遺言書に負債についての記載がない場合の債務の取扱いについて by 税務研究会
https://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/column/0019zp20220906/
上掲記事は,税務上の考え方であるが,登記実務としては,
「債権法の改正により,免責的債務引受を,引受人と債権者との契約によってする場合,債権者が,債務者に対して,契約の成立を通知しなければならず,当該契約は,通知した時(到達主義)に,その効力を生ずることとなった(民法第472条第2項)。
従来の判例によれば,債務者の意思に反しない限り,その同意がなくても債権者と引受人の間の契約でもすることができると解されていた。
そこで,従来の実務では,債務者に相続が開始した後,債権者と相続人の間で免責的債務引受契約を締結する場合に,債権者と共同相続人全員との契約によることが難しいときは,債権者と引受人である相続人との間の契約ですることもあったのであるが,改正により,その実務が容易でなくなっている。
例えば,共同相続人の一が,未成年者(親権者が存しない場合等に限る。)であったり,意思能力を有しない状態であるときは,「通知」を受領するために,後見人の選任を受ける必要があることになる(民法第98条の2)。不在者であるときは,公示による意思表示(民法第98条)によってすることになる。」
cf. 令和2年9月3日付け「免責的債務引受と契約成立の通知(補遺)」
ということで,「免責的債務引受」によることができるか,「借換え」によらざるを得ないかは,大きな問題である。
上掲記事では,遺言がある場合に,免責的債務引受を成立させることができない場合であっても,最高裁平成21年3月24日付最高裁判決を引用して,課税の問題はクリアされ得ると述べているが,法律論としては,債権者の同意があっても,相続により債務を単独で承継した,ということにはならない。
cf. 平成21年3月25日付け「遺留分の侵害額の算定に関する最高裁判決」
https://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/column/0019zp20220906/
上掲記事は,税務上の考え方であるが,登記実務としては,
「債権法の改正により,免責的債務引受を,引受人と債権者との契約によってする場合,債権者が,債務者に対して,契約の成立を通知しなければならず,当該契約は,通知した時(到達主義)に,その効力を生ずることとなった(民法第472条第2項)。
従来の判例によれば,債務者の意思に反しない限り,その同意がなくても債権者と引受人の間の契約でもすることができると解されていた。
そこで,従来の実務では,債務者に相続が開始した後,債権者と相続人の間で免責的債務引受契約を締結する場合に,債権者と共同相続人全員との契約によることが難しいときは,債権者と引受人である相続人との間の契約ですることもあったのであるが,改正により,その実務が容易でなくなっている。
例えば,共同相続人の一が,未成年者(親権者が存しない場合等に限る。)であったり,意思能力を有しない状態であるときは,「通知」を受領するために,後見人の選任を受ける必要があることになる(民法第98条の2)。不在者であるときは,公示による意思表示(民法第98条)によってすることになる。」
cf. 令和2年9月3日付け「免責的債務引受と契約成立の通知(補遺)」
ということで,「免責的債務引受」によることができるか,「借換え」によらざるを得ないかは,大きな問題である。
上掲記事では,遺言がある場合に,免責的債務引受を成立させることができない場合であっても,最高裁平成21年3月24日付最高裁判決を引用して,課税の問題はクリアされ得ると述べているが,法律論としては,債権者の同意があっても,相続により債務を単独で承継した,ということにはならない。
cf. 平成21年3月25日付け「遺留分の侵害額の算定に関する最高裁判決」