、政府はもんじゅを再稼働させた場合に得られる新たな知見の洗い出しを実施。その結果、こうした知見は国内のほかの施設や、海外で得られる知見で埋め合わせができると判断し、次の「実証炉」開発に進めると判断した。

 ただ、原発は「実験炉」「原型炉」「実証炉」「実用炉」のステップを踏んで開発されるのが一般的だ。原型炉のもんじゅがフル稼働していないにもかかわらず次の実証炉開発に進み、そこで新たな問題が発生した場合、今回の判断が将来に禍根を残す可能性もある。


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