バリのホテルの客室には、ティーセットとしてインスタントのコーヒーとリプトンのティーパックが用意されていた。インスタント・コーヒーの方は、ネスカフェのアルミ・ラミネートのパックでインドネシア豆100%と書かれている。中身は、スプレードライした粉末状のもの。味は日本のエクセラとほとんど同じで、やや深煎りでしっかりした風味でなじみやすい。スーパーマーケットでも、インスタントネスカフェが手に入るが、コピ・バリより値段が高かかったりする。もちろん、スプレードライの加工費がかかるからだ。
一方、プナにお土産としてもらったコピ・バリ。チャップ・クプクプ・ボーラ・ドゥニア(蝶(クプクプ)と地球地図印)社のもので、このメーカーがバリのマーケットを独占しているようだ。200gの銀色をしたアルミパッケージ。
バリの街中や、ホテルの朝食、プナの家で飲んだのもこのメーカーのものなのだろう。強い苦味とコクが特徴で、ブラックで飲むと一段と味が引き立つ。
この土産にもらった銀色の袋のチャップ・クプクプ・ボーラ・ドゥニア。袋を空けると、極細挽き(エキストラ・ファイン・グラインド)とされる「エスプレッソ用」の挽き方よりも更に細かい粉が入っていた。だが、残念ながら、超極細挽きになっているからか、コーヒーの香りはすでに飛んでしまっていて、ほとんどしない。
コピ・バリの正しい飲み方は、まずコピを好みに応じてカップに入れる(1人分ティースプーン1杯程度が目安らしい)。次に、沸騰した湯をカップにそそぐ。そして、静かに混ぜる。その後は、まったりと粉が沈殿するのを待ち、上澄みを口にする。これがバリ式。
さて、日本に帰って来て、さっそく、バリ式の入れ方で飲んでみたが、どうも味気ない。なぜ、現地にいるとコピ・バリがおいしく感じられるのか、全く持ってわからない。いつか観た「かもめ食堂」に出てきた、コーヒーを美味しくするおまじないがあるのだろうか。バリのホワイトマジックは本当にあるぞみたいな。そんな気にさせられている。