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てらまち・ねっと



 この数日、BRCA遺伝子変異にかかる女性の乳がん・卵巣がん、男性の前立腺がんについて確認してきた。
 BRCA遺伝子変異にかかる女性の乳がん・卵巣がんに対しては、すでに2018年から分子標的薬「オラパリブ(リムパーザ)」という新しい抗がん剤が認可されている。
 BRCA遺伝子変異・前立腺がんに対しての同薬の認可は2020年12月25日、つまり2か月前だから、女性の乳がん・卵巣がんについての方がずっと先行していて、いろんな情報も発信され、整理されている。

 癌という病気の原因としての遺伝子変異のことの次は、そろそろ、BRCA遺伝子変異の癌の治療薬の分子標的薬「オラパリブ・リムパーザ」についても見ていきたいと思う。その前提として、今日は「前立腺がんのBRCA遺伝子変異」の関連を見ておく。

 ともかく、治療する側も最先端では、難治性の患者に対するために、分子標的薬・PARP阻害薬のことが注目されてきた。
 下記の日経メディカル 2019/07/17
 ★≪前立腺癌で最もインパクトがあるのはPARP阻害薬。前立腺癌ではBRCA2遺伝子変異が主で、生殖細胞系のBRCA遺伝子変異がある患者さんとない患者さんが半数ずつくらい。生殖細胞系列と体細胞系列の両方にBRCA遺伝子がある患者さんもいる。≫

 ということで、以下の2本にリンク、抜粋しておく。
●前立腺がんの基礎知識 CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)について/What's前立腺がん/CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)とは?/なぜCRPCになるの?/転移性のCRPCと診断されたら/転移性のCRPCの個別化治療

●転移性前立腺癌の治療は より早期に新規AR阻害薬投与の方向へ/日経メディカル 2019/07/17 慶應義塾大学医学部泌尿器科
 患者の状態を見極めて治療薬を選ぶことが重要/現在の前立腺癌治療は、できるだけ前の治療ラインで強い薬を使う傾向/前立腺癌治療の高い専門性が問われる時代に

 なお、昨日3月4日の私のブログへのアクセスは「閲覧数3,199 訪問者数957」。

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●前立腺がんの基礎知識 CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)について
    What's前立腺がん転移性のCRPCの個別化治療
CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)とは?
CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)とは、男性ホルモンを抑える治療を行っているにもかかわらず、進行してしまった前立腺がんです。
前立腺がんの発生・進行には男性ホルモンが関与しています。そのため、ホルモン療法(内分泌療法)により男性ホルモンの分泌や働きを抑えることで、前立腺がんの進行を抑制する治療が行われます。
しかし、ホルモン療法を続けているうちに、男性ホルモンが抑えられているにもかかわらず前立腺がんが進行してしまう場合(再燃)があります。このような状態の前立腺がんのことを「CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)」といいます。

なぜCRPCになるの?
前立腺がんは、異なる性質をもつがん細胞が集まってできています。
ホルモン療法が効きやすいがん細胞もあれば、効きにくいがん細胞もあります。
また、ホルモン療法を続けているうちに、がん細胞が性質を変化させてホルモン療法が効きにくくなることもあります。
このように、ホルモン療法が効きにくいがん細胞が生き残り、増殖することで、CRPCになると考えられています。


転移性のCRPCと診断されました。
今後の治療はどのように進んでいきますか?
転移性のCRPCになった場合の次の治療手段として、新規ホルモン療法剤や化学療法剤が検討されます。
また、新規ホルモン療法剤が無効になった場合には、個別化治療や化学療法剤が検討されます。

転移性のCRPCの個別化治療
がん細胞はさまざまな性質があり、その特徴は人によって異なります。個別化治療とは、がん細胞の性質や特徴をもとに、患者さんごとに適した治療法を選択することです。そのため、個別化治療では前もって、「あなたのがん細胞がどんな性質をもっているか」あるいは「あなたのがん細胞に特定の性質があるかどうか」を検査によって調べます。
・・・(以下、略)・・・

●転移性前立腺癌の治療はより早期に新規AR阻害薬投与の方向へ 選択肢の多様化で専門性と経験がより問われる時代に
前立腺癌の治療は、新規のアンドロゲン受容体(AR)阻害薬が選択肢に加わり、多様化している。使い分けや最適な投与のタイミングなどに加え、海外のエビデンスを日本でどう考えるかなど、検討課題は多い
   日経メディカル 2019/07/17 慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室教授、副病院長 大家 基嗣 氏
・・・(略)・・・
患者の状態を見極めて治療薬を選ぶことが重要
 近未来に考えられる予想図として、mHSPC、mCSPCにアパルタミド、エンザルタミドが承認されるとすれば、高腫瘍量、高リスクの場合の現在の選択肢であるアビラテロン、ドセタキセルのうち、アビラテロンはなくなってしまう可能性があります。ADTによる骨粗鬆症が懸念されるところに、アビラテロンはプレドニゾロンと併用しなければならず、プレドニゾロンは5mgとはいえ、長期の副作用を考えなければならないためです。

 一方、ドセタキセルは残る可能性があると思います。高腫瘍量の場合にドセタキセルとアビラテロンのどちらを使うかは、患者さんベースで判断します。若くて高腫瘍量の患者さん、PSA値はそれほど高くないのに転移が多い患者さんには、私は最初からドセタキセルを使っています。PSA値が高くないのに高腫瘍量であるということは、ARへの依存性が低く、予後不良のパターンです。前立腺癌の治療で良好な結果を得るためのタイミングはさまざまですが、化学療法は大切な選択肢と考えています。

 現在の前立腺癌治療は、できるだけ前の治療ラインで強い薬を使う傾向になっています。
今後、mHSPC、mCSPCにアパルタミドとエンザルタミドが承認された場合、どちらを使うかといえば、副作用プロファイルからアパルタミドが有利と考えられています。エンザルタミドによる疲労感などの副作用は日本人には強く、減量して使うことが多いです。アパルタミドは、5月30日にM0 CRPCに使用可能になったばかりで、実際のところはまだわかりません。日本人では発疹などが多いと言われていますが、使用経験を重ねれば日本人の傾向も分かってきますから、M1のHSPCに使う時の参考になると思います。

 ただし、アパルタミドやエンザルタミドを全例に使うということではありません。
ADTだけで十分効く患者さんもいますし、ADTが無効になってから、シークエンシャルに薬を使う戦略も考えられます。

 ADTだけで十分な患者さんと、ADTとAR阻害薬の併用が望ましい患者さんを判別するには、いろいろなマーカーがあります。転移の量、PSA値、ALP値、LDH値、CRP値、患者さんの年齢、症状、PSなどから、総合的に考える必要があります。最初からしっかり治療すべき患者さんか、ADTだけでも十分で、ある程度の長期予後が期待できる患者さんかを判断します。

 また、投与の順序については、TITAN試験では試験治療後、アビラテロンが約25%、ドセタキセルが約35%に使用されていました。交替療法が話題になりましたが、エンザルタミドの後のアビラテロンが効かないように、新規AR阻害薬を使った後のアビラテロンは効かないと考えられています。化学療法になる可能性が高いと考えられますが、いずれにしても、患者さんの状態をしっかり見極めることがより重要になると思います。
・・・(略)・・・

前立腺癌治療の高い専門性が問われる時代に
 開発中の新規AR阻害薬では、ASCO GU2019とASCO 2019で発表されたdarolutamideへの期待が高いです。アパルタミドとエンザルタミドの化学構造式は似ていますが、darolutamideは全く異なり、脳内移行性も少なく、副作用が軽いと考えられています。

 免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験も行われていますが、前立腺癌では有効と予想される3つの特徴が全てありません。まずmutation burdenは、最も多いのはメラノーマ、次に肺癌、膀胱癌とされていますが、前立腺癌では少ないです。PD-L1の発現も特に高いわけではなく、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集積もそれほどありません。免疫治療が効く環境がないのです。
悪性度が高い癌では間質が優位になり、間質がバリアにとなって免疫チェックポイント阻害薬が効きにくくなります。膵癌がこれに該当しますが、前立腺癌も悪化すると間質が増加します。

 ただし、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)は例外です。前立腺癌では約5%の頻度とされ、治療手段がなくなった場合はMSI-Highを検査してみることも可能です。

  前立腺癌で現在考えられているのは、環境を標的とする薬です。
例えば、癌関連線維芽細胞や腫瘍関連マクロファージなど、免疫環境を悪化させ、しかも間質を形成するようなものをターゲットにする考え方です。そういった薬との併用療法です。

  前立腺癌で最もインパクトがあるのはPARP阻害薬です。
前立腺癌ではBRCA2遺伝子変異が主で、生殖細胞系のBRCA遺伝子変異がある患者さんとない患者さんが半数ずつくらいです。生殖細胞系列と体細胞系列の両方にBRCA遺伝子がある患者さんもいます。

 免疫チェックポイント阻害薬の登場後、膀胱癌と腎癌の治療は、規模が大きな病院で行われるようになりました。副作用への対応が泌尿器科医だけでは困難なためです。前立腺癌の治療は一般病院でも行われていますが、治療選択肢が増え、それ自体は喜ばしいことですが、日常臨床でどうするかはまた別問題です。多様化した現在、その薬を選ぶ根拠がきちんと言えるかどうかが重要になります。ますます専門性と経験が要求される時代になってきていると思います。


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