●トランプTweetをチェックせよ! 韓国外交部、監視専門職を配置
ニューズウィーク日本版 2017年1月6日
<今、世界が注目する男、ドナルド・トランプ。とりわけ、そのツイッターでの発言には、世界の政治家、ビジネスマン、メディアが翻弄されている。ついに韓国では外交部が、トランプのツイッター発言を監視する「ツイッター・オフィサー」を配属した>
韓国外交部(日本の外務省に相当)は、幹部職員のひとりをトランプのツイッター発言を専門にチェックする役職「ツイッターオフィサー」に任命した。ユン・ビョンセ外交部長官は、トランプのツイート内容、とりわけ韓国及び極東地域に関するツイートに関心をもっているという。新政権スタッフとのコネクションがいまだできていない韓国政府としては、トランプのツイッターが、その考えを知るうえでもっとも有効な手段だと判断したためだ。このため、トランプのツイッター監視を命じられた幹部職員は、トランプの外交方針に関するツイートを注視することになった。
その成果は早くも発揮された。1月2日、トランプは北朝鮮の核問題に関する考えをツイッターで明らかにした。前日、北朝鮮の金正恩が新年挨拶で「米国を射程距離としたICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発が最終段階に入った」との発言を受けたものだ。
(参考記事:北朝鮮、米国に届くICBM開発はできない=トランプ氏)
"it won't happen!"(そんなことはあり得ん!)というトランプのツイートは、各国のメディアに取り上げられ、26,000回リツイートされ、91,000人がいいねした。
●「トランプ圧政」で早くもスパイ流出が心配される米情報機関
ニューズウィーク日本版 2017年1月6日
<「トランプvs米情報機関」の対決が、まだ大統領就任前というのにトランプ有利に傾きつつある。情報機関の分析を頭から信じない、情報機関のリストラ計画をリークするなどの攻撃に、タフなはずの情報機関も守勢に立たされている>
米情報機関のトップは木曜、これまで攻撃される一方だったドナルド・トランプ次期米大統領に反撃した。金曜には、ロシア政府が米大統領選に介入した問題をトランプに直接説明する予定だ。情報機関を目の敵にするトランプに、ここで巻き返しを図れるだろうか。
木曜にはジェームズ・クラッパー国家情報長官、マイケル・ロジャース国家安全保障局長、マーセル・レター情報担当国防次官がそれぞれ上院軍事委員会の公聴会で証言した。民主党全国委員会などがハッキング被害を受けてメールが流出した事件について、ロシア政府が関与したとする分析結果を改めて強調。その上で、ロシアの関与を頭から取り合わないトランプの姿勢は情報機関職員の士気を損ない、究極的にはアメリカの国家安全保障を傷つける可能性があると批判した。
「国内はもちろん、諸外国からも、アメリカの情報機関が信頼と確信を得ていることは重要だ」とクラッパーは言った。「それが信用を失くしかねない事態に、今や各国の交渉相手から懸念の声が多数寄せられている」
米国家情報長官と国土安全保障長官は10月に共同声明を発表し、ロシア政府が民主党全国委員会とクリントン陣営の選対本部長だったジョン・ポデスタのメールのハッキングは「ロシア政府の指示」によると断定。その結論に対し、トランプは繰り返し疑問を呈してきた。さらに、米情報機関が2002年に「イラクに大量破壊兵器がある」と誤った情報を流した過去の失態をやり玉に挙げ、当局が出す情報は信頼性に欠けるとこき下ろした。
トランプの下でスパイはやりたくない
加えて4日には、トランプの政権移行チームが情報機関を統括する国家情報長官室や中央情報局(CIA)の再編を検討していることを米メディアが報じた。
トランプが情報機関をないがしろにしていることに関して質問を受けると、クラッパーは慎重に言葉を選びつつ、こう指摘した。「為政者は常に懐疑的であるべきだが、情報に対する健全な疑問と単なる情報軽視は区別しなくてはならない」
民主党議員から情報機関で働く職員の士気について尋ねられたロジャース国家安全保障局長は、トランプ次期大統領から支持を得られなければ職員の退職が相次ぐ事態を招きかねないと懸念を示した。「国家の指導者から信頼されていることが、我々を奮い立たせる面は大いにある。とにかく職員が退職するような事態は望まない」
【参考記事】クリントンよりトランプの肩を持ったFBI長官
米情報機関はバラク・オバマの大統領命で米大統領選を狙ったロシアのサイバー攻撃について徹底調査を行ってきたが、この日の公聴会ではその内容について目新しい証言は出なかった。機密扱いの部分を除いた報告書は来週早々に公開されると、クラッパーは言った。議会に対しては今後、機密情報も含めたブリーフィングを行う予定だ。
米情報機関は、ロシア政府の指導者が指示して選挙に介入したと確信していると、クラッパーは繰り返した。「10月7日に発表した声明の確証は益々強まった」 エミリー・カデイ
●米情報機関よりもアサンジ氏信頼? トランプ氏、攻撃また疑問視
AFP 2017年01月05日
【1月5日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領は4日、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」創設者のジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者の主張を引き合いに、ロシアがサイバー攻撃を通じて米大統領選に干渉したとの米政府の結論に改めて疑問を投げ掛けた。
トランプ氏はこの問題に関して米情報当局トップから6日に直接説明を受ける予定。情報各機関からは今月20日の大統領就任後は常時報告を受けることになるが、それらの機関よりアサンジ容疑者を信頼しているかのようだと広範な批判を招いている。
トランプ氏は3日夜からツイッター(Twitter)に連続投稿し、中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)をはじめとする米機関について、ロシアが米民主党のコンピューターに侵入してウィキリークスに情報を流していたとの証拠を依然としてつかんでいないと主張。
「いわゆる『ロシアのハッキング』に関する『情報』ブリーフィングが6日に延期された。証拠を固めるのにもっと時間が必要ということか。まったく変な話だ!」と書き込んだ。
アサンジ容疑者は同日、米FOXニュース(Fox News)のインタビューで、盗み出された民主党の文書をロシア政府がウィキリークスに渡したというのは事実でないと否定した。
トランプ氏はその後の4日未明、「ジュリアン・アサンジは、14歳の子どもでも(ヒラリー・クリントン<Hillary Clinton>氏陣営の選対本部長を務めた)ジョン・ポデスタ(John Podesta)をハッキングしようと思えばできたと言っている。民主党全国委員会(DNC)はなぜそんなに不注意だったのか」と再びツイートした。
トランプ氏が言及したのは、ハッカーがDNCとポデスタ氏のコンピューターから入手した電子メールや文書で、昨年11月8日の米大統領選挙の数週間前にウィキリークスによって公開された。文書の一部はクリントン氏陣営にとって都合の悪い内容だったことから、トランプ氏の勝利に寄与した可能性があるとみられている。
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