21日(水)。昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ヴェルディ「エルナー二」を観ました これは、今年2月25日に米メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ映像です。
キャストはエルナー二にマルチェッロ・ジョルダー二(テノール)、ドンナ・エルヴィーラにアンジェラ・ミード(ソプラノ)、国王ドン・カルロにディミトリ・ホヴォロストフスキー(バリトン)、スペイン大公シルヴァにフェルッチオ・フルラネット(バス)ほかです。指揮はマルコ・アルミリアート、演出はピエール・ルイジ・サマリターニです
これはフランスの作家ビクトル・ユーゴーの戯曲に基づきヴェルディが手掛けたオペラです 舞台は16世紀スペイン。貴族出身の山賊の首領エルナー二は、スペイン大公シルヴァの許嫁ドンナ・エルヴィーラ(シルヴァの姪)と愛し合っていた。一方、スペイン国王カルロもエルビーラを想っていた。エルナー二とエルヴィーラの結婚は国王に認められるが、これに傷ついたシルヴァ大公は復讐を企てる・・・・・というストーリーです
このオペラはソロ、二重唱、三重唱と、アリアに次ぐアリアの連続で、息つく暇がありませんヴェルディのオペラ「イル・トロヴァトーレ」もそうですが、世界で通用する歌手を少なくとも4人は揃えなければなりません 今回は大ベテランの実力者フルラネットをはじめ、METを代表するテノールのジョルダー二とバリトンのホヴォロストフスキーに加え、2007年のMETオーディションに合格し08年にオペラ・デビューした新人ミードが大輪の花を咲かせています
第1幕終了後、ミードがMETのオーディションに合格した時の映像を流していました。彼女は、マリア・カラスが命を吹き込んだベッリーニ「ノルマ」のアリア「清らかな女神よ」を、のびやかで美しい歌声で歌い上げていました それは息を飲むような美しい声です インタビューで彼女は「ノルマは自分にぴったり合っていると感じる」と答えていました いつかMETでノルマを歌ってほしいと切に願います
休憩時間には、カメラが幕の内側に入り、まさに「内幕」を撮影していました。第1幕の大きな岩場のセットを片付け、第2幕の宮廷の室内を再現するまでの舞台転換の工程を様々なアングルから映し出していました 何人もの大道具、小道具の係りの人が”現場監督”のもとで働いていました。オペラの進行に合わせて「バック・ステージ・ツアー」に参加しているような感覚でした こういうところはMETライブビューイングならではです
ソリストの中で最も好きなのは、バリトンのホヴォロストフスキー(ロシア)です。昨年のMET来日公演の「ドン・カルロ」でロドリーゴを歌ったのを生で観て聴きましたが、銀髪でとにかくカッコいいのですね、これが歌も抜群にうまいし、女性にモテルと思います。男から見てもすごい魅力を感じます
ミードは恵まれた体格で無理のない美声を聴かせてくれました 合唱も負けてはいません。人種混合の合唱団は、いつものように力強いコーラスを聴かせてくれました
午前10時から始まった上映は午後1時24分に終わりました。外に出ると「春分の日」に相応しい暖かい日差しが指していました 次回は5月5日~11日にマスネ「マノン」が上映されます。マノンを歌うのは、昨年のMET来日公演「ラ・ボエーム」のミミを歌う予定が急きょキャンセルになり、聴きそこなったソプラノ、アンナ・ネトレプコです。映画でキャンセルはあり得ないので楽しみに待ちたいと思います