司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

印紙をはり付けなかった場合の過怠税(2)

2012-07-30 19:25:14 | いろいろ
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120720-OYT1T01285.htm

 三井住友銀行も,納付漏れを指摘されて,過怠税を課されている。

 印紙税の理解は,実務においては,極めて重要である。

cf. 平成24年5月22日付「印紙をはり付けなかった場合の過怠税」
コメント

会計監査人の重任による変更の登記の申請書に添付すべき登記事項証明書の省略の可否

2012-07-30 18:08:44 | 会社法(改正商法等)
 先日,大阪司法書士会における研修会の終了後,「会計監査人の重任による変更の登記の申請書に添付すべき登記事項証明書は,当該監査法人の従たる事務所の所在地においては省略できないと言われたが,どうなのか?」という質問があった。

 不覚にも確答できず,「条文にあるのでは・・・」という答え方をしてしまったが,やはり商業登記法第54条第2項第2号ただし書によって,「当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く」とされている。


商業登記法
 (取締役等の変更の登記)
第54条 【略】
2 会計参与又は会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
 一 就任を承諾したことを証する書面
 二 これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
 三 これらの者が法人でないときは、会計参与にあつては会社法第三百三十三条第一項 に規定する者であること、会計監査人にあつては同法第三百三十七条第一項 に規定する者であることを証する書面
3・4 【略】


 質問の趣旨は,「これまで添付省略が許容されていたのが,急に駄目出しをされた。どうして?」ということだったが,明文の規定がある以上,従たる事務所の所在地における添付省略は不可である。

 登記事項証明書で何を証明するのかの問題であるが,例えば,清算中の監査法人が会計監査人に就任することは背理であろうし,それは従たる事務所の所在地の登記では不分明であるから,不可である,ということではないだろうか。

【追記】
 本件について直接言及するものではないが,コメント欄で紹介した月刊登記情報2007年6月号に,土手敏行「会計監査人変更登記申請書の添付書面についての留意点Q&A」がある。
コメント (12)

第三者割当増資の規制強化

2012-07-30 17:40:03 | 会社法(改正商法等)
日経記事
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO44275190Y2A720C1TCJ000

 支配権の異動を伴う大型増資が相次いでいることから,日経が問題点等をまとめている。
コメント

取締役の任期が1年の株式会社における任期短縮規定の必要性

2012-07-30 11:21:04 | 会社法(改正商法等)
 会社法第459条第1項では,剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めを置くことができるための条件として,「取締役の任期の末日が選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の日後の日であるもの」を除外していることから,当該定款の定めをおく場合には,「取締役の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」と定款で定めるのが通例である。

 また,委員会設置会社にあっては,会社法第332条第3項の規定により,原則が「取締役の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」ものとされている。

 このような株式会社においても,増員又は補欠として選任された取締役についての任期の短縮規定が必要であると思われるが,例えば,全株懇モデルが「実務上不要と考えられるので削除」したことから,設けていない例が多いようである。確かに,上場企業においては,決算期後,定時株主総会までの間に,敢えて臨時株主総会を開催して,増員又は補欠として取締役を選任することは極めて稀であり,補欠として選任する必要がある場合には,「一時取締役の職務を行うべき者」(会社法第346条第2項)の選任申立てをするであろうから,「実務上不要と考えられる」と言えなくもない。

 ところで,委員会設置会社の執行役の任期は,原則として「執行役の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結後最初に招集される取締役会の終結の時までとする」(会社法第402条第7項)とされている。選任機関である取締役会の構成メンバーである取締役の任期と平仄をとるためである。

 執行役は,選任機関が取締役会であることから,取締役の場合と異なり,決算期後,定時株主総会までの間に,増員又は補欠として選任することに特段の障害はない。そして,上述のとおり,選任機関である取締役会の構成メンバーである取締役が交替する際には,執行役全員が改選されるべきなのであるから,定款によって、増員又は補欠として選任された執行役についての任期の短縮規定(会社法第402条第7項ただし書)を設けることは,十分合理性があり,立法趣旨にも適うものである。

 しかし,委員会設置会社の中には,取締役の任期に関して,増員又は補欠として選任された取締役についての任期の短縮規定を設けていないことから,これと同様に,増員又は補欠として選任された執行役についての任期の短縮規定を設けていない例が散見されるようである。このような会社において,決算期後,定時株主総会までの間に,増員又は補欠としての執行役が選任されたときは,当該執行役は,取締役の任期満了と同時期に任期満了とならない(任期満了は,1年後。)ことになってしまう。

 もとより,決算期後,定時株主総会までの間に,増員又は補欠としての執行役を選任することがなければ,何の問題もないとも言えるが,「実務上の必要性」の観点からは,任期短縮規定を設けておくに越したことはないであろう。
コメント