競合のいない市場を目指すブルーオーシャン戦略、本業を進化させながら新規分野を目指す両利きの経営、競争戦略から共創へ・・・理屈は分かるのですが、それは幻想かもしれません。
流行歌のように流行っては消える経営理論・・・実戦の中では、なかなか通用しないのが実情です。
日経ビジネス誌2021.3.22号の特集は「自動運転、IoT、ヘルスケア もうかる市場は消える レッドオーシャンで勝つ」。
withコロナ、アフターコロナの中、市場で繰り返される血の海で流血しながら戦うプレイヤーたち・・・祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・。
同特集では、こう述べます。
これから先、競合のいないビジネスなど容易に期待できない。
ならば、企業は赤く染まる海を泳ぐしかない。
そのとおりだと思います。
プロローグ 「赤い海」にまい進する日本企業
PART1 競争激化で撤退、大手でも赤字に 成長市場の落とし穴
PART2 赤い海で勝つ 他社との違いを生む4条件
エピローグ 参入、撤退 経営者に問われるもの
一番面白かったのが、PART2の「赤い海で勝つ 他社との違いを生む4条件」。
日本コカの檸檬堂、オイシックス、バルミューダなどのケースで差異化のための4条件を提示しています。
1 後発こそ、データより現場
2 顧客から目を離さない ライバルは見ない
3 買い手の想像を超える 自分の感情に正直に思い切って振り切る
4 あえて要素を減らす ライフサイクルを長く
なるほど・・・経済合理性、テータ分析だけではない切り口の重要性をうまく整理しています。
また、「識者に聞く レッドオーシャンの戦い方」では、コンサルタントが助言します。
「海」は消費者の頭の中にしかない。一番大切なのは消費者が商品やサービスを選ぶ本質的な価値を見出すことだ。ただ多くの日本企業は価値ではなく、方法論を優先している。 by刀CEO 森岡さん
「ずらし技」、全員反対でなければ脈あり!by大和総研コンサルタント 林さん
ブルーオーシャンは創るものだ by池上早大教授
ブルーオーシャンは見つけるものではなく、創るもの・・・。
ちょっと一般論ですが、そのとおりだと思います。
エピローグの「参入、撤退 経営者に問われるもの」では、富士フイルムHDの助野社長の新規参入の4つの基準を提示しています。
1 市場の成長性
2 保有する技術がターゲット市場とマッチするか
3 競合が増えても勝ち続けられるか
4 これまでの事業の経験値が生かせるか
3~5年後を見据えながら検討していくとのことでした。
やっとポーター教授の競争戦略から脱却できると思っていたのですが、レッドオーシャンの時代はまだまだ続きそうです。