取締役会設置会社でない株式会社の取締役は、株式会社の業務を執行する(会社法第348条第1項)。取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する(会社法第348条第2項)。すなわち、代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合であっても、当該代表取締役等は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもってする意思決定に基づき、業務を執行しなければならないのであって、代表取締役等以外の取締役の業務執行権が無条件に奪われるわけではないのである。定款の別段の定め(会社法第348条第2項)の内容としては、個々の業務の決定を各取締役(例えば、代表取締役)に委任(会社法第348条第3項参照)すること等が考えられる。
なお、取締役の過半数により業務の決定を行うために、会議を開催する必要はない。取締役会設置会社でない株式会社において、会議体は法が要請するところではないからである。