22日(木)。昨日、帰りの電車の中での出来事です。電車が神保町駅に着くと、賑やかなおじさんが乗ってきました。「ねえ、この電車、春日に行く?・・・わかんない?・・・・そっちのお兄さん、わかる?・・・・・あっ、そう。おれはさ、この電車に乗っていいのか、新宿線に乗り換えんのか、駅の表示がわかんなくてさ・・・・・これでいいんだ、よかった・・・・」と大声で独り言をしゃべっているのです そして、春日駅に着くと「アイ・キャン・ゲット・シート、レッツゴー!」と叫んで出ていきました
確かに、混雑している車内で、シートをゲットしてちゃっかり座っていました。ただの賑やかで陽気なおじさんなのか、”さしずめ”インテリなのかよく分かりませんが、いますよね、こういう人。季節の変わり目の今ごろは
・・・・・・・・ おじさんが無事に目的地に着いたことを祈るばかりです
閑話休題
東野圭吾著「歪笑小説」(集英社文庫)を読み終わりました 東野圭吾は超有名なので皆さんご存知ですね。念のため簡単に紹介すると、2006年に「容疑者Xの献身」で第134回直木賞と第6回本格ミステリ大賞を受賞しました
本の帯に「いきなり文庫!」とあります。だから買いました。実は東野圭吾の小説を読むのは2010年に実業之日本社から出た文庫「白銀ジャック」に次いで2冊目なのです あれも「いきなり文庫」でした。
一言でいえば、「小説家と出版業界の内幕を鋭く描いたドラマ」と言ってもいいでしょう まったく売れない若手作家の話、大物作家のご機嫌をとるためゴルフ・コンペに参加した出版担当者の苦労話、中学生の職場訪問で質問攻めにあいキレる出版社員の話等々・・・・
なかでも面白いと思ったのは「小説誌」というタイトルの話です。中学生が出版社に職場訪問したときの、若手編集者と子供たちとのやり取りが出版業界の現状を突いているようで面白いのです
子供たちは「”小説誌”は売れているのか」と尋ねます。これに対し若手編集者は「小説誌だけでは赤字だ しかし連載されている作品が完結したところで単行本として出版するので、それが売れれば採算がとれる
」と答えます。すると「連載小説を単行本にする時、書き直さないのか」と聞きます。これには「書き直すことは多い」と答えると、「連載中はだらだら書いて原稿料をもらっておいて、単行本にする時に直す。原稿料泥棒だ
」と言います。さらに「完成品じゃない作品を載せて買わせておいて、後で書き直してまた買わせるのは詐欺じゃないのか」と言います。これには若手社員も切れて、ついに本音で「てめえら、勝手なことばっか言ってんじゃねえ」と怒鳴ります
そして、いかに小説家から毎月原稿をもらうことが大変なことかを訴えます。最後には「文句があるなら小説誌の編集者をやってみろ
馬鹿たれ作家たちの相手をできるもんならやってみろってんだあ」と叫びます
自虐ネタでしょうか
いままで、いわゆるベストセラー小説家の小説は避けてきた傾向がありますが、もう1冊ぐらい読んでもいいかな、と思っています