コメント欄に,「新株予約権の内容として、行使時に金銭の払込みを要すると定めらていた場合、予約権者が、行使日に行使請求のみし払込みをしなかったとしても、株主となるのでしょうか?」という御質問あり。
会社法の規定は,次のとおり。
(新株予約権の行使に際しての払込み)
第281条 金銭を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、前条第一項第二号の日に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、その行使に係る新株予約権についての第二百三十六条第一項第二号の価額の全額を払い込まなければならない。
2・3 【略】
(株主となる時期)
第282条 新株予約権を行使した新株予約権者は、当該新株予約権を行使した日に、当該新株予約権の目的である株式の株主となる。
この点,平成17年改正前商法においては,次のとおり明確であった。
第280条ノ38 前条第1項ノ規定ニ依リ新株予約権ヲ行使シタル者ハ同項ノ払込ノ時ニ株主トナル
2 【略】
会社法の規定は,平成17年改正前商法における規定に比して明確性を欠くように思われるが,「株主となる時期」に関する実質的な改正はなく,従前どおりである,と解されている。
したがって,行使に際して金銭の払込みをしなければ,会社法上の「新株予約権の行使」とはならないと考えるべきなのであり,すなわち新株予約権者は,株主とはならないのである。
cf. 国税庁通達の趣旨説明
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/070313/05.htm