tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

明日、君がいない

2008-06-15 20:18:52 | cinema

「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」。
テレビの映画解説で親しまれたおなじみの映画評論家 水野晴郎さんが亡くなった。氏は1957年に20世紀フォックス映画に入社して宣伝マンになった。その後、ヘッドハンティングで日本ユナイト映画の宣伝総支配人になった。

宣伝マン時代に、ノルマンディー上陸作戦を描いた大作「ザ・ロンゲスト・デー」の邦題を「史上最大の作戦」と名付けたほか、007シリーズの「ロシアより愛をこめて」を、日本初公開時の邦題として“危機一髪”ではなく、「危機一発」とするなど抜群のネーミングセンスを発揮したらしい。

今は時代が変わって、家族揃ってテレビで映画を見る時代じゃなくなってしまった。しかし、ぼくが子供のころ映画に夢中になったのは、テレビで彼の名解説を見てからのことだ。「史上最大の作戦」にしろ、007にしろ、ワクワクドキドキしながらブラウン管を見つめたものだった。映画って本当にいい。それを教えてくれた
氏の冥福をお祈りいたします。

さて、「明日、君がいない」を観て、子供の頃に、学校に登校して、友人からクラスメートの死を告げられた日の朝を思い出した。
「誰が?」と湧き上がる疑問と、そして「どうして?」
誰が自殺したと言われても、不思議じゃなかったような気がするし、また、誰が自殺したと言われても絶対に信じられないような気がした。
そして、突然の仲間の死に、背負いきれないほどの大きな後悔が走ったのを覚えている。
「話してくれたら助けられたかも知れない・・・・・・」

「午後2時37分」
詰まった感情が嗚咽とともに吐き出され、自殺者にとって、その瞬間だけが世界中でたった一人の被害者だった。
彼女の時計は止まった。学校の授業はまだ、続いていた。
学校の窓の外は、午後の日差しの中で、道路には陽炎がゆらゆら立ち昇っていた。


2000年には世界中で約100万人が自殺しているが、その数は年々増加する傾向があるらしい。
日本でも、戦後、食糧事情や医療のめざましい進歩により、男女ともに平均寿命は前年の記録を毎年更新し続けているのだが、一方で、自分で命を絶つ人も増加している。若者の自殺は、痛々しさを覚えるばかりだ。だが、実際には、中高年の自殺者が一番多いようだ。


最近、TSUTAYAのレンタル半額クーポンで、まとめて借りた話題のDVDの中に
「それでも生きる子供たちへ」から始まり、エリック・スティール Eric Steel 監督によるドキュメンタリー映画「ザ・ブリッジ」、そしてこの「2:37」の映画。
どれも、「準新作」の作品だった。
「ザ・ブリッジ」は、サンフランシスコにあるゴールデンゲートブリッジ(金門橋)を2004年に一年間定点撮影を続けたことによってカメラが捉えた、投身自殺の現場映像と、遺族の証言から構成されている。

「小説や漫画、音楽などが現実の事件に対して影響がある」というのはウソだとする意見がある中で、影響のない作品やメディアなど本当に存在するのだろうかと疑問が持ち上がる。

いったい、世の中はどっちの方向に向かっているのだろうか・・・・・・。鬱