毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 先週の名大病院の主治医の診察の時の話。
 深刻そうな顔、雰囲気を漂わせて医師は、「腫瘍マーカー PSAは350に上がっています」
    (私、前回が190だった・・・からね・・・) 

 主治医「ゾーフィゴ(放射性塩化ラジウム223)の治療をするとPSA上がるということはよくあること。いったん上がってから横ばいになるとか、下がるとかならいいけど、そのまま上がり続けると良くないわけで・・・。
 今回が、どういう位置づけかはまだ分からないけど、『悪い方向』だといけない・・・・」 との旨。

●新たな転移か、いなか
 ・・・ つまり、主治医は、新たな「転移」があり、「活発に活動している」から腫瘍マーカーの数値が倍増したということの心配をしていることは明らか。
 もちろん、それはこちら側も同じ。

 主治医「念のため、造影CTを撮って確認しましょう。
 ゾーフィゴは、(規定回数満タンの)6回までするのがいいというのは明らかだから、来週予定の3回目のゾーフィゴはやって、その次の週の4月7日に、血液検査、『造影CT』をやり、その日に画像の結果を確認してから次のことを考えましょう」

 私「次というのは、新しい転移があって悪い方向だったら、ゾーフィゴは3回で終わりにして、リムパーザの治療に入るということですね。」
 主治医「はい、リムパーザに移りましょう」 

 私でも、「ゾーフィゴ治療では、PSAは上がる」というほぼ定説に近い話は承知している。
 とはいえ、あまりに不条理に映る。
 なぜなら、前立腺がん、特に去勢抵抗性前立腺がんという「悪質に変異した」癌の患者では、腫瘍マーカー PSAを下げることが至上命題のばすなのに、その治療にPSAを上げることをする、というのだから。
 私が話したここの何人かの泌尿器科の医師は ゾーフィゴは今は勧めていないように感じる。

 それにもかかわらず、今回、私の希望で「担当の放射線科が応じた」という流れ。でも、実際に、毎回、高値のマーカーには気持ちはとても悪い。

●今日はその3回目の注射だった
 さて、ゾーフィゴは、4週に一回・放射性塩化ラジウム223の注射をするという治療を最大6回までを一サイクルとする、と保険制度上決まっている。しかも、一人の患者にとっては「中断しての再トライはできない」というたった一回だけの治療のチャンス。ここでやめたら、 ゾーフィゴ治療は終りとなる。
 ・・・その3回目の ゾーフィゴの注射が今日だった。

 注射の時は、同席している放射線科のこの分野の担当の教授医師と話す。
 私「泌尿器科の主治医はPSAが倍増で、心配しています。来週、造影CTで調べようということになっています。」
 医師「向こうではそうでしょう。PSAが下がる人もいるけど、上がることが普通。」との旨。

 私、「どんどん上がって行って、6回終わって、あとで下がるんですか?」
 医師「上がりっぱなしの人もいますよ・・・」

 なんと、それでは、泌尿器の医師が躊躇するのも無理はないと私は思った。

●「PSAは上がる」という学説など
 ということで、「ゾーフィゴ治療」に関しては、「PSAは上がる」という説示をいくつか要約しておく
  (詳しくは、ブログの後半にリンク・抜粋しておく)。

★≪ラジウム223を投与すると、PSA値はほとんどの患者さんで高くなる。12週間後には、ほぼ2~3倍以上に上昇する。PSA値の上昇の意味はわかっていない。このPSA値の上昇はラジウム223の有効性の指標とは関連がなく、病勢の悪化を意味するものではないとされている。≫(がん情報サイト|がんプラス/慶應義塾大学)

★≪一部の患者においてゾーフィゴ治療開始後に骨シンチグラフィーでの集積強度が一過性に高まるフレア現象がみられることがある。骨シンチグラフィーやBSIのみでは病勢増悪との判別が難しい場合があり、PSA値も含めた総合的な効果判定が望ましい≫(浜松医科大学 )

★≪晩期の症例でゾーフィゴを使い切れなかった経験から、比較的早いタイミングで使用を考えることである≫(第84回 日本泌尿器科学会東部総会)

 もちろん、次のような説明もある。
★≪東京医科大学病院 ラジウム外来/骨マーカーであるアルカリホスファターゼ(ALP) が減少しました(PSAの上昇が必ずしもラジウム‐223の有効性を否定するものではありません)。
 ラジウム‐223は骨転移部位にしか集積しないため、肝臓や肺など内臓に転移したがんには効果は期待できません。≫

★≪骨や肝臓から分泌されるALPというタンパク質が、ラジウム223の有効性と関連するとされており、ラジウム223を使用する際の指標として使用されている≫(同前慶應義塾大学)

● ・・・さてさて、私はどうすべきか
 前記のALPの数値は、基本的に回を追って下がっていて、今は基準値の範囲の中でも、低い方にあるから、この点では楽観してもいいのだけれど・・・
 いずれにしても、自分で決めて選んだ治療だから、前を向いて進む。
 ともかく、来週の血液検査のマーカーの数値と『造影CT』の画像が楽しみ。

 なお、昨日3月29日の私のブログへのアクセスは「閲覧数4,167 訪問者数1,153」。

人気ブログランキング参加中 = 今、2位あたり  ↓1日1回クリックを↓  ★携帯でも クリック可にしました →→ 携帯でまずここをクリックし、次に出てくる「リンク先に移動」をクリックして頂くだけで「10点」 ←←
 ★パソコンはこちらをクリック→→人気ブログランキング←←ワン・クリックで10点

●前立腺がんに多い骨転移。活動的に長生きするためには骨修飾薬や骨転移治療薬を適切に使って骨折を防ぐことが大切
     監修:慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室講師 小坂威雄先生 2018.1 取材・文:平出浩 
・・・(略)・・・ また、PSA値は前立腺がんの進行と比例して上昇する傾向がありますが、ラジウム223を投与すると、国内の治験におけるデータでは、PSA値はほとんどの患者さんで高くなる傾向にあります。12週間後には、ほぼ2~3倍以上に上昇するというデータもあり、PSA値の上昇の意味はわかっていません。このPSA値の上昇はラジウム223の有効性の指標とは関連がなく、必ずしも病勢の悪化を意味するものではないとされており、解釈には注意が必要です。

一方、<font style="background:#ccffff">骨や肝臓から分泌されるALPというタンパク質が、ラジウム223の有効性と関連するとされており、ラジウム223を使用する際の指標として使用されています。ラジウム223での位置づけ、ほかの薬剤との併用療法や、PSA値の上昇の意味することについても、現在、研究が進められている段階です。

前立腺がんは、尿器科、放射線科、整形外科などによる集学的治療が大切
 がんの転移はかつて、原発巣から転移するものと考えられていました。しかし現在は、転移巣からも転移していくと考えられるようになっています。がんの性質も細胞ごとに異なり、性質のより悪い細胞が転移を繰り返すと考えられています。

 そうしたがんの性質を考えると、前立腺がんの骨転移に関しても、ラジウム223だけ、あるいはランマーク、またはゾレドロン酸だけといった特定の治療法で対応するのではなく、放射線療法や手術なども含めて、複合的、集学的に治療法を考える必要があります。そのために、泌尿器科医や放射線科医、整形外科医、口腔外科医などが連携し、チーム医療が行われています。

 私たちのグループでは現在、骨転移の遺伝子発現に基づいた薬剤を開発中です。開発が順調に進むと、将来的には前立腺がんの骨転移を予防・治療できるようになる可能性があると考えています。患者さんには、治療中から骨の健康に気を付けていただき、骨転移による骨折を防ぎ、活動的な生活を維持していくことを心がけていただければと思います。

●Q5 骨転移の検査にはどのようなものがありますか? 
        バイエル  前立腺がん
PSAなどの腫瘍マーカーは、がんの状態をよく反映することもありますが、あまり反映しないこともあります。ですから、腫瘍マーカーだけではなく、画像診断の結果などもあわせて、総合的に診断することが重要です。
 Q5 骨転移の検査にはどのようなものがありますか?

●α線核種(223Ra)を使った去勢抵抗性前立腺癌における骨転移治療 
   国立研究開発法人国立がん研究センター東病院先端医療開発センター粒子線医学開発分野 秋元哲夫
・・・その至適使用方法確立には,未だ解決すべき課題があることを認識して,日常臨床で使用していくことが望まれる。
・・・・・・・(略)・・・骨に転移した癌細胞は,それ自身では骨吸収はできないため,骨芽細胞の刺激を介して成長因子の分泌・誘導を促し,その結果,骨吸収で重要な破骨細胞の形成・分化が促進される。そのため,この骨代謝を修飾することで骨転移の形成や促進を抑制することが可能になる。破骨細胞を直接抑制するビスフォスフォネートや破骨細胞の形成を抑制する抗RANKLE抗体であるデノスマブが,骨修飾薬(Bone modifyingagents: BMA)として臨床で使用されている。223RaCl2は,上記のα線による癌細胞の殺細胞効果に加えて,骨芽細胞の活性化も抑制することで,骨転移の局所での効果を発揮するとされている(図) 1)。

・・・(略)・・・ストロンチウムなどのβ線放出核種が,原発部位を問わずに骨転移治療として適応になっていることに対して,23RaCl2は去勢抵抗性前立腺癌という疾患及び病態に特化して承認されている。

●CRPC骨転移治療の最前線~ラジウム-223の役割を再考する~
     第84回 日本泌尿器科学会東部総会  2019年10月5日ランチョンセミナー12 2019年10月5日 ヒルトン東京お台場 
 骨転移を有する前立腺癌の現況と治療選択 
    日本大学医学部 泌尿器科学系 泌尿器科学分野 主任教授  演者成田 伸太郎 先生 秋田大学大学院医学系研究科 腎泌尿器科学講座
ゾーフィゴ治療の至適タイミング1つ目は、CRPC逐次治療の中でゾーフィゴを使用できるタイミングがあるかを常に意識することである。2つ目は、晩期の症例でゾーフィゴを使い切れなかった経験から、比較的早いタイミングで使用を考えることである。なぜならば、現在、進行前立腺癌の治療薬は多様化してきているため、どこかのタイミングで作用機序の異なる薬剤を使ってあげたい、という想いがあるからである。

・・・(略)・・・本結果から、ゾーフィゴ治療においては骨転移主体の症例をしっかりとスクリーニングし、比較的早期のタイミングで使用を検討することが重要だと考えられる。・・・(略)・・・二次治療を直ちに開始する必要のない進行の緩徐な症例、ドセタキセルを休薬できる症例は、比較的早期よりゾーフィゴ投与が可能と考える。

●前立腺癌骨転移に対する放射線治療の意義と今後の展開 演者中村 和正 先生 浜松医科大学 放射線腫瘍学講座 教授
・・・・・・・・(略)・・・限局性前立腺癌に対する放射線根治療法は、1回の照射線量を高め、照射回数を減らす寡分割照射へとシフトしている。寡分割照射は、1回線量により中等量寡分割照射と超寡分割照射に大別される。中等量寡分割照射は、通常のリニアックを用いて強度変調放射線治療(IMRT)/画像誘導放射線治療(IGRT)で行われ、1回線量は2.5-4Gy、治療期間は3-5週間である。

一方、超寡分割照射ではサイバーナイフなどが用いられ、1回線量は6.5-10Gy、治療期間は1-2週間程度である。いずれも通常分割照射に比べて治療期間が短縮されるため、患者にとってベネフィットが大きいと考えられる。・・・(略)・・・骨転移を有する前立腺癌に対する全身治療+局所放射線治療骨転移を有する前立腺癌に対する原発巣への放射線治療追加の有用性については、近年2つのランダム化第Ⅲ相試験の結果が報告された。、NCCNガイドライン13)では、「未治療かつLow volumeの転移性前立腺癌においては原発巣への外照射も治療選択肢の一つ」

・・・(略)・・・骨転移を有するCRPC患者に対するゾーフィゴ治療①ゾーフィゴ(塩化ラジウム-223)による治療では、効果判定が難しい。・・ゾーフィゴ最終投与からの生存期間に有意差が認められた・・可能な限り6回投与の完遂を目指すべきと考える。・・・(略)・・・

骨転移を有するCRPC患者に対するゾーフィゴ治療②一部の患者においてゾーフィゴ治療開始後に骨シンチグラフィーでの集積強度が一過性に高まるフレア現象がみられることがあるため注意が必要である・・骨シンチグラフィーやBSIのみでは病勢増悪との判別が難しい場合があり、PSA値も含めた総合的な効果判定が望ましい。

③SPECT-CT画像では造骨性骨転移と溶骨性骨転移で画像所見が異なることがわかる(図3)。・・・・・・・・・放射性医薬品・抗悪性腫瘍剤 ゾーフィゴ 静注

●骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対するラジウム‐223による放射線治療
 東京医科大学病院 ラジウム外来
【1】去勢抵抗性前立腺がんと骨転移
前立腺がんは男性ホルモンによって成長するという特徴があります。そのため、男性ホルモンを抑えるホルモン療法によって高い治療効果を得ることができますが、やがてその効き目が悪くなり、PSAが上昇したり、がんが進行したりします。ホルモン療法により、男性ホルモンの分泌が抑えられているにもかかわらず悪化する前立腺がんのことを「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)」と呼びます。

 また、去勢抵抗性前立腺がんにおいては、およそ80%の頻度で骨転移が起こることが知られています。骨転移が起こりやすい部位は、脊椎、肋骨、骨盤、大腿骨などです。骨にがん細胞が転移しても、初期では症状がほとんどありませんが、病気が進行すると、痛みやしびれ、麻痺などが起こりやすくなります。
た、転移した部位の骨が脆くなることで、小さな力がかかるだけで骨折しやすくなります(病的骨折)。
さらに、高カルシウム血症による食欲不振、吐き気、倦怠感、多尿、意識障害などの症状がみられることがあります。


【2】骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんの治療
骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対する治療薬には主に3つの種類があります。

ホルモン療法薬
男性ホルモンの分泌や働きを妨げることで、がん細胞の増殖を抑える作用を持つ薬剤です。

化学療法薬
化学物質を使って、がん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞を死滅させたりする作用を持つ薬剤です。

放射性医薬品
特定の放射性物質(ラジオアイソトープ:RI)を含んだ薬剤を注射などで体内に投与し、その薬から放出される放射線によって治療効果を発揮します。現在、骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんの治療に認められているのはラジウム‐223のみです。

【3】ラジウム‐223による治療
ラジウム‐223の作用メカニズム
ラジウム‐223は、アルファ線と呼ばれる放射線を放出する放射性物質です。ラジウム‐223には、骨の成分であるカルシウムと同じように骨に集積しやすい性質があり、注射で体内に送られると、代謝が活発になっているがんの骨転移巣に多く集積されます。そして、そこから放出されるアルファ線が、骨に転移したがん細胞の増殖を抑えます。こうした作用によって、骨転移した去勢抵抗性前立腺がんに対して治療効果が期待できます。また、骨転移に伴う痛みやしびれ、麻痺などの症状や骨折といった症状の発現を遅らせる効果が期待できます。なお、ラジウム‐223は骨転移部位にしか集積しないため、肝臓や肺など内臓に転移したがんには効果は期待できません。

治療方法
ラジウム‐223は、4週間ごとに1回、最大6回まで静脈注射します。指定された日に来院し、注射を受けてください。入院の必要はありません。

ラジウム‐223による効果
大規模臨床試験において、ラジウム‐223は骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がん患者に対し、次のような効果が報告されています。

全生存期間(OS)が、プラセボ(偽薬)と比較して延長しました。
骨転移に伴う痛みやしびれ、骨折といった症状が発現するまでの期間が、プラセボと比較して延長しました。
骨マーカーであるアルカリホスファターゼ(ALP) が減少しました(PSAの上昇が必ずしもラジウム‐223の有効性を否定するものではありません)。
副作用
ラジウム‐223は正常の骨や骨髄にもある程度集積するので、骨髄抑制という副作用が起きる可能性があります。
骨髄抑制とは、白血球や血小板、赤血球などをつくっている骨髄の機能が低下して、これらの血球成分が減少することをいいます。骨髄抑制以外の主な副作用として、悪心、下痢、骨痛、疲労、嘔吐、食欲不振などがみられる可能性があります。
その他、ラジウム‐223を投与して数日後に骨の痛みがやや強まることがありますが、一時的なものでやがて消失します。

まとめ
骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対する治療には、ホルモン療法薬、化学療法薬、放射性医薬品などのさまざまな薬物療法があります。これらの治療には、それぞれの特徴や長所と短所があるので、患者さんの状態に応じて選択することが必要です。ラジウム‐223は放射性医薬品で、また抗悪性腫瘍薬でありながら副作用も比較的少なく、骨転移の症状を抑えながら生存期間の延長が期待できる治療薬です。骨転移に伴う痛みやしびれ、骨折といった症状は、患者さんの生活の質(QOL)を大きく低下させる原因になるばかりでなく、生存期間にも影響を及ぼすリスク要因となります。このため、できるだけ早い段階から適切な治療を始めて、病気の進行や症状を抑えることが大切です。ラジウム‐223は骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者さんの新しい治療選択肢として、多くの患者さんの福音となることが期待されます。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )