司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

擬制自白により認定された調書判決書が「他に相続人がいないことを証する書面」と言えるか

2016-02-03 20:02:28 | 不動産登記法その他
奈良地裁平成27年12月15日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85600

 所有権移転登記請求訴訟による勝訴判決(擬制自白)に基づき,債権者代位で前提の相続登記を申請したところ,添付された相続関係戸籍が「他に相続人がいないこと」を証するに足りないとして登記官が却下処分をし,申請人がこれを争った訴訟に対する判決である。

 奈良地裁は,「確定判決の理由中において甲の相続人は当該相続人らのみである旨の認定がされている場合は,相続人全員の証明書に代えて,当該判決正本の写しを相続を証する書面(登記原因証明情報)として取り扱って差し支えない(平成11年6月22日民三1259号民事局第三課長回答・民事月報Vol.55 No.7 219頁)」の射程が,擬制自白により認定された調書判決に対しても及ぶと解して,原告の請求を認めた。

 国(法務局)側の言い分も,至極もっともであるだけに難しいところである。

 おそらく国側は,控訴しているものと思われる(あるいは,地裁判決がこのように素早く公開されたということは,控訴断念で確定したとも考えられる。)。

 ところで,担保権の実行による競売申立てに当たっての債権者代位での相続登記の場合は,どうする? 相続人全員の上申書も使えない(一般論として,協力は得られないであろう。)。わざわざ債権請求訴訟を提起して勝訴判決を取得して,上記判決の理で相続登記をしなければならないのである。

cf. 平成25年3月6日付け「競売申立時の代位登記と「他に相続人がいない」旨の上申書」

 ところで,相続登記の申請の登記原因証明情報について,「他に相続人がいないことを証するものでなければならないところ,『他に相続人がいないこと』を証するために提供すべき情報は,原則として,被相続人の15~16歳頃から死亡までの間の連続した戸籍・除籍謄本によるべきものと解されている」とあるが・・。

 生殖可能年齢は,もっと下であり,11~12歳あたりがラインであると理解していたのだが,国の主張が「15~16歳頃」というのであれば,今後は,その線でOK(?)。
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切られたコンサル契約

2016-02-03 16:50:47 | 会社法(改正商法等)
日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96591460X20C16A1000000/

 ワンマン経営者に対しては,気に入られて懐に飛び込むのも容易な反面,心変わりにも気を付けなければならない,ということですね。
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裁判所の調停委員による無料調停相談会

2016-02-03 16:37:59 | いろいろ
裁判所の調停委員による無料調停相談会
http://www.courts.go.jp/kyoto/vcms_lf/20160201.pdf

日時  平成28年2月27日(土)10:00~16:00
場所  ハートピア京都
主催  京都家事調停協会,京都民事調停協会

 京都司法書士会調停センターも御利用ください!
http://www.siho-syosi.jp/about/mediationcenter.htm
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成年後見人等の報酬額のめやす

2016-02-03 16:25:15 | 家事事件(成年後見等)
成年後見人等の報酬額のめやす by 京都家庭裁判所
http://www.courts.go.jp/kyoto/vcms_lf/030406_HousyuuMeyasu.pdf

 京都家庭裁判所の運用である。
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国立国会図書館による代償金返還請求

2016-02-03 13:34:57 | いろいろ
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/ASJ22627WJ22UCVL01J.html

 国立国会図書館法は,国内で出版された出版物を同図書館に納入することを義務づけており,通常,定価の5割と送料が代償金として出版社に支払われているそうである。

 本件は,納本された書籍が「ギリシャ文字をランダムに配した解読不能の本」であるとして,「返品」して,代償金の返還を求める事態となった模様。

 最初から「オンデマンド」方式で1冊100万円の本を出版して販売すれば,他に買い手がつかなくても,国立国会図書館が50万円で「買ってくれる」?

「(発行者は)発行の日から30日以内に、最良版の完全なもの一部を国立国会図書館に納入しなければならない」(国立国会図書館法第25条第1項本文)という「国民の義務」なのですね。しかも,「発行者が正当の理由がなくて出版物の納入をしなかつたときは、その出版物の小売価額の5倍に相当する金額以下の過料に処する」(同法第25条の2第1項)というペナルティまであるという。


○ 国立国会図書館法
第25条 前二条に規定する者以外の者は、第二十四条第一項に規定する出版物を発行したときは、前二条の規定に該当する場合を除いて、文化財の蓄積及びその利用に資するため、発行の日から三十日以内に、最良版の完全なもの一部を国立国会図書館に納入しなければならない。但し、発行者がその出版物を国立国会図書館に寄贈若しくは遺贈したとき、又は館長が特別の事由があると認めたときは、この限りでない。
2 第二十四条第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「納入」とあるのは「納入又は寄贈若しくは遺贈」と読み替えるものとする。
3 第一項の規定により出版物を納入した者に対しては、館長は、その定めるところにより、当該出版物の出版及び納入に通常要すべき費用に相当する金額を、その代償金として交付する。

第25条の2 発行者が正当の理由がなくて前条第一項の規定による出版物の納入をしなかつたときは、その出版物の小売価額(小売価額のないときはこれに相当する金額)の五倍に相当する金額以下の過料に処する。
2 発行者が法人であるときは、前項の過料は、その代表者に対し科する。
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「訴訟履歴がマイナンバーへ登録されます」 という内容の不審なメールに御注意

2016-02-03 12:12:11 | 消費者問題
「国民消費生活組合」を名のる「訴訟履歴がマイナンバーへ登録されます」という内容の不審なメールに御注意ください by 消費者庁
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/160122adjustments_1.pdf

同 by 裁判所
http://www.courts.go.jp/about/topics/mynumber_hushin/index.html

 訴訟履歴は,情報集約されません。
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