「ギスギスした職場はなぜ変わらないのか」
手塚利男著 日経ビジネス文庫 750円+税
サブコピー、副題が「たった一人で始められる職場活性化の方法」。
そういえば、あちこちの会社の職場で、ギスギス、無機質、平面的、萎縮的な職場が増えているような気がします。
それでなくても大変な仕事なのに、周囲の同僚、上司、先輩後輩、部下の表情が妙に暗い・・・。
そんな職場で働いていても楽しくないし、ただ生活費を稼ぐためだけに個々が黙々と働く・・・いつから日本のカイシャはそうなってしまったのでしょうか?
バブル経済崩壊後、リーマンショック直撃、東日本大震災・・・。
そんな中で、あがらぬ賃金、成果主義の浸透、学卒新人の就職難、定年延長や再雇用、おかしな目標管理の導入、非正規社員への厳しい対応、上がり続ける税金、増えるプレイングマネジャーなどなど、働く人たちを取り巻く環境はホントーに大変です。
この職場に生命体は存在するのだろうか?という情景を見ると、本当に胸が痛みます。
著者の手塚さんは、スコラコンサルタントのプロセスデザイナーという肩書。
いすゞ自動車で生産技術を担当し、風土改革活動をたずざわってこられた方。い
すゞ自動車復活に向けた経営改革の中で、現場に密着し、その活力を引き出してきた人です。
同書は、「社員一人ひとりの気持ち」「変革の土台となる風土にメス」を土台として、活性化の仕掛けを具体的に提示しています。
「活性化」という言葉も懐かしいのですが、文字通り職場で化学反応がおき1+1が、2にも3にもなるような風土を創り出すということの重要性を説きます。
この中で、風土改革の7つのフレームワークを基本にすえて、さらに「すごい仕掛け」の例示につないでいきます。
風土改革の7つのフレームワーク
1.カベを低くする
2.情報の流れと中身を変える
3.人の見方を変える
4.思いをネットワークで共有する
5.やり取りの方向を変える
6.制約条件を疑ってみる
7.個の主体性を高める
この7つのフレームワークは、今までもデキルると言われたマネジャーは手掛けていましたし、
職場のリーダークラスでも、そのいくつかを実践していたように思います。
そういったマネジャーやリーダーが減ってきたということもあると思います。
そして、第6章では、保存版と題し、職場が活性化するすごい仕掛けを例示していきます。けっこうベタで、実際の職場でも使えそうです。
「自然に会話を取り戻す」
「季節の行事を行う」
「ふるさと名産品パーテイ」
「オフィス ピカピカタイムをもうける」
「リメンバー・ベストスマイル」
「会社の費用で雑談する」
「会議室に名前をつける」
「1日30分でもブラブラ社員になってみる」・・・
管理者、監督者の方々にぜひ一読いただきたい一冊です。