司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

破産者が死亡した場合の不動産登記

2017-11-22 15:57:56 | 不動産登記法その他
司法書士業務百科 中村清志
http://k-nakamura.la.coocan.jp/page007.html

 任意売却の前提として,次の登記をするようである。

目的  登記名義人氏名変更
原因  平成OO年OO月OO日(破産者の死亡年月日)破産法第227条に基づく破産手続続行
変更後の事項  亡A相続財産

破産法
 (破産手続開始の決定後の相続の開始)
第227条 裁判所は、破産手続開始の決定後に破産者について相続が開始したときは、当該相続財産についてその破産手続を続行する。



 住所変更もある場合,通常の「相続人不存在」事案であるが,一括してすることができるので,同様であろう。

cf. みさき司法書士事務所
http://misaki-office.com/blog/2016/05/772/

登記記録例3頁
http://www.e-profession.net/tutatu/h210220m2_500_besshi_kenri.pdf
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特別養子縁組制度の改正に関する現在の検討状況

2017-11-22 15:19:37 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成29年11月21日(火))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00950.html

〇 特別養子縁組に関する質疑について

【記者】
 特別養子縁組制度についてお伺いします。養子の対象年齢の引上げ検討を法制審に諮問するとの報道がありますが,現在の検討状況を教えてください。

【大臣】
 そのような報道があったことは承知しています。特別養子縁組制度は,昭和62年の民法改正によって新設されたものであり,制度創設から約30年が経過しています。法務省としても,その後の状況を踏まえ,見直しを検討しているところです。現在,研究者,実務家等を中心に特別縁組制度の在り方に関する研究会が立ち上げられており,法務省としても,この研究会に担当官が参加して必要な検討を行っています。研究会においては,養子となることができる年齢の引上げを含め,様々な論点について検討がなされているものと承知しています。特別養子縁組制度の見直しに関する具体的な方向性や時期は,現段階では未定ですが,法務省としては,研究会において,特別養子縁組制度の基本的な在り方について充実した議論が行われることを期待しています。その結果を踏まえ,できる限り速やかに見直し作業を進めたいと考えています。
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無戸籍問題に関する法務省の取組

2017-11-22 15:18:06 | 法務省&法務局関係
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成29年11月21日(火))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00950.html

「もう1点は,無戸籍者問題についてです。無戸籍の方は,国民としての社会的な基盤が与えられておらず,社会生活上の不利益を受けるという,人間の尊厳にも関わる重大な問題が生じているものと認識しています・・・そこで,市区町村の戸籍担当部署以外の部署も含めた情報の集約に更に十全に取り組むことを推進してまいりたいと思っています。そこで,今般,市区町村内における情報提供は法的な根拠に基づくものであること,更に個人情報保護の観点からも問題とならない旨を総務省とともに周知をするよう,民事局に対し指示をしました。法務省においては,このような取組を通じて,戸籍担当部署以外の部署をも含めた市区町村の各部署に対し,情報集約依頼の周知徹底を図ってまいりたいと考えています」

「丁寧な手続案内等による「無戸籍の解消」については,情報の集約を開始した平成26年9月10日から現在までに把握した無戸籍者の累計1,495名のうち,平成29年10月10日現在,780名が無戸籍状態を解消していますが,この解消率は約52パーセントという状況で,依然として無戸籍状態が解消されていない方が相当数おられるというのが現状です・・・無戸籍状態の解消を更に推し進めるためには,無戸籍者ゼロタスクフォースのような,中央における関係機関との連携のみならず,各地方において,弁護士会,法テラス及び家庭裁判所など,裁判所における手続に関与する機関等による協議会を設置して,地方における関係機関の連携を強化することが有効であると考えています。
 そこで,本日,民事局に対し,無戸籍者問題の解消を目指した地方協議会の設置について,法務局・地方法務局において,弁護士会,法テラス及び家庭裁判所への働きかけをするよう,指示をしました。あわせて,日本弁護士連合会及び最高裁判所に対し周知の依頼をするよう,民事局に指示をしたところです」
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成りすまし事案で,買主にも売主の本人確認義務があるとして,過失相殺4割(その2)

2017-11-22 08:45:25 | 不動産登記法その他
Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-107419

 地面師事件に関する東京地裁平成28年11月29日判決の控訴審で,東京高裁は,一審被告(弁護士)の過失を否定し,一審原告(買主)の敗訴という判決を下しているようだ。

 最高裁に上告受理申立中とのこと。

cf. 平成29年11月1日付け「成りすまし事案で,買主にも売主の本人確認義務があるとして,過失相殺4割」
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商業登記の弱点を突いた「地面師」が逮捕

2017-11-21 17:54:22 | 不動産登記法その他
東洋経済online
http://toyokeizai.net/articles/-/198329

 自らが取締役に選任され,代表取締役に選定されたとする登記と,本店移転の登記を申請して,不動産会社を登記上乗っ取り,当該会社が所有する不動産を勝手に売却するという手口のようである。

 これは,商業登記の弱点であり,本人申請であれば,防ぎようがない。

 不動産の売買の登記に関わる司法書士が,直近の代表取締役の就任と本店移転に疑念を抱かなければ,地面師の思うがままである。本人確認情報を提供するために,移転前の本店を確認すべきであるのだが・・。

 デジタル・ファーストによる「本人確認手続の簡素化」は,こういう事件も頻発させてしまうであろう。
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商業登記法改正案が2018年の通常国会に?(その2)

2017-11-21 15:06:58 | 会社法(改正商法等)
規制改革推進会議第4回行政手続部会議事次第
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/bukai/20171120/agenda.html

「本人確認手続の簡素化に関する方向性について ―中間整理(案)―」が示されており,19頁には,


1.行政手続の電子化(デジタル・ファースト)を徹底するため,押印を不要とし,「紙から電子へ」を推進する。また,電子化の環境を整備するとともに,電子署名(厳格な本人確認が必要な手続を除く)を極力省略し,簡易な認証方式を導入する。
(1)「中小企業・小規模事業者等を含む事業者にとってオンラインによる行政手続の負担を軽減し,利用率を抜本的に向上するため,厳格な本人確認(印鑑証明書の添付を求め,印鑑と照合等)を求めない手続については,簡易な認証方式(ID(法人番号)・パスワード方式)を導入し,電子署名を求めない(再来年度より運用を開始)。
(2)法人インフォメーション(法人番号と各種法人情報を紐づけ)へ,引き続き,各省が協力して利用可能な情報を拡充する。並行し,それらのデータを活用した申請データのワンスオンリーの取組(デジタル・プラットフォーム)に向け,重点分野で件数の多い行政手続を政府全体で選定し,再来年度より運用を開始する。

2.厳格な本人確認が必要な手続においても,電子証明書の利便性の向上あるいはセキュリティに見合う適切な認証方式(ID・パスワード方式)の導入等により,書面方式(印鑑証明書の添付)からオンライン手続に転換する。

3.上記の方向性に沿って,各省に対応を促す。電子化の取組については内閣官房IT総合戦略室と協力する。


 商業登記の手続は,申請に際して会社等の印鑑証明書の添付は要しないが,登記所において,申請書又は委任状に押印された届出印によって照合がされており,「厳格な本人確認」が求められている。

 とすると,上記2の「セキュリティに見合う適切な認証方式(ID・パスワード方式)の導入等」を検討するというのであろうか?

 甚だ疑問である。
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税理士事務所の事業承継と営業権の対価

2017-11-21 10:55:46 | いろいろ
 週刊T&A master 2017年11月20号に,税理士事務所の事業承継における営業権の対価をめぐる争いに関する東京地裁平成29年6月23日判決が紹介されている。

 某税理士が死亡する直前に被告税理士に対し税理士事務所の事業を譲渡する遺志を伝えたとして,被告税理士が顧問先等を承継したことから,亡税理士の相続人が原告となって提起した訴訟である。

 東京地裁は,事業承継に関する合意の成立は否定したものの,一定の財産的価値を認め,対価の支払を認めている。


 ところで,税理士の死亡による業務廃止が生じた場合の救済策として,税理士会には,「相互扶助委員会」が置かれており,税理士の遺族が希望すれば,「援助者」たる税理士を推薦する制度があるようである。

cf. 東京税理士会○○支部相互扶助(標準)規程
http://www.tokyozeirishikai.or.jp/reiki_int/reiki_honbun/x9800032001.html

 司法書士の死亡による業務廃止が生じた場合にも,司法書士会が何らかの救済を図ることがあるが,任意の手続であり,規程等の整備はされていない。一考の余地ありですね。
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農地所有適格法人

2017-11-21 09:38:26 | 会社法(改正商法等)
日本農業法人協会
http://hojin.or.jp/standard/what_is/what_is.html

「農業法人のなかで、農地法第2条第3項の要件に適合し、“農業経営を行うために農地を取得できる”農業法人のことを「農地所有適格法人」と言います。」

 簡潔にまとまっています。
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商業登記の機能と規制改革

2017-11-21 09:11:05 | 会社法(改正商法等)
 商業登記法は,商法(明治32年法律第48号),会社法(平成17年法律第86号)その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより,商号,会社等に係る信用の維持を図り,かつ,取引の安全と円滑に資することを目的としている(同法第1条)。

 この商業登記の公示的機能を維持するため,様々な真正担保の方策が用意されている。

(1)登記の申請書に押印すべき者は,あらかじめ,その印鑑を登記所に提出しなければならない(商業登記法第20条第1項)。
(2)登記の事由を証するため,添付書面を要求(商業登記法第24条第8号)
(3)無効又は取消しの原因があるときは申請を却下(商業登記法第24条第10号)
(4)登記懈怠に対する過料(会社法第976条第1号)
(5)登記官による本人確認(商業登記法第23条の2,準則第47条)
(6)不正登記防止申出制度(準則第49条)
(7)本人確認証明書(商業登記規則第61条第7項)
(8)取締役の辞任届と印鑑証明書(同規則第61条第8項)
(9)株主リスト(同規則第61条第2項,第3項)


 「登記制度の改正の歴史は,まさに不正な登記との闘いの歴史である」と巷間言われるところであり,商業登記法第1条が掲げる目的のために,登記実務に携わる様々の関係者の不断の努力によって,真正担保が図られているのである。安易なオンライン&ワンストップの議論は,これらの真正担保の部分を度外視しており,商業登記の公示的機能を大きく揺らがせるものである。

 規制改革関係の各会議においても,「商業登記制度の在り方」に関する適切な議論がされることを望みたい。

cf. 平成26年10月29日付け「商業・法人登記における真実性の確保(再掲)」

平成16年11月1日付け「登記事務の民間開放」
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商業登記法改正案が2018年の通常国会に?

2017-11-21 07:15:18 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO23692910Q7A121C1PP8000/

「政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)は20日、会社設立時などに必要な商業登記の手続きをインターネットのサイトに専用のIDとパスワードでログインし、必要項目を入力するだけで完結できるようにする検討に入った。本人確認のために必要な電子証明書の取得を不要にする。」

「規制改革会議が2018年6月にまとめる答申に盛り込む。政府は登記の手続きを定めた商業登記法改正案を18年の通常国会に提出することをめざす。」(上掲記事)

 確かに,オンライン申請の手続として,「専用のIDとパスワードでログイン」する方法の採用はあり得るのだが,逆にIDとパスワードの管理(漏洩防止等)の負担増が問題となり得るのでは?

 この部分が,「企業の生産性向上や働き方改革」につながるとは思えないが。

 商業登記に基礎を置く電子証明書の制度を事実上廃止するとすれば,他方面の電子化にも影響が出るは必至だと思われる。

 手続とコストを,全て「障害」と片付けようとする議論は,短絡的ではないだろうか。

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ポツダム政令による市町村への帰属~町内会又は部落会を所有権登記名義人等とする登記がされている土地

2017-11-20 19:21:41 | 空き家問題&所有者不明土地問題
 一昨日(11月18日)は,近司連研修会「民法の改正動向と不動産登記制度の課題」を聴講。講師は,山野目章夫早稲田大学大学院法務研究科教授。いつもながらの軽妙洒脱な語り口で,4時間もあっという間でした。

 さて,山野目教授が講義の中で紹介されていた「ポツダム政令」による町内会等の有する土地の権利の整理方が興味深いので紹介しておく。講義では詳細は触れられなかったが,ネットで検索すると,すぐに出てきますね。


〇 土地の状況別の所有者情報調査の方法と土地所有者が把握できなかった場合の解決方法 by 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/001178696.pdf
※ 90頁

「昭和20年勅令第542号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く町内会部落会又はその連合会等に関する解散、就職禁止その他の行為の制限に関する政令」(昭和22年政令第15号)により解散させられた町内会等が所有しており,同政令に基づき市町村が所有するに至っているとみられる土地は,事実関係についての所要の調査を経て,市町村の嘱託により,市町村を所有権登記名義人等とする所有権の登記を進めることとなり・・・その登記原因は「昭和22年7月3日 昭和22年政令第15号第2条第2項による帰属」となる。


〇 地縁団体名義への所有権移転登記手続の改善促進(あっせん)by 総務省
http://www.soumu.go.jp/main_content/000203516.
※ 5~6頁

 集落名義の土地をポツダム制令に基づき一旦村有財産とした上で,認可地縁団体に所有権を移転した事例が紹介されており,興味深い。
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会社法制の見直しの中間試案

2017-11-20 16:59:35 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2017年11月15日号によれば,

「次回(第8回)会議は,12月6日に開催が予定されている。次回の会議から中間試案のたたき台について検討が行われる見込みである。」

 早いペースですね。

cf. 法制審議会-会社法制(企業統治等関係)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00297.html
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特別養子縁組制度に関する民法改正

2017-11-19 13:18:29 | 民法改正
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20171118-OYT1T50047.html

「法務省は、育ての親が戸籍上の実の親になる特別養子縁組制度について、「6歳未満」となっている養子の対象年齢の引き上げ検討を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を固めた。」(上掲記事)

 またまた民法改正である。

cf. 「特別養子を中心とした養子制度の在り方に関する研究会」の審議状況
https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/youshi

日経記事(平成29年7月23日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21HBM_T20C17A7000000/


 厚生労働省における議論は,こちら。

cf. 平成29年8月7日付け「特別養子縁組制度の利用促進等~新たな社会的養育の在り方」
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「じゃあ僕が」妻の姓に変えて分かった経済的不利益

2017-11-17 21:08:38 | いろいろ
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/ASKCK4VHGKCKUTIL02H.html?iref=comtop_8_01

「株式の名義変更には、300万円かかりました」(上掲記事)

 オーナー経営者であるにしても,なぜに,そんなにかかるの?
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相続税の連帯納付義務

2017-11-17 11:06:54 | 税務関係
nikkei style
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO23384670R11C17A1000000?type=my#AAAUAgAAMA

 15年も経ってから,「連帯納付義務があるから払え」と言われても,びっくり仰天ですよね。
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