tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

注文の少ない料理店

2006-10-28 21:18:49 | プチ放浪 都会編

昔のテニス仲間から連絡があり,数年ぶりにテニスコートに出かけた。
夕暮れまでゲームを楽しんだが,テニスに熱中していたころのボールへの予想(アンティシペーション)能力は全く失われており,ボールそのものに反応するだけなのでコートカバーリングが遅れ,試合ではボロボロだった。いいようにコートの外まで追い出され,走りまわされ,やられまくって,日没,ジ・エンド。
シャワーを浴びて着替えると,夕飯を食べに行こうと誘われた。
「パスタのおいしいお店があるのよ。マスターが変わった人だけど・・・」
ピアノの先生をしている彼女の言葉の最後の部分が気になったけれど,むちゃくちゃお腹が空いていたので2つ返事でOKする。映画「I am Sam」のミシェル・ファイファーに似たの感じの彼女は,若かりし頃とほとんど変わっていない。身長の半分はある長く形の良い足のラインを,ナイキのウォームアップスーツに浮かび上がらせている。長いまつげの奥で,いたずらっぽい目がいつも笑っていて素敵だ。
街中にあるこじんまりとして赤い壁が印象的なその店は,イタリアの映画に出てきそうな内装で落ち着ける感じの店だった。
メニューには日本語で「秋鮭のほうれん草入りスパゲッティ いくら添え クリームソース」など書いてあり,どんな料理なのか分かりやすく好感が持てる。

スパゲッティと言えば,映画「グレート・ブルー」を思い出す。フリー・ダイビングの記録保持者であった主人公のジャック・マイヨールは親日家で,日本にも住んでいたことがある。88年に公開されたこの映画は,その後,ロングバージョンの「グラン・ブルー」に変わり,松任谷由実やマスコミなどに熱狂的に支持されたことから大ブレークしたので観た人も多いだろう。
ジャックの晩年は,うつ病に悩まされていたらしい。不幸な最後を遂げている。彼に関する記述は,九州の唐津に住んでいたこともあって非常に多いが,彼の内面に迫るものはなかなか見つからない。彼の生き方は僕のとって興味深く,いつか,彼の足跡を追って見たいと考えている。

映画では,大人になったジャックが,イタリアのタオルミーナ岬で開催されたフリー・ダイビングの大会で幼友達のエンゾと久しぶりの再会をし,岬の突端にあるホテルのレストランでパスタを食べながら懐かしんで語り合う。その時注文したのはボンゴレ・ビアンコ。エンゾがパスタを食べていると,一緒に宿泊中の彼の母親が顔を出す。「家以外でパスタを食えば母親に殺される」とエンゾは,ジャックの連れでイルカにどことなく似た顔立ちの可愛い女性ジャーナリストのジョアンナに皿を押し付ける。イタリアではパスタは家庭の味。母親に外で食べている姿を見せたくなかったのだね。ある意味マザコンであるが,母親を見てあわてている様子が微笑ましい。そのうちジョアンナが注文したパスタが届き,彼女はにっこり笑って2皿目のパスタをほうばる。彼女もいい人なんだよね。

さて,とってもおなかの空いていた僕は,その店で2皿目のパスタを注文する。今度はあっさりとした,バジルとおろしチーズのパスタ。映画「マーサ幸せのレシピ」で「ちょっとくらいならいいけど、全部食うなよ、オレんだから」って言ってたやつ。注文したら,店の主人からさっそく怒られた。その店は,客が入ってきたと同時に,その人数に合わせてパスタをゆでるらしい。したがって,2皿目を注文されるとゆで上がったパスタの量の計算が狂っちまうとのこと。そう言えば,使っているパスタはソースが変わっても太さは1種類のみであった。まあ,職人さんには気持ち良く仕事してもらった方が,こちらとしても良い。
ということで,パスタのおかわりはあきらめて,じぶんちでパスタを料理。缶詰のトマトに,にんにく,ピーマンをぶち込み,ブレンドミキサーへ。これにアサリを加えて塩コショウして加熱しソースの完成。デュラムセモリナ粉に薄力粉を適当にまぜ,水と卵を入れてホームベーカーリーで生地作り。パスタマシンでテーブルの上を粉だらけにしながらも,生パスタを製麺。これをゆでて,ボンゴレ・ロッソの完成。ところで,生パスタではどうやってゆでてもアルデンテには成らないぞ。

 

コメント
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