特例有限会社において,「取締役A」のみが登記されている場合に,取締役を1名増員し,同時にAを代表取締役と定めるときは,どのように登記すべきであろうか?
cf.
平成23年3月31日付け「特例有限会社の代表取締役の変更の登記」
(以下再掲)
特例有限会社において,「取締役AB,代表取締役A」と登記されている場合に,取締役Bが辞任して取締役が1名になったときは,会社を代表しない取締役の不存在により,「代表取締役の資格及び氏名の抹消」の登記をする取扱いである。
これとは逆に,「取締役A」のみが登記されている場合に,取締役を1名増員し,同時にAを代表取締役と定めるときは,どのように登記すべきであろうか?
従来は,おそらく何の疑問もなしに,「取締役B就任,代表取締役A就任」と登記する例であったであろう。
しかし,特例有限会社において,取締役が1名であったとしても,同人(「A」とする。)は,代表権を有する取締役である。そして,代表権を有しない取締役(「B」とする。)が追加選任されたとしても,Aの代表権に異動は生じない。代表取締役を定める行為は,当該代表取締役以外の取締役から代表権を剥奪する行為であるからである。単なる呼称の変更に過ぎないと言えよう。
この理からすれば,「代表取締役A就任」の登記ではなく,次のように登記するのが妥当であろう。
登記の事由 代表取締役の資格及び氏名の登記
登記すべき事項 平成○年○月○日 会社を代表しない取締役が存在することになったことにより登記
代表取締役A
登記実務において,すんなりとは受容されないかもしれないが,整備法第43条第1項の規定があるがために,ややこしい話である。
(再掲終わり)
西の方の某H法務局でチャレンジしたが受容されなかった,という話を小耳にはさんだので,再掲しておく。