現在、高偏差値の大学の学生に人気の業界は、外資系のコンサルティングファームや総合商社だそうです。
高い年俸はもちろんですが、長時間労働、ハードワークでも若くして高いスキルや専門性を獲得できるというのが理由だそうです。
以前、人気のあった広告代理店やマスコミのようなカッコよさもあるのでしょう。
マッキンゼーやボストンコンサルティングなどの外資系コンサルファームはダントツの人気。
でも、コンサル業界は、働き方改革やワークライフバランス、福利厚生からは程遠い世界・・・基本、裸一貫、腕一本の業界です。
徹夜でリサーチ、スライド作成、プレゼン準備・・・ハードワークの連続。
まさにブラック企業です。
それでも、コンサル業界を目指す学生は、意識が高く、キャリア観もある若者たちだと思います。
最近では、書店の経営本、ビジネス本のコーナーに外資系コンサル系の書籍が設置されるようになりました。
コンサル業界の暴露本!?も売れているようです。
いたいコンサル すごいコンサル 究極の参謀を見抜く10の質問
長谷部智也著 日経ビジネス人新書
同書では、「いたいコンサル すごいコンサルを見抜く10の質問」や「10の規律」などチカラのないコンサルタントを見破る質問を開示しています。
カーニーやベイン、アクセンチュアで活躍した著者のノウハウが詰まっています。
申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
カレン・フェラン著 神崎朗子訳 だいわ文庫
「大手ファームは無意味なことばかりさせている」「戦略計画は何の役にもたたない」「最適化プロセスは机上の空論」「業績管理システムで志気はガタ落ち」「人材開発システムには絶対参加するな」・・・。
MITのMBAホルダーでデロイトやジェミニでコンサルタントをしていた著者が厳しくコンサル業界を突っ込みます。
美しいスライドでは何も変わらないことを実体験から指摘していく一冊です。
そういえば、コンサルファームが入って良くなった会社というのは、本当に少ないように感じます。
崇高なビジョンやストラテジーを描けたとしても、それを実現する執行力、行動力がある組織、社員はレア・・・提案書はロッカー行きになります。
マッキンゼー出身のDeNA会長の南場智子さんも「コンサル会社に長年いると事業会社で仕事が出来なくなる」と言います。
実際のコンサルと経営は別物だと考えたほうが良いのかもしれません。
最近出されたコンサル本で面白かったのが、中小企業庁長官だった角野然生さんの書かれた一冊。
経営の力と伴走支援 対話と傾聴が組織を変える
角野然生著 光文社新書
著者は、経済産業省、中小企業庁で東日本大震災で被災した福島県の中小企業の再生に尽力されました。
その際に現場で産み出したのが「伴走支援」というコンサルティング手法。
対話と傾聴、組織開発、適応課題解決といった手法をベースにして、経営者に寄り添うコンサルティングの有効性を提唱しています。
これは、日本という国、国民性にフィットした効果性、有効性の高いやり方だと思います。
今まで、中小企業診断士の世界も、「勧告」「指導」といった上から目線のコンサルティングでしたが、やっと良い方向に変わり始めました。
角野然生の新刊、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
最近、中小企業の支援をしている時に大切しているのが国の施策。
国や行政体は、「補助金」「助成金」「融資」「税制」といった中小企業に手厚い支援をしています。他国にはあまり見られない制度です(これがゾンビ企業を存続させるという否定的な声もありますが・・・)。
毎年、夏に中小企業庁から中小企業白書が出されます。
若い優秀なキャリア官僚たちが書き上げるこの白書・・・国がどういった会社を支援したいのかというモデルを具体的に提示しています。
将来性のある企業モデル、未来のある業界、目指すべきビジネスモデルなどがデータ、グラフ、イメージ、フォト等で紹介されています。
ここに紐づいているのが、補助金や助成金、税制などです。
自社の強み、弱みを知り、中小企業白書を読み込んで経営計画や中計を立案して申請すれば採択される可能性が高まります。
(複雑怪奇な補助金の手引書は閉口モノですが・・・笑)
資金繰りが命の中小企業・・・補助金、助成金のキャッシュが入ればサバイバルできる確率が高まります。
元気のいい中小企業は、明日の日本を作ります。
がんばろう!ニッポンの中小企業