人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト「協奏交響曲K.297b」を聴く~オーケストラ・アンサンブル金沢

2012年03月27日 06時24分33秒 | 日記

27日(火)。昨夕、サントリーホールでオーケストラ・アンサンブル金沢の第28回東京定期公演を聴きました 曲目は①ハイドン「交響曲第94番ト長調”驚愕”」、②モーツアルト「協奏交響曲変ホ長調K.297b」、③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」の3曲。指揮は音楽監督・井上道義です。K.297bの管楽器の独奏者はドイツのバンベルク交響楽団の首席メンバーです

サントリーホール前のカラヤン広場に着くと、黒服の男たちが大勢、それぞれ誰かを出迎えている様子です。一見〇〇組の出入りか、と思うほどものものしい雰囲気です 会場でプログラムをもらい、中を見て”ははーん、なるほど!”と思いました。賛助会員の名簿が3ページ分を埋めています。298団体、個人80人となっていました。黒服の人たちはこれら賛助会員の関係者で、割り当てのチケットを知人に渡すために待っているのではないか、と勘繰ったわけです。違うかもしれませんが 自席は1階19列15番。かなり中央に近い通路側で、4つ前の右斜めの席には自民党のシオジイが座っていました

オーケストラ・アンサンブル金沢は1988年に故岩城宏之が初代音楽監督を務めた40名からなる日本最初のプロ室内オーケストラです。2007年から井上道義を音楽監督に迎えています。舞台に向かって左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろコントラバス、第2ヴァイオリンという編成です

1曲目のハイドン「交響曲第94番ト長調」が”驚愕”のあだ名で呼ばれているのは、居眠りをしている聴衆の目を覚まそうと意図して、第2楽章で、最弱奏から突如ティンパ二による最強奏に移る音楽を書いた、と言われているからです

井上は指揮棒を持たずに登場します。彼の指揮ぶりを一言でいえば”踊る指揮者”です。彼は小さいころバレエを習っていたことから、その習性が抜けないのです

さて、指揮者が茶目っ気たっぷりの井上道義です。”何か仕掛けてくるに違いない!”と読んでいました。すると、第2楽章の、ティンパ二による最強音が鳴ったとき、会場の照明が一瞬パッと点きました。井上は会場を振り返って”どうだい、驚愕だろ”というような得意顔をしていました。会場は突然のサプライズにドッと沸きました 照明係がオーケストラの一員になって演奏に”参加”したのは極めて珍しい事件ですね

2曲目のモーツアルト「協奏協奏曲変ホ長調K.297b]は、昔からモーツアルトの作品かどうかが疑われてきた作品です。本物かニセモノかについては、決定的な証拠がないのです。ただ、この曲を聴けば「モーツアルトでなくて、いったい誰がこんなに素晴らしい曲が書けるのか?」と言いたくなるほど、”モーツアルト的”です この第1楽章は最高に楽しい曲です。管楽器のソリストはドイツのバンベルク交響楽団のメンバーで、立ち位置左からオーボエがカイ・フレンブゲン、ファゴットがアレクセイ・トカチャク、ホルンがザボルクス・ツェンプレー二、クラリネットがギュンター・フォルストマイアーです

ソリストは4人とも優れた音楽性を持った人たちです。メロディー・ラインを吹くオーボエが目立ちますが、注目されるだけのことはある素晴らしい演奏です 井上とオーケストラによるサポートは出すぎることなく、引っ込みすぎでもなく、中庸を守っていて好感がもてました

休憩後はベートーヴェン「交響曲第7番」です。皆さんご存知「のだめカンタービレ」のテーマ・ミュージックですね ここで、初めて井上はタクトを取りました。指揮振りを見る限り「きかん坊が棒を振り回している」感じですが、オーケストラから出てくる音は力強く明確な音です とくに感心したのは、コントラバスは3本しかないのに、第1楽章、第4楽章では会場の隅々まで届く大迫力なのです それはコントラバスだけに限りません。何しろ全員でたったの40人ですが100人のオケに負けていません。優れたプロ集団です

会場いっぱいの拍手に応えて、井上がマイクを使わず、「サントリーホールで、これだけの人数でやるのは、大変」「でも、よけいなものはいらない」「これも皆さんのおかげ」と大声で話し、「海外遠征に出ると必ず演奏するアンコール曲を演奏します。武満徹の”他人の顔のワルツ”」と言って、弦楽器による音楽を演奏しました まるで映画音楽のような感じのメロディアスな曲でした。

井上は楽員を立たせ、首席クラスと握手しますが、動作がきびきびしているので、しつこさを感じさせません また、もったいぶって何回も舞台から出てくるようなことはしません。実にスマートです。こういったステージ・マナーは他の指揮者も見習ってほしいと思います

 

               

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