ひらがなでタイトルを書いたのは、国際きんゆう論の勉強のためネット検索をするどこぞの学生が、迷い込んでこないようにである。・・・恥ずかしながら、ここには学術的な内容は無い。・・・もし、この僕がこのタイトルで小論文を書けと言われたら、金曜日の夕刻に食べたスターバックスのシナモンロールなど、ボケを狙うしかない・・・
船橋駅で内房線君津行きの快速に乗り換えて、勤め帰りのサラリーマンに混ざって、電車のつり革につかまっでいると、目の前の座席にレポート用紙にシャーペンを走らせて何やら書き込んでいる若い女性がいた。何気なく彼女の手元を見ると、英語の文字がぎっしり並んだ文献のコピーがある。その文献は”Monetary Policy Strategy”の421ページ目。日本語に訳すと”きんゆうせーさくせんりゃく”であろうか?
彼女の姿に興味を覚えたのも、Monetaryの意味が分からずに、人の名前なら” Monetary’s ”となるはずだよね・・・とふと思ったからである。おまけに、興味のない振りをして、その文献のコピーを遠目に覗き込むと、知らない英単語が行列になっており、2~3行盗み見ただけで頭痛に襲われてしまった。
僕の娘が喜んで使いそうな、小さなイチゴの模様がたくさん入った200円のシャープペンシルを紙の上にすらすら走らせる彼女の年恰好から、恐らくは、彼女は大学院生だろうと推測した。彼女が大学4年生である可能性は低い。何故なら、卒業論文に取り掛かっているとしても、421ページ以上もある文献を読むことはまずないと思われるからである。あるいは、翻訳を職業としているプロの翻訳家?・・・でも、一日中、翻訳事務所で仕事した後、君津へ向かう夕刻の電車の中で、また、仕事を始めるだろうか?
僕の娘が小さい頃、バイリンギャルに育てようと、英語を毎日教えていた時期がある。幼稚園の当時、娘はスラスラ英語で挨拶できていたが、転勤先の山口県の田舎小学校に通ううちに、話す言語は山口弁に固定され、英語はまったくでなくなってしまった。この頃の、僕が抱いていた夢の一つは、娘が成長して大人になった時、読んでもまったく理解不能の英語の分厚い本(もちろん、理解できないのは英語ばかりじゃなく仏語、スペイン語でも)を抱えて、僕に質問してきたらどうしようと、娘の成長に目を細めて嬉しがることであった。親バカだね。
そんなことを思い出しながら、目の前に座って、一生懸命、英語を和訳している見知らぬ女性に、頼もしく思うと同時に「がんばれよ!」と心の中でエールを贈っていた。
♪ハロウィーン
いのこずち ひとつ
くちづけてセーターに投げたの
言えなかった想いを残らずこめるように
そして ストーヴの前で
ぬいだとき気づいて欲しい
小さなブローチ 短い秋のピリオド♪ by ユーミン