スカイマークが再生手続開始決定を受けたところであるが,同社は,ストックオプション等の新株予約権を発行している。
新株予約権を発行している株式会社が再生手続開始決定を受けた場合の取扱いは,如何?
新株予約権の法的性質は,形成権であるが,権利の行使に当たって,対価の交付を伴うことから,双務契約であると解すべきであろう。
すなわち,新株予約権を発行している株式会社が再生手続開始決定を受けた場合,再生手続開始時点において未行使の新株予約権については,双方未履行の双務契約関係であると解される。
したがって,民事再生法第49条第1項の適用があるということになろう。
民事再生法
(双務契約)
第49条 双務契約について再生債務者及びその相手方が再生手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、再生債務者等は、契約の解除をし、又は再生債務者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2 前項の場合には、相手方は、再生債務者等に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、再生債務者等がその期間内に確答をしないときは、同項の規定による解除権を放棄したものとみなす。
3 前二項の規定は、労働協約には、適用しない。
4 第一項の規定により再生債務者の債務の履行をする場合において、相手方が有する請求権は、共益債権とする。
5 破産法第五十四条 の規定は、第一項の規定による契約の解除があった場合について準用する。この場合において、同条第一項 中「破産債権者」とあるのは「再生債権者」と、同条第二項 中「破産者」とあるのは「再生債務者」と、「破産財団」とあるのは「再生債務者財産」と、「財団債権者」とあるのは「共益債権者」と読み替えるものとする。
本件の場合,再生債務者である株式会社は,新株予約権者から任意の放棄を受けるか,民事再生法第49条第1項の規定に基づいて解除をすることができると解され,これによって新株予約権は,消滅する(会社法第287条)。
さて,会社法の規定により登記した事項に変更が生じ,又はその事項が消滅したときは,株式会社は,遅滞なく,変更の登記又は消滅の登記をしなければならない(会社法第909条)。
再生手続開始決定を受けた株式会社に関しては,一定の事項については,裁判所書記官の嘱託によって登記がされるが,その余の事項については,再生債務者である株式会社からの申請によって登記がされる。
本件の場合においては,「その余の事項」として,再生債務者である株式会社が変更の登記申請を行う。
なお,添付書面は,「要しない」取扱いである。
cf.
平成25年7月29日付け「新株予約権を発行している株式会社が破産手続開始決定を受けた場合の取扱い」