人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト「戴冠ミサK.317」を聴く~東京交響楽団オペラシティ・シリーズ

2012年03月25日 07時05分26秒 | 日記

25日(日)。昨日、初台の東京オペラシティ・コンサートホールで東京交響楽団オペラシティ・シリーズ第66回定期演奏会を聴きました プログラムは①バッハ「管弦楽組曲第3番」、②ハイドン「チェロ協奏曲」(チェロ:石坂団十郎)、③モーツアルト「戴冠ミサ曲K.317」の3曲。指揮は飯森範規です

舞台に登場したメンバーを見ると、第1、第2ヴァイオリンが左右に分かれる”対向配置”をとっています。第1ヴァイオリン側にはチェロ、コントラバス、さらにトランペット、ティンパ二が配されています。反対の第2ヴァイオリン側はヴィオラとオーボエがいるだけで、かなり左サイドに片寄った編成になっています。全員で20名ほどの小編成。コンマスはソロ・コンサートマスターの大谷康子です

バッハは管弦楽組曲を4曲作りましたが、第3番は第2番とともによく演奏される曲です。序曲に始まり、複数の舞曲楽章から構成されています。第3番は第1曲:序曲、第2曲:エア、第3曲:ガヴォット、第4曲:ブーレ、第5曲:ジーグから成り立っています

飯森は指揮台を使いません。彼のタクトが振り下ろされ序曲が始まります。まるで古楽器で演奏しているような響きがします。楽器自体は現代楽器ですが、いわゆる”ピリオド奏法”で演奏しているため、そういう印象を受けるのです この奏法だと、メリハリが効いて透明感が増し、18世紀のバッハの音楽が現代に蘇る感じがします 第2楽章エア(アリア)は、「G線上のアリア」として広く親しまれている曲です。癒し系の代表的な曲ですね

2曲目のハイドン「チェロ協奏曲第1番」の演奏のためにオーケストラのメンバーが拡大されます。それでも全員で30数名に過ぎず、オケ全体が舞台の左側に片寄っていることに変わりはありません ソリストの石坂団十郎が指揮者とともに登場します。かなり背が高く堂々たる体格で、メガネをかけていて一見”インテリ風”です 1979年ドイツ生まれで、父親が日本人、母親がドイツ人とのことです。ミュンヘン国際コンクールなど主要なチェロコンクールで優勝している実力者です しかも現在33歳にしてドレスデン音楽大学教授を務めているとのこと。飯森の解説によれば、ドイツの大学教授になるには難しい国家試験に合格しなければならないとのことなので、相当優秀なのでしょう

ハイドンのチェロ協奏曲第1番の楽譜は1961年にチェコの城で発見されました。おそらく1760年代に作曲されたのではないかと推定されています

石坂団十郎のチェロは力強くダイナミックな点が特徴でしょう。そして”懐の深さ”を感じますとくに第3楽章のアレグロ・モルトの躍動感をどう表現すればいいでしょうか ”ドイツのアウトバーンをBMWがフルスピードで突っ走っていく感じ”とでも言うべきでしょうか とにかく確かな技術の裏付けによって快適に飛ばします 最後の音が消えた直後の会場の熱気は尋常ではありませんでした。ホールの温度が一気に上昇した感じがしました

何度も頭を下げて声援に応えていましたが、不慣れな日本語で「バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番のジーグを演奏します」と言って、演奏に入りました。これがまた素晴らしい演奏で、拍手喝さいを受けていました

休憩後、モーツアルト「ミサ曲ハ長調K.317”戴冠ミサ”」のため、東響コーラスのメンバーが入場します。男性約50人に対し女性約60人といった編成です。コーラスが並ぶと男性陣の最前列の人たちの足が見えるほど、舞台の右サイドの”空き”が目立ちます ソリストが指揮者とともに登場します。ソプラノ:吉原圭子、メゾ・ソプラノ:富岡明子、テノール:児玉和弘、バリトン:与那城敬の4人です

モーツアルトはザルツブルクの大司教に仕える身分だったことから、10数曲の教会音楽を作っています。とくに1768年からの10年間は精力的にミサ曲を作曲しています 戴冠ミサはほぼ1年半にわたるマンハイム~パリ旅行からザルツブルクに帰った直後の1779年3月23日に完成しました この曲が「戴冠ミサ」と呼ばれているのは、1790年にヨーロッパ各地で行われたレオポルトⅡ世の戴冠式のための音楽としてこの曲が使われたことから、次第に定着したと考えられています

曲の構成は、第1曲:キリエ、第2曲:グローリア、第3曲:クレード、第4曲:サンクトゥス、第5曲:ベネディクトゥス、第6曲:アニュス・デイから成っています。

第1曲のキリエが始まります。「大ミサ曲」と呼ばれるミサ曲ハ短調K.427を聴いた時も思うのですが「モーツアルトのミサ曲はオペラだ」ということです。歌うような美しい旋律に溢れています ソリストでは4人の中で一番小柄な吉原圭子が、よく通る美しいソプラノを聴かせてくれました。東響コーラスも大健闘しました

終演後、飯森がマイクを持って登場し「東響は新潟でも年5回定期コンサートを開催しており、明日、今日とほぼ同じプログラムで演奏する。ただし、新潟だけ、モーツアルトの”アヴェ・ヴェルム・コルプス”も演奏することになってる。せっかく練習してきたのに新潟で1回だけ披露して終わるのはもったいない。ついては、今日の東京公演でも演奏したい」とアナウンスしました。これには会場一同拍手喝采です

ここで、オーケストラの右サイドに第2ヴァイオリンとヴィオラのメンバーが追加され、やっと左右のバランスがとれるようになりました

この曲は5分もかからない合唱曲ですが、穏やかな美しいメロディーの天国的な曲です 滅多に生で聴く機会がないので、すごく得をした気分です。モーツアルトを聴くと幸せな気持ちになります

ところで、あらためてプログラムSymphony3月号の4ページを見ると「コンサートマスター=大谷康子」はいいのですが、その下の英語表記が「Concert Master = Tasuo Ohtani 」となっていました。Tasuo・・・・・Who? 制作者は校正をしっかりやって欲しいと思います。そうしないと後世に語り継がれますよ。今のうち更生した方がいいと思います

 

             

 

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