月刊登記情報2017年7月号に,司法書士酒井恒雄/司法書士野入美和子「知識から実務へ「そこから先」を知るための定款対談―合同会社編―第5回 ベース定款④ 社員」がある。株式会社編に続き,好評連載中である。
さて,持分会社においては,社員に相続が発生した場合の持分の承継が問題となるが,上掲論稿では,合同会社における相続入社規定について,詳細に検討されている。
共同相続人のうちの一人が,定款の定めによって,いわゆる遺言や遺産分割協議により合同会社の持分を直接承継することが許容され得るとして,その定款例をいろいろと検討したものである。
上記の肯定説として,準公的見解(私見とのお断りはあるが。)として公表されているものとしては,民事月報平成27年5月号の櫻庭倫「平成26年商業・法人登記実務における諸問題」論文があり,「相続に伴う持分の承継による加入」の設例が検討されている(櫻庭氏は,前法務省民事局商事課補佐官である。)。
ブログでも取り上げるつもりで,失念してしまっていたようで・・。
cf.
平成27年7月4日付け「条件付委任状の可否~「平成26年商業・法人登記実務における諸問題(1)」」
平成27年7月6日付け「募集株式の発行(引受けの申込みを証する書面等)~「平成26年商業・法人登記実務における諸問題(2)」」
これを受けて,松井信憲「商業登記ハンドブック(第3版第3刷)」(商事法務)639頁にも,
「なお,あらかじめ,定款で「社員が死亡した場合には,その相続人は,他の社員の承諾を得て,死亡した社員の持分を承継する」旨を定めていた場合には,上記の先例と異なり,共同相続人全員の加入の登記をする必要はないと解されている(櫻庭倫「平成26年商業・法人登記実務における諸問題」民事月報70巻5号49頁)」
という解説が追記されている(増刷の際に,補訂されたものらしく,初刷にはありません。)。