司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

株主総会を南極観測船「先代しらせ」の船上で開催

2010-08-20 10:45:50 | 会社法(改正商法等)
 本日の日経朝刊によれば,株式会社ウェザーニューズが,同社の株主総会を,同社所有の南極観測船「先代しらせ」の船上で開催することを検討しているということである。実現するとすれば,面白い試みである。

 同社の定款には,これまで,「株主総会は,本店所在地またはこれに隣接する地のほか,千葉市において開催することができる」という規定があったが,今年の定時株主総会において定款変更を行い,同規定を削除したことから,可能となったものである。

 なお,現在は船橋港に係留中であるが,固定されているわけではなく,航海も可能であるようで,場合によっては,会社法施行規則第63条第2号の「株主総会の場所が過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるとき」に該当する可能性がある,と考えられる。
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発行会社による直接募集形態の未公開株詐欺

2010-08-19 00:02:55 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/national/update/0818/TKY201008180321.html

 発行会社による直接募集形態の未公開株詐欺事件に関し,東京地裁は,被害者からの損害賠償請求を認容する判決をした。

 「近い将来の上場を目指している」という話を鵜呑みにして増資に応じて株主となった者に損害があるとして,当該被害者からの損害賠償請求を認めたものである。

 しかし,株主は,「出資」をしているのであるから,出資時に経営が破綻に瀕していたとしても,本来自己責任であって,このような損害賠償請求が認められるべきではない。認められるとすれば,事業の実態がないにもかかわらず,あるかのように装ったような場合に限定されるべきであろう。新聞報道の限りでは,本件がそのような極めて例外的な場合に該当するようには見受けられないが。

cf. 「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正(案)」の取扱いについて by 日本証券業協会
http://www.jsda.or.jp/html/oshirase/public/10061011.pdf
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登記官の過誤による職権更正と登記事項証明書の記載事項

2010-08-18 21:04:06 | 会社法(改正商法等)
 「京都地方法務局長の在任中に何も事件がないのは珍しい」と言われるほど,京都本局ではいろいろと(?)事件が起こっているが,商業登記に関するものとしては,有名な「ワタベウェディング事件」がある。

cf. 京都新聞記事(平成14年2月5日)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2002feb/05/W20020205MWA2K1B0000017.html

 それまでは,登記官の過誤により誤った登記がされ,その職権更正の登記がされた場合であっても,その登記がそのまま登記事項証明書に記載されていた。しかし,ワタベウェディング社の猛抗議により,その後,このような場合には,商業登記に関する登記事項証明書に記載されなくなったという経緯がある。「商業登記法上・・・記録そのものの削除はできない」が,登記事項証明書の記載事項から外すことで対応が図られたものである。

 法令上の手当てとしては,平成14年商法改正(平成15年4月1日施行)に伴う商業登記規則の改正に際して,規則第111条第1項にかっこ書が追加された(ただし,この点は,緊急性に鑑みて,改正省令の公布の日である平成14年11月18日から施行)。現行規則第30条第1項かっこ書の規定がそれである。

商業登記規則
 (登記事項証明書の種類及び記載事項等)
第三十条 登記事項証明書の記載事項は、次の各号の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる事項(第二号及び第三号の場合にあつては、法第百三十三条第二項の規定による登記の更正により抹消する記号を記録された登記事項及びその登記により抹消する記号を記録された登記事項を除く。)とする。
【以下略】

商業登記法
第百三十三条 登記官は、登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、登記をした者にその旨を通知しなければならない。ただし、その錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合においては、登記官は、遅滞なく、監督法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。


 条文をながめていて,ふと事件のことを思い出したので,書き留めておく。

 なお,不動産登記に関する登記事項証明書においては,上記のような場合にもそのまま記載される(不動産登記規則第196条第1項参照)。
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改正割賦販売法の影響で,銀行が提携教育ローンから撤退

2010-08-18 15:38:45 | 消費者問題
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100818-OYT1T00585.htm?from=main3

 改正割賦販売法の影響で,銀行が提携教育ローンから撤退しつつあるということである。

cf. 資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート
http://ameblo.jp/mawoooo/entry-10319518008.html

 重い負担のほかに,「支払停止の抗弁」の問題もあるようだ。

cf. 品川のよっちゃんのほうむ話
http://eyochan-home.cocolog-nifty.com/blogdayo/2009/06/post-ac1d.html
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旧植民地における睡眠貯金

2010-08-18 14:54:36 | いろいろ
共同通信記事
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010081801000077.html

 旧植民地における郵便貯金で休眠状態となっている「睡眠貯金」ものが,約1900万口座,約43億円もあるそうだ。

 郵政民営化前に預けられた郵便貯金のうち,外地郵便貯金や軍事郵便貯金などの一定種類のものは,ゆうちょ銀行に承継されず,独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の管理下に置かれており,その権利消滅については,廃止された郵便貯金法の規定がなお適用され,最後の取扱い又は期間満了日の翌日から20年間取扱いがない場合に催告書を発送し,この催告書の発送の日から2か月間貯金の払戻しがない場合に権利消滅することになるが,「利用者への催告ができないため時効は停止している」らしい。

cf. 通常郵便貯金規定
http://www.yuchokampo.go.jp/yucho/pdf/yak/01002_2205.pdf

5 権利の消滅等
(1) この貯金について、10年間、払戻しがなく、かつ、通帳の再交付に係る請求その他当機構が別に定める取扱いがない場合は、当機構は、一部払戻しの取扱いをしない貯金(以下この条において「睡眠貯金」といいます。)として取り扱います。
(2) 睡眠貯金について、通帳の再交付に係る請求その他当機構が別に定める請求又は届出があった場合は、全部払戻しの請求があったものとみなして、当機構所定の方法により払い渡します。
(3) 睡眠貯金になった後10年間全部払戻し(前項により全部払戻しの請求とみなされるものを含みます。)がない場合には、当機構はその預金者に対し貯金の処分をすべき旨を催告し、その催告を発した日から2か月以内に預金者からの処分の請求がないときは、整備法附則第5条第1項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第2条の規定による廃止前の郵便貯金法の規定に基づき、その貯金に関する預金者の権利は、消滅します。
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「エスコート・ランナー」

2010-08-17 16:32:48 | 会社法(改正商法等)
河合保弘著「エスコート・ランナー」(梓書院)
http://www.town.watari.miyagi.jp/index.cfm/10,14211,c,html/14211/20100727-141937.pdf

 司法書士河合保弘さんの処女小説。昨年の全青司全国研修会の分科会で行われた企業法務コンペの素材をストーリーテリングしたもの。お薦めです。
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分配可能額を超えた剰余金の配当

2010-08-17 16:02:41 | 会社法(改正商法等)
株式会社タカチホのプレスリリース
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120100811090569.pdf

 今年6月の定時株主総会において,分配可能額を超えた剰余金の配当を決議し,支払いを行ってしまった旨のプレスリリース。発生原因の解明は,未だである。


cf. 平成21年4月14日付「銀行の違法配当~取締役に過失なし?」
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金融法務研究会第2分科会報告書「動産・債権譲渡担保融資に関する諸課題の検討」

2010-08-17 15:52:30 | 不動産登記法その他
金融法務研究会第2分科会報告書「動産・債権譲渡担保融資に関する諸課題の検討」について(金融法務研究会)by 全銀協
http://www.zenginkyo.or.jp/news/2010/08/16150001.html

 第3章では,抵当権・根抵当権の複数担保権者の法的問題に関して,検討されている。
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平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制関係)

2010-08-17 15:46:07 | 会社法(改正商法等)
平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制関係)(情報)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/100810/index.htm

 組織再編等のグループ法人税制関係の質疑応答事例である。
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五山送り火

2010-08-16 10:26:53 | 私の京都
五山送り火
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/gozan/

 本日は,お盆に迎えた精霊を送る京の伝統行事「五山送り火」。

 天気は,よさそうだが,ナラ枯れが目立つため,火の粉の飛び火が心配されている。
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20100810000086
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過払金横領事件の刑事判決

2010-08-15 18:27:04 | 司法書士(改正不動産登記法等)
産経新聞記事
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100810/trl1008101714004-n1.htm

 富山の過払金横領について,刑事事件は,懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)。業務禁止もあり,執行猶予がついたとはいえ,重いですね。

 懲戒処分として「業務の禁止」(司法書士法第47条第3号)を受けると,欠格事由に該当し(同法第5条第5号),登録が取り消される(同法第15条第1項第4号)。処分の日から3年を経過しないと再登録できない(同法第5条第5号)。
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「過払金返還請求事件の効率的審理の在り方について(共同提言)」

2010-08-14 14:41:33 | 消費者問題
 判例タイムズ2010年8月15日号に,「過払金返還請求事件の効率的審理の在り方について(共同提言)」ほかの特集がある。
http://www.hanta.co.jp/hanta-new.htm

 付調停の積極的活用などが論じられている。ご関心のおありの向きは,ぜひご覧ください。
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利息制限法違反による過払金返還請求における法定利率

2010-08-14 14:17:59 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2010年8月5日・15日合併号の連載「商事判例研究」に,岡田昌浩「利息制限法違反による過払金返還請求における法定利率」がある。

 東京高判平成17年7月21日金法1761号42頁の判例評釈であり,同じく「民事法定利率によるべし」とした最判平成19年2月13日民集61巻1号182頁を批判し,「商事法定利率によるべき」と論じているものである。

cf. 平成19年2月13日付「過払い金の別債務への充当可能 but 利率は5%、最高裁が初判断」
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日弁連,債務整理事件処理に関する規制を強化へ

2010-08-14 09:32:07 | 消費者問題
産経新聞記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100814-00000096-san-soci

 「ガイドライン」から「規程」に格上げし,規制を強化する方向。しかしながら,原則自由であることから,努力義務を超えて,罰則を科すような規制は,困難であるように思われる。
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中小企業事業承継ハンドブック29問29答(平成22年度税制改正対応版)

2010-08-12 15:11:28 | 会社法(改正商法等)
中小企業事業承継ハンドブック29問29答(平成22年度税制改正対応版)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/pamphlet/2010/index.htm

 平成22年税制改正の対応版(ダウンロード可)。
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