理事長を退かれた浪尾淑子先生、私も母もそしてパートナーもお世話になっている
先月開催された岡山医療生活協同組合通常総代会で、理事長が交代した。これまでの浪尾淑子医師に代わって、吉崎振起医師が就任された。
その浪尾淑子先生の理事会レベルでの「ご苦労さん会」が開催され、私も出席させていただいた。屋外での炭火・七輪での焼き肉パーティだ。周囲には水も打たれて、心配した暑さも蚊も大丈夫だった。
当日、思い出のスピーチを振られながら、「ない」と断ったら、浪尾先生から「お母さんなどご縁がありますよね」とやんわり指摘された。そこで、この場で少しだけ思い出を書いておこうと思う。
浪尾先生は糖尿病が専門であり、私の母の糖尿病の主治医でもあった。診察日が近づくと「浪尾先生に叱られるから」と甘いものを我慢していた姿が、今も思い出される。
また我がパートナーの主治医でもあり、心臓・冠動脈への異常を発見していただいたのも浪尾先生だ。1984年には冠動脈のパイパス手術を余儀なくされたパートナーについて、その直前に先生にお会いした時に「今すぐ手術しないと、命が危ないですよ」と先生にしては極めて厳しい口調で叱責されたことを記憶している。「何をのんびりしているの」という感じだった。パートナーはもう30年以上も、お世話になっている。そして今、私の主治医でもある。
そんなお世話になっている浪尾先生であり、思い出がない筈もないが、語れば母のことなどを思い出すこととなり、涙を禁じ得ず、さすがにそれは恥ずかしいのお断りしてしまった次第だ。
それにしても浪尾先生には岡山医療生協理事長職という重責を13年間も担っていただいた。理事長退任後も、相変わらず診療の第一線に立っていただいている。感謝に堪えない。健康に留意されますますご活躍いただくと同時に、これからは趣味の山登りなども楽しみ、心豊かに過ごして欲しいと願う。
空間を思いっきり使って魅了する維新派、天才松本勇吉の本領発揮の舞台だった
今日から8月。お盆を過ぎたら朝晩は涼しくなるので、もう少しと思って頑張ろう。それにしても夕立が欲しい。でも全く降らない。ただ、今朝は台風の到来の影響からか、ずいぶんと涼しくすごしやすい。毎朝こうであれば嬉しいのだが。ただ、日中は今日も暑くなりそう。
さて、神戸に行って、松本勇吉率いる維新派の公演を日曜日に観て、今日はもう水曜日だ。今回の維新派会場は、神戸税関の道向かいの「デザイン・クリエイティブセンター神戸(旧神戸生糸検査所)」。その会場前の空間には、維新派名物の「屋台村」が出現していた。維新派の屋外公演に登場する屋台村、今回は屋内公演だが、維新派の地元大阪に近いこともあり登場したと推測する。維新派の出身地元であるミナミのジャンジャン横町の猥雑な雰囲気が、会場前に出現していた。私はこの雰囲気が好きだ。
さて、維新派・松本雄吉さんと私が初めてお目にかかったのは、「岡山市芸術祭」を担当している当時、そのメイン公演に犬島での維新派公演をお願いした時だ。2002年のことだから、もう10年も前のことだ。その犬島での維新派の舞台「カンカラ」に圧倒されたのが昨日のことのように思い出される。その強烈な印象は、今も心の深くに沈殿している。その衝撃を受けた犬島公演以降の維新派公演は、ほとんど観てきた。そしてその舞台に魅了され続けてきた。犬島では「カンカラ」を含めて、もう三回も公演が開催された。
ところで、維新派の舞台の特徴は、犬島公演の際でも松本さんは長い間犬島に住み、犬島ならではの舞台を創り上げていただいた。その土地でしかない舞台であり、常にオリジナルだ。それはとても魅力だ。と同時に、私がいつも魅せられるのは、その舞台装置だ。「脚本を書くのは苦しいが、舞台装置を考えるのは楽しい」と言った趣旨のことを、松本さんからお聞きしたことがある。
今回の舞台「夕顔のはなしろきゆふぐれ」では、その松本さんの造形美が遺憾なく発揮されていた。長細い空間を思いっきり使った、「ある種遊び心に満ちた」舞台づくりの松本雄吉ワールドが、実に見事に展開された。3・11もしっかりと視野に入れた、本領発揮の舞台で心から魅了された。
それにしても、そろそろ維新派の本格的な屋外公演が観たいものだ。松本さんのお言葉には、来年はそんなことも考えておられるようなニュアンスも感じ取れた。どんな場所で、どんな舞台を魅せてくれるのか、一年間楽しみにして待とうと思う。まだ神戸での維新派公演の衝撃が頭にある。