tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

理想の教師

2006-10-17 23:00:10 | cinema

今、日本の教育現場が病んでいる。と言っても、いじめや不登校は、今になって始まったことではない。不適切な教師の存在も、またぞろ表面化しただけで、昔も今も大して変わりはしない。言うなれば、忌み嫌うべき事件が立て続けに表面化したとすべきか。

一連の教育現場の不祥事に対し、阿部内閣は「教育再生会議」を立ち上げ、教員免許の更新制の導入などの見直しをしようとしている。 教育免許の更新制は、確かに日本の戦後教育の根本的な問題点を是正する一つの方法ではあるが、所詮、型どおりの諮問試験では教育者としての自覚も無く、事なかれ主義の教師を大量に再生する結果であることは目に見えている。当面の問題教師はそれでも選別されていくであろうが、教師に対する偏差値的な評価では根本的な解決にはならない。

ところで、良い教師とは、はたしてどんな教師であろうか? 理想の教師を描いた映画として、思いつくだけでもロビン・ウィリアムズの「いまを生きる(1989)」、リチャード・ドレイファスの「陽のあたる教室、1995」、ダニー・デヴィートの「勇気あるもの(1994)」、ジェフ・ブリッジス「白い嵐(1996)」、定年退職の教師を描いた「僕の好きな先生(2002フランス)」などがある。

いずれの映画でも、共通する要素としては、生徒とともに成長していく先生の姿が描かれている。そして、ドラマチックなフィナーレに向かって生徒が行動を開始する。また、3年B組金八先生の原点であろう熱血の教師を描いた「いつも心に太陽を(1967)」とその女性版「デンジャラス・マインド 卒業の日まで(1995)」、あるいはメリル・ストリープの「ミュージック・オブ・ハート(1999)」、においても、生徒とのぶつかり合いから両者が社会の入り口としての人と人との付き合い方を学んでいく理想とされる教師像が描かれている。ミュージック・オブ・(ザ)・ハートに至っては実話を基にしているが、例え、あの輝かしいフィナーレが無くても十分に感動できる話である。

対立していた教師と生徒が、ある出来事を通して信頼関係を築き上げていくのは非常に感動的な出来事ではあるが、この教師と生徒の対話に教育の原点があると言うのは早計と思える。スペイン内戦を描いた「蝶の舌(1999」)で描かれたように、子供は至って残酷なものである。どんな事情があるにせよ、他人の評価を鵜呑みにして、それまでの自分で培ってきた自己を捨てて新しい観念に染まってゆく。子供等のよき先生は、かくしてその教え子に文字通り石を持って追われることになる。

このように、良き教師に対する価値観は、人によりまた時代により変化する。したがって、教師に対する絶対評価というのは無意味であり、評価されるべきは、いかに指導できたかであろう。つまり、いかに生徒に影響を及ぼしたか、インパクトファクターなる基準が必要となろう。大学では、学生による教師への評価が始まっているところがある。しかし、自己の形成が未熟な生徒に対してこれを求めるのは困難である。然れば、教え方に工夫をすべきであり、現在の道徳の時間をもっと増やし、教師と生徒が本音で議論し合いお互いに成長を確認する場を確保すべきと考えるがいかがであろうか。

ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

さよなら子供たち - Au Revoir Les Enfants (1987 ルイ・マル)
フランスにある小学校の13人の子どもたちと、もうじき退職というロペス先生の姿を追ったドキュメンタリー

いまを生きる(1989)/ロビン・ウィリアムズ
バーモントの全寮制名門校にやって来た、ロビン・ウィリアムズが演じる英語教師キーディングは、型破りな授業で生徒達の心をとらえていくが…。窮屈な学園生活を送る生徒たちに、希望と自分らしく生きる事を教えようとする教師の信頼を描いた感動作。

陽のあたる教室 - MR.HOLLAND'S OPUS (1995)
作曲家の卵が生活の為に、やむなく高校の音楽教師に。嫌々始めた仕事だったが、多くの生徒との心のふれあい、家族の絆を通じて、やがて教師を天職にしていく…。
音楽教師生活の30年間を描いた作品。

勇気あるもの?(1994)
賞をとったことのある広告マンが失業し、軍隊で不本意ながら教師の仕事をすることになる。

ミュージック・オブ・ハート(1999)/メリル・ストリープ
夫と別居し実家のニュージャージーに戻ってきたロベルタは、友人のアドバイスでバイオリンの腕を活かしてハーレム地区の小学校でバイオリン・クラスの臨時教員となる。初めは誰も真剣でなかった子供たちだが、彼女の熱心な指導でみるみる上達していった。10年後、人気授業となっていた彼女のクラスは市の予算削減のため打ち切られることになる。日々の葛藤と闘いを描いた実話。

いつも心に太陽を(1967)/シドニー・ポワチエ
就職難に喘いでいた通信技師のサッカレー(ポワチエ)は教師の口をみつけ、ロンドンの下町にあるノース・キー中等学校に着任する。しかしその学校は下町ということもあって、さまざまな問題を個々に抱える不良生徒ばかりの学校だった。ある日、生徒たちのいたずらの酷さに爆発した彼は、その時から悪ガキどもを生徒ではなく一人の大人として扱い、人間としての生き方を学ばせようと型破りな授業を開始する。

蝶の舌 - La Lengua de las Mariposas (1999スペイン)
スペインの内乱期、大好きな先生から自然の素晴しさを教えてもらった少年が体験する残酷な別れの時。いつの時代もそうなのだが、子供の目を通して見える世界というのは余りにも小さく愚かしい物だ。

デンジャラス・マインド 卒業の日まで(1995)/ミシェル・ファイファー
荒廃するアメリカのハイスクールを舞台に、問題児たちを何とか救おうとする熱血女教師の奮闘を描いたルアン・ジョンソンの自伝小説「ルアン先生にさからうな」を映画化した学園ドラマ。

コーラス /ジェラール・ジュニョ
約20人の子供たちと1人の音楽教師が奏でる感動ドラマ。いろいろな事情を抱えた子供たちが集まる宿舎に、音楽教師マチューが赴任してくる。合唱を始めた事で、一番の問題児だったピエールに変化が現れる。

その他おすすめ

あの子を探して(1999 中国)
中国寒村の小学校で1ヵ月学校を離れることになった先生の代用教員として雇われた13歳の少女ウェイ・ミンジ。ところがある日、生徒の中の10歳の腕白少年チャン・ホクエーが勝手に町に出稼ぎに行ってしまう…。心が温かくなる映画です。

ペイフォワード(2000)/ハーレイ・ジョエル・オスメント
 「もし君たちが世界を変えたいと思ったら、なにをする?」そんな社会科の先生の問いかけに、中学1年のトレバーは、きわめてシンプルかつユニークなアイデアを思いつく。しかもそのアイデアは、勇気を出せば誰もがすぐ実行できる、簡単なこと。ところが母親をはじめ、大人たちはなかなかそれを行うことができない。しかしそのアイデアに、本当に世界を変えるかもしれない可能性が出てきた。

ワイルド・チェンジ
未見

フラガール
未見

モナリザ・スマイル
未見


春が来れば
未見

落ちこぼれの天使たち(Stand and Deliver、1988年)
未見

学校I~V

3年B組金八先生

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