tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

そしてさよなら(スラマ ティンガル)

2008-06-11 21:07:28 | 日記

車は、ホテルに泊まっていた数人の日本人旅行客を乗せ、デンパサール国際空港に到着。
ずらーと並んだエコノミークラスのカウンターの中、比較的すいている奥の方の列で順番待している時だった。ぼくの前に並んでいた女性2人連れがチェックインしているのだが、なかなかチケットを発券してもらえない。彼女たちの預けるスーツケースが、重量制限の20kgを超過しているのが原因だった。カウンターのおねえさんは、「超過した分を機内持ち込み手荷物にまわしてください」と簡単な英語でお願いしているのだが、それに対して、2人は「超過料金を払うから、このままで」と言ってきかない。カウンターの向こうとこっちで、英語と日本語が行き来していた。
後ろで、松葉杖をついて辛抱強く待っていたのだが、見かねて素直にパッキングし直したらと声をかけたら、2人はその場でスーツケースを開けて重量調整を始めそうになった。
おねえさんが、彼女たちを放っておいて、ぼくを手招きしてくれたから、ようやく、カウンターへ。チケットを発券してもらって、預ける荷物はないことを申告。つまり、背負っていたバックパックを、持ち込み手荷物に申請。カウンターのおねえさんは、
「念のため、手荷物の重さを量らせて」と言ってきた。
恐る恐る軽量台に乗せるも、上限7kgのところを、残念ながら3kgオーバー。おねえさんから、ため息が漏れる。重そうなものと言えば、来る時、日本で着ていた防寒ジャケット、それから、プナに貰ったコピ1袋と、お土産のチョコレート、石鹸、文庫本。これらを全部、身にまとえば、3kgの減量はできるかもしれない・・・・・・。なんて、考えていたら、カウンターの向こうでおねえさんと、その上司が相談をしていて、重量オーバーのままで機内持ち込みOKに。
ルール無用の悪党ばかりでごめんな。でも、君達の努力のおかげで、ぼくらは安心して飛行機に乗り込むことができる。テリマカシ。

出国審査でも運悪く、並んだ列のぼくの目の前の国籍不明の男が出国審査官とやり合っていて、長い時間、手前の白線で待たされた。本当に国籍不明が原因だったのかわからないが、さんざんやりあった上、どうにかその男は放免され無事に出国。その間、ぼくは松葉杖をついたまま、白線の手前側で順番をひたすら待ち続けていた。ひょっとして、出国審査が厳しいのだろうかと恐るおそる書類を提出したのだが、ぼくの時はほとんど書類を見もせずに出国OKに。
ボーディングゲートまでの長い道のりを松葉杖で行く途中、あまったルピアを使うため、ゲート直線のショップの片隅でサンドイッチとビールを注文。イスに腰掛けまったりしていたら、ゲート前にあっという間に長蛇の列ができた。どうもアジア系(またはイスラム系)乗客が、機内持ち込み荷物と全身ボディチェックをされているために列が進まないらしい。

ビールを急いで飲み干し、列に並ぶため、列に沿って引き返し列の最後部へ。そして、無事にボーディング。今回は、アッパーデッキ(2階席)だ。CAに松葉杖とバックパックを預かってもらい、機内の通路をはでにケンケンで飛び跳ねて着座。他の乗客たちが何事かと、ぼくを見ていた。
空港に着いたのが遅かったせいで、ハンディキャッパーとしての座席の優遇はなし。席は通路側なのだが、真ん中辺りの席のため、前方、後方ともトイレも同じ距離だ。
それでも、CAは最大限の努力をしてくれた。2階席じゃあ不便だろうからと、空いていた1階席の一番後ろの席を勧めてくれたのだ。しかし、またケンケンで1階まで降りて席を変わるのが面倒くさかったので、そのままの席に。そうしたら、ジャワ島ジャカルタでの1時間のトランジットの際に、席をアレンジしてくれて、2階席の中央列最前席の通路側に席を変えてくれた。そこなら、トイレが目の前で、しかも、前の席なので痛めている足を伸ばしたままにすることができた。CAに感謝。
トランジット中、座席でおとなしく待っていると、女性から声をかけられた。見ると、バリに来る時の飛行機でお世話になったCAだった。
「また会ったわね」
こぼれるような笑顔で話しかけてくれる。覚えていてくれたんだ。すごく嬉しかった。彼女の笑顔に心がきゅんとなっていた。

夜間飛行のGA880便は、沖縄の西側あたりで夜明けを迎えた。地図で確かめると、早朝の豊海海岸サンライズ九十九里浜に沿って飛行し、片貝~本須加付近で左旋回し、晴天の成田空港に着陸。こうしてぼくの松葉杖の旅が終わった。  了