司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

東芝の定時株主総会と取締役の改選(2)

2015-06-02 22:14:07 | 会社法(改正商法等)
定時株主総会招集ご通知 by 株式会社東芝
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/stock/pdf/tsm176_conv.pdf

 東芝は,指名委員会等設置会社であるから,取締役の任期については,「選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時まで」(定款第20条第1項)とされている。

 そして,「定時株主総会は、毎年6月に開催する」(定款第12条)とされているものの,不適切な会計処理が原因で,6月に開催される株主総会には,計算書類を報告することも,その承認を諮ることもできない状況である。

 とすると,平成27年6月25日に開催される株主総会は,会社法上の「選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会」として取り扱うことはできないであろう。よって,同株主総会の終結の時に,取締役は任期満了退任とはならない。

 登記実務上,定款第12条のような規定がある株式会社において,定時株主総会が開催されなかったときは,定時株主総会を開催すべき時期の経過によって取締役は任期満了退任となると考えられている。

cf. 平成23年4月2日付け「定時株主総会の不開催と取締役等の任期満了の問題について」

 したがって,現任の取締役らは,平成27年6月30日終了時に任期満了退任となり,平成27年6月25日に開催される株主総会で選任された取締役は,平成27年7月1日から就任することになると解すべきである。

 平成27年6月25日に開催される株主総会で選任される取締役の任期については,「定款第20条第1項の規定にかかわらず,本総会の終結後1年以内に開催される当社の最初の臨時株主総会の終結の時まで」とする旨の株主総会の決議(会社法第332条第1項ただし書)がされるようである。

 とまれ,珍しいケースと言えよう。
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貸金債権の譲渡と過払い金の返還義務(最高裁判決)

2015-06-02 10:09:35 | 消費者問題
最高裁平成27年6月1日第2小法廷判決(原審 大阪高裁)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85134

【裁判要旨】
異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした債務者が,譲渡人に対抗することができた事由をもって譲受人に対抗することができる場合

「債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において,譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても,このことについて譲受人に過失があるときには,債務者は,当該事由をもって譲受人に対抗することができると解するのが相当である。」

 過払いを含む貸金債権の譲渡があった場合に,譲受人に過失がある場合には,当該譲受人も過払い金の返還義務を負うとしたものである。

 同旨の判決がもう1本出ている。

cf. 最高裁平成27年6月1日第2小法廷判決(原審 名古屋高裁)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85133

日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG01HBG_R00C15A6CR8000/
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