司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

商業登記の印鑑届出の義務付けの廃止~来年の通常国会に提出へ

2019-09-09 21:29:02 | 会社法(改正商法等)
時事通信社
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019090900833&g=soc

「法務省は、会社設立の手続きを迅速化するため、完全オンライン化を図る。具体的には印鑑の届け出を不要とし、こうした内容を盛り込んだ商業登記法改正案を来年の通常国会に提出、再来年2月からの実施を目指す。」(上掲記事)

 来年の通常国会・・・ですか。
コメント (3)

会社の継続と代表者の選定を証する書面の押印

2019-09-09 20:26:18 | 会社法(改正商法等)
 清算株式会社が会社継続をすることを決議し,同時に代表取締役を選定する場合に関しての取扱いであるが・・。

 取締役会設置会社を選択する場合には,会社継続が効力を生じた後,取締役会決議によって,代表取締役を選定することになるので,商業登記規則第61条第6項第3号の適用があり,取締役会議事録には,出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑につき,市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。

 この場合,文理解釈としては,同項ただし書の適用はないが,いわゆる善解理論によれば,当該印鑑と従前の代表清算人が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでないと取り扱って差し支えないと考えるべきであろう。

 取締役会設置会社でない株式会社を選択する場合に,取締役の互選によって代表取締役を定めたときも同様である。

 ところで,取締役会設置会社でない株式会社を選択する場合に,株主総会又は種類株主総会の決議によって代表取締役を定めたときは,如何。

 この場合・・・会社法施行の際の手当漏れである。商業登記規則の改正もなく,通達にも何の言及もない。

 商業登記規則第61条第6項第1号を素直に読めば,この場合に直接適用がないことは明らかである。

 代表取締役を選定したことを証する書面の真正担保の要請から同号の類推適用の余地はあろうと思われるが,そうであれば,もちろん同項ただし書の類推適用も認め,代表清算人の登記所届出印が押印されていればこの限りでないとされるべきであろう。

 そもそも,昭和40年代に,商業登記規則第61条第6項の規定が設けられた理由は,不実の登記の防止のためであったからであり,代表清算人の登記所届出印の押印があれば,真正は担保されるからである。

 しかしながら,一部の登記所においては,代表取締役の選定を証する株主総会議事録に代表清算人の登記所届出印が押印されているにもかかわらず,補正(個人の実印を押印して印鑑証明書を添付せよ)という不条理な取扱いをしているようである。

 商業登記制度の原理原則を理解せず,規則の字面に拘泥しているようで,何とも・・・。

 また,同号には「議長」とあることから,議長が存しないと,議長の押印がないので,代表取締役を選定したことを証する書面としては不適格とされている云々。

 ??????

 まったくの「新説」発見である。


 商業登記の実務においては,不実の登記を防止するために,数々の真正担保の策が講じられているのであるが,本件は,甚だ不可解至極である。

 法令の不備で,添付書面に関する手当が漏れているのであれば,原則として求めることはしないのが登記実務であるし,仮に求める場合であっても,ユーザー・フレンドリーに,過度な負担は求めないのが登記実務であったはずである。

 商業登記規則第61条第6項の立案の趣旨からすれば,会社継続の場合においても,代表取締役の選定を証する書面に代表清算人の届出印の押印があれば,同項ただし書の類推適用を認めるべきであろう。

 登記実務に関して,全ての事項について網羅的に,民事局長通達なり,商事課長通知なりが発出されているわけではなく,担当者自ら常識的な判断をすることが求められる場合も少なくないのだが,いやはや何とも・・・。


 商業登記事務の集中化による大量かつ迅速処理の要請もあり,思考停止に陥っているのかもしれないが,合理的で,社会通念上相当であると認められる取扱いが望まれる。
コメント (1)

京とうふ会社の事業承継の成功事例

2019-09-07 10:15:15 | 会社法(改正商法等)
京都新聞記事
https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20190906000035

 事例としては,特殊かも。しかし,こういう事業承継が増えるといいですね。
コメント

小泉進次郎議員の結婚と民法第772条問題

2019-09-06 13:11:34 | 民法改正
現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67001

 井戸まさえ氏の寄稿である。

 予定日の出産の場合,婚姻後177日になるらしい。ん~,なるほど。

cf. 法制審議会 -民法(親子法制)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi0350004.html

嫡出推定制度を中心とした親子法制の在り方に関する研究会
https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/cyakusyutsusuitei

民法
 (嫡出の推定)
第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
コメント

ADR法の実施に関するガイドラインに係る照会及び回答

2019-09-06 10:30:57 | 司法書士(改正不動産登記法等)
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の実施に関するガイドラインに係る照会及び回答について by 法務省大臣官房司法法制部
http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/adr01-12.pdf

 司法書士会が設置しているADRで,弁護士助言型のものに関して,日司連から行った照会に対する法務省の回答である。
コメント

動産にも担保物権,登記制度を創設へ

2019-09-06 10:21:41 | 民法改正
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49481830V00C19A9MM8000/

「法務省は企業が保有する機械や在庫など動産を対象とした新たな担保権を創設する検討に入った。土地担保や経営者保証に代わる企業の資金調達手段である動産担保融資(ABL)の普及を後押しするのが狙いだ。実現すれば不動産を対象にした抵当権や質権と並ぶ新たな民法上の「担保物権」となる。法的な裏付けができれば担保の優先順位などが明確になり、利便性が高まるとみる。」(上掲記事)

 物件の特定の問題あるが,よい方向である。

「法務省は早ければ20年秋に民法などの改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する見通しだ。」(上掲記事)

 もっとゆっくりかと思っていたが,存外に素早い動き。

cf. 動産・債権を中心とした担保法制に関する研究会
https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/dou-tanpohousei
コメント

「通達行政」は「法治主義の原理に反する」のか?

2019-09-05 23:07:40 | いろいろ
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO49431430V00C19A9MM8000/

「通達行政」という言葉は,とかく批判的に取り上げられることが多いが,

「「通達行政」と聞くと,マイナスイメージを持つ方が多いと思うが,通達や通知等は,法令解釈の行間を埋めるものであり,登記が必要なケースにおいては,ある意味登記によって完結すると言っても過言ではない法律行為における実務上の問題点について,いい意味で方向性を示すものである。先例について理解を深めることで,手続面のみならず,実体法についても深い理解が得られることになる。登記実務において,先例の活用が重要である所以である。
 また,「前例がないから,できない」というケースも少なからずあるようであるが,実務上生じた問題点は,然るべく解決されなければならないのであり,「先例」は,正に「前例がない」ケースに解決の指針を与えるべく発出されたものも多いのである。「前例がない」ケースにおいても,先例に学び,法的安定性と具体的妥当性を兼ね備えた,新たな「先例」が編み出されるように,実務家は,先例をもっと活用して行かねばならないと考えるところである。」
※ 拙稿「登記実務と先例活用の重要性」法の苑第55号(日本加除出版株式会社)

と考えてはどうだろうか?

cf. 平成24年9月29日付け「会社法制定までの商法改正に伴う登記実務の変遷」」
コメント

新潟県加茂市がようやく戸籍を電算化,全国では2番目に遅い

2019-09-05 22:38:37 | いろいろ
新潟・県央情報交差点
http://www.kenoh.com/2019/09/05_densan.html

「昨年までに戸籍を電算化していない自治体は全国で4市町村だけとなっていたが、ことし1月21日に京都府笠置町、7月29日に北海道夕張市が電算化。加茂市が電算化すると残るは東京都御蔵島村だけとなるが、御蔵島村は今なお電算化の予定はないようだ。」(上掲記事)

「デジタルガバメントの実現に向けた戸籍事務とマイナンバー制度との連携」の上でも,電算化は必須である。

 電算化はよいとして,電算化に伴う改製による原戸籍の取得費用のコストアップは,何とかならないものか。いずこの自治体も財政難という事情が理由であることは,わかるのであるが。
コメント

法務省令和2年度概算要求

2019-09-05 22:31:37 | 法務省&法務局関係
令和2年度概算要求
http://www.moj.go.jp/kaikei/bunsho/kaikei02_00089.html

Ⅱ 経済再生加速化のための基盤整備
1 所有者不明土地問題への対応及び地図整備体制の強化等
〈施策の概要〉
 所有者を特定することが困難な土地等の解消に向けた各種施策の推進。
 従来型,大都市型及び復興型登記所備付地図作成作業の推進。
〈骨太の方針との関連〉
・所有者不明土地等の解消や有効活用に向けた各種対策の推進【骨太64頁】
・遺言書保管制度の円滑な運用に向けた取組の推進【同】
・筆界特定制度の新たな活用策等の検討を含めた登記所備付地図の整備の推進【同】

2 デジタルガバメントの実現に向けた戸籍事務とマイナンバー制度との連携等
〈施策の概要〉
 戸籍事務などの業務へのマイナンバー制度の利活用の拡大のための体制整備。
 IT活用による行政の利便性の向上(添付書類の撤廃)と行政手続等におけるオンライン化のための体制整備。
〈骨太の方針との関連〉
・戸籍事務などの業務へのマイナンバー制度の利活用の拡大【骨太52頁】
・IT活用による行政の利便性の向上や業務の見直し(添付書類の撤廃を含む)とデジタル3原則に則った行政手続等におけるオンライン化の徹底【同】
コメント

相続法の改正について~経過措置を中心に~

2019-09-05 08:43:52 | 民法改正
 昨日(4日)は,京都司法書士会洛南支部研修会で,

第1部  相続法の改正について~経過措置を中心に~
第2部  相続の放棄に関する諸問題~最高裁令和元年8月9日第2小法廷判決を起点として~

をお話ししました。

 改正により,共同相続における権利の承継に対抗要件主義が導入されたことから,司法書士の実務も,これまで以上に,迅速かつ円滑に対応することの要請が高まっている点を力説。
コメント

法務省,動産譲渡登記及び債権譲渡登記の登記申請データ作成ツールを公開

2019-09-04 17:01:51 | 法務省&法務局関係
申請データ作成ツールの公開に関するお知らせ
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00124.html

「令和元年7月1日(月)から「申請データ作成ツール」を公開しました。

 「申請データ作成ツール」は,動産譲渡登記及び債権譲渡登記の登記申請や登記事項証明書等の交付請求において必要となる申請データ(XMLファイル)の作成を支援するツールです。」

 便利です。
コメント

「所有者不明土地問題と司法書士~司法書士の二つの魂~」

2019-09-04 11:45:08 | 司法書士(改正不動産登記法等)
土地総合研究 第27巻第3号(2019年夏)
http://www.lij.jp/pub_t/pubt3_27_3.html

 吉田克己北海道大学名誉教授「2018年相続法改正の意義と残された課題」においては,

「相続は、多数の者の利害が錯綜し、多くの法的問題もかかえた複雑な手続である。市民が専門家や公的機関の援助なしにそれを適正に処理するのは、きわめて難しい。その支援態勢、換言すれば相続のインフラストラクチャー整備が、どうしても必要である・・・根本的には、専門家による支援態勢を構築する必要があるであろう。西欧諸国の多くにおいては、公証人がその役割を担っている。特にフランスでは、その点が明確である。しかし、日本で公証人にこの役割を期待しても、それは難しいと言わざるをえない・・・日本ではむしろ司法書士にそのような役割を期待するほうが現実的だと思われる。しかし、そのためには、司法書士の専門家としての位置づけを再検討するという、これまた困難な課題を克服する必要がある」(上掲23~24頁)

と述べられている。そして,参考文献として掲げられている吉田克己「所有者不明土地問題と司法書士~司法書士の二つの魂~」(市民と法2019年2月号(民事法研究会))においては,

「相続プロセスへの関与に際しては,法専門職に全相続人を対象とする公平な調停官的役割が望まれるところ・・・司法書士に調停官すなわち裁判官的職務をも付与することが望ましい」

と述べた上で,

「司法書士は,簡裁代理権の獲得によって,登記の専門職という役割に加えて,いわば弁護士的な魂をも備えることになった。それとともに,所有者不明土地問題への対処という公共的課題との関連では,裁判官的な魂を備えることが望まれる。場合によって緊張関係を孕んだこの二つの魂をどのように調整し,両立させていくか。今後の検討が望まれる」

と結ばれている。

 司法書士にとって,重要な問題提起ではないだろうか。
コメント

「相続を巡る諸課題の検討」

2019-09-04 08:15:33 | 民法改正
土地総合研究 第27巻第3号(2019年夏)
http://www.lij.jp/pub_t/pubt3_27_3.html

 特集「相続を巡る諸課題の検討」が掲載されている。閲覧可能。
コメント

隣の空き家が倒壊寸前

2019-09-04 00:30:21 | 空き家問題&所有者不明土地問題
京都新聞記事
https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190903000028

 対策といっては何であるが,常日頃からお隣さんの「連絡先」を把握しておくが重要ということになろうか。
コメント

株主リストの作成で,株主の住所について正確に把握していない場合

2019-09-03 22:37:12 | 会社法(改正商法等)
株主リストに関するよくあるご質問
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00103.html#13

Q13 株主の住所について正確に把握していない(地番が分からない等)場合には,株主リストにどのように記載すれば良いでしょうか。

A13 株主の住所は,株主名簿の記載事項とされていますので,原則として,地番まで記載する必要がありますが,会社が地番まで把握していない場合には,把握している限度で記載すれば足ります。
 その場合には,株主リストに「株主○○の住所については,株主名簿にも最小行政区画までしか記載されていない」等,住所を地番まで記載できない理由を注記してください。
コメント