(再掲はじめ)
平成27年2月27日施行の改正商業登記規則により新設された第61条第5項の適用について,いろいろと疑問が生じているようである。
以下,私見を述べると,
Q.同項ただし書の印鑑証明書を添付する場合に,就任承諾書には住所を記載する必要があるか。
A.従来は,住所の記載は必ずしも要求されていなかったが,改正後は,必要であるとして取り扱われているようである。
なお,必要説に立てば,代表取締役を選定した取締役会議事録に住所の記載がある場合であっても,取締役としての「就任を承諾したことを証する書面」に住所の記載が必要である。
(再掲おわり)
cf.
平成27年4月16日付け「商業登記規則第61条第5項書面に関するQ&A」
研修会の際にもこのようにお話してきたのであるが,登記所においては必ずしも統一した取扱いがされていなかったようで,最近,東京法務局が上記に関して次のような内容の事務連絡文書を東京司法書士会宛に発出しているそうだ。
1 就任承諾書の住所の記載について
規則第61条第2項(第3項において読み替えて適用される場合を含む。以下同じ。)又は第4項の規定による取締役等の印鑑証明書を添付することにより,同条第5項ただし書の適用を受ける場合でも,当該取締役等の就任承諾書(株主総会議事録等の記載を援用する場合を含む。以下同じ。)には,当該取締役等の氏名のほか,住所の記載をも要する。
2 本人確認証明書の添付について
取締役等に就任した外国在住の日本人の就任承諾書の署名について,当該取締役等の居住地を管轄する日本の領事が発行する署名証明書を添付する場合,当該署名証明書に当該取締役等の住所の記載がないときは,原則として,別途,取締役等の本人確認証明書の添付を要する。
なお,取締役等に就任した外国人の就任承諾書の署名について,当該取締役等の署名証明書を添付する場合も同様である。
基本的に,印鑑証明書の添付が求められる場合というのは,「氏名」及び「住所」等で特定される人が署名押印等をしていることを証明することが必要であるからであり,そういった意味では,実印の押印が要求される文書においては,たとえ就任承諾書であろうと,「住所」の記載が必要と考えるのが本来である。「これまではなくても通用した」という論はさておき,「住所」の記載をするようにしましょう。